後半戦、常勝ドラゴンズのカギを握る勝野昌慶投手!復帰を目指す右腕を支えたエースの言葉とは!?
【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
CS狙いならチーム解体の大改革をすべき
先週末の三連戦、ジャイアンツの新型コロナウィルス集団感染を受け、思わぬ形で前半戦を終了したドラゴンズ。
38勝50敗1分けの最下位ターンにさぞかし立浪監督の悩みは深いと想像する。
ケガや新型コロナウイルス感染等、戦線離脱する選手が続出。ただ、それはどのチームも同じこと。
このチャンスを逃すまいと二軍から活きの良い若竜が出てくることを期待したものの、現実は厳しい結果が待ち受けていた。改めて層の薄さを感じたものだった。
この状況下、“後半戦巻き返せ!”と言葉に出すのは容易だが、そう簡単に事が進むとは到底思えない。
笑われるとは思うが、今でも優勝を諦めてはいない。可能性がある限り頂点を願う、ファンとはそういうものだ。
3位に滑り込み、CS出場へ照準を合わせるという中途半端な目標を立てるのであれば、立浪監督には今からチームを解体するぐらいの大改革を敢行し、“強いドラゴンズ”の再建に着手してもらいたいと願うばかりである。
さて7月24日のサンドラは左わき腹痛の為、二軍でリハビリ調整している勝野昌慶投手にスポットを当てた。
開幕当初、圧巻のピッチングを見せ、今季の飛躍を期待されていただけに、ケガでの戦線離脱は悔しかったに違いない。
後半戦、必ずやチームのカンフル剤となる勝野投手の葛藤と覚悟を聞いた!
覚醒を予感させた4年目の春
多くのドラファンが一日も早い復帰を待ち望んでいる勝野投手。プロ4年目、開幕前にはこんな決意を口にしていた。
勝野「開幕二戦目が空いている。“自分が奪い取る”という強い気持ちでやってきたので投げたいです!」
その言葉通り、開幕ローテーションの座を掴んだ勝野投手。4試合に先発し、防御率2.66と安定したピッチングを披露。
誰もが今シーズンの覚醒を予感した。勝野投手自身もピッチングに手応えを感じていたようだ。
勝野「オープン戦の時に感覚が良くなって、それがずっと継続できていました。球持ちがいいというか、今までとは違う感覚も生まれたので、自信を持ってストライクゾーンに投げ込める感じがありました」
もどかしい思いをかき消した両エースの言葉
しかしアクシデントは突然訪れた。
4月27日、甲子園で行われたタイガース戦で左わき腹を痛め、緊急降板。登録抹消を余儀なくされた。
勝野「コンディションが悪かったわけではなかったので、“原因は何だろう”と考えてしまいました。一年間ケガせずに投げ切りたいと思っていたところで、本当に悔しい思いをしましたね」
そこから復帰を目指し、二軍でリハビリを励む日々。当時の胸中を聞いてみた。
勝野「俺が投げたいという気持ちもありますし…(しばし考えた後)モヤモヤするというか、“投げたい”と思いながら試合を見ています」
悔いてもどうしようもならなかったケガでの離脱。
勝野投手は投げたくても投げられない自分自身の不甲斐なさに憤りを感じていたに違いない。そんなもどかしい思いをかき消してくれたのが左右の両エースの言葉。
ナゴヤ球場での残留練習でもらった“早く戻ってきてくれ”との言葉がどれだけ勝野投手を励ましてくれたことだろうか。
勝野投手の心を癒した大野雄大、柳裕也両投手も勝野投手の成長ぶりを認めていたからこその激励だったと口を揃える。
大野雄大「“今年は気合が入っている”と思っていた中でのケガで僕も悔しかったですし、右投手で打者を圧倒していくのは今であれば髙橋宏斗か勝野ぐらい。大事な戦力なので早く帰ってきて欲しいです」
柳「早くケガを治して、“もう一回ローテーションでがんばろう”と言いました。今のローテーションで左が増えてきたと思って、今は髙橋宏がいますけど、周りを見渡した時、“右は俺だけだな”と思った時がありました。年齢も近いですし、良い成績を残して、良い思いをしてもらいたいと思いますね。彼にはそれだけの力があると思います」
先発ローテへの再挑戦
また二軍でのリハビリ調整中、浅尾二軍投手コーチは二人三脚で指導してきた勝野投手の変化をこう語った。
浅尾「二軍にいて“ケガをしてなんとかしなきゃ”という気持ちもあると思うので、自覚が生まれてきていると感じます。十分一軍で通用する力を持っていますし、まずは二軍で結果を残してもらって、しっかり勝てる投手になって欲しいですね」
7月23日には、ケガをしてから初めてシート打撃に登板。
打者6人に投げ、ヒット性の当たりは1本のみ。三振2つを奪い、ストレートは最速147キロを記録した。
勝野「感覚もいいですし、復帰後の初めてにしてはスピードも出ていたので順調かなと思います」
早ければ7月29日からウエスタン・リーグのバファローズ三連戦での登板が予想されており、一歩一歩復帰への階段を上る。
そして、その視線の先には先発ローテーションへの再挑戦が見えている。
勝野「今、先発で固定されている大野雄大さん、柳さん、慎之介、その三人にまずは追い付き、そして追い抜いていくこと。その目標に向かってこれから取り組んでやっていきたいです」
若竜よ、大志を抱け
前半戦の借りを返すために勝野投手の活躍は不可欠だ。彼の存在は貧打の煽りを食らい、疲れを感じさせていた投手陣を立て直すまさに救世主。
後半戦スタートと同時に先発陣へ加わり、両エースに負けない凄みのある投球を是非見たいものである。
ナゴヤ球場を本拠地にしていた頃は暑い8月を得意としていたドラゴンズ。勝野投手の“熱投”が強いドラゴンズ復活への起爆剤となるよう期待したい。
悶々としてストレス溜まりまくりのドラファンへ素晴らしい夏の思い出を贈ってくれることを願うばかりだ。
後半戦のロケットスタートを楽しみにしていますよ、立浪監督!
最後にナゴヤ球場で汗を流す若竜たちへ一言。
“若竜よ!大志を抱け!”
今がチャンスだ!結果を出し続け、この夏、バンテリンドームでしっかり爪痕を残せ!若竜の活躍なくして、ドラゴンズに明るい未来はない。
がんばれドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!
竹内 茂喜