敵をダマすには、まず味方から!川上憲伸、今だから明かす現役時代マル秘情報!
CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」燃えドラch
川上憲伸×小田幸平SP編
ゲストは今季より二軍バッテリーコーチとして8年ぶりにドラゴンズのユニホームを着る小田幸平さん!今回のテーマは「プロ野球裏情報」。小田幸平さんだけが知っている球界裏情報を語る!また、予告先発がなかった頃、中日の先発予想が分かりにくかった理由とは何だったのか?ベールに包まれた落合野球の徹底された情報管理が今、明かされる!
ベンチにいても諜報活動に余念なし
今回のお題目は“プロ野球裏情報”。
裏と聞くだけでなんだかドキドキワクワクしてしまうのは何故でしょうかね?(笑)
なんでも聞いて下さい!とばかり腕組みする小田さんの口から飛び出す話、それは一体何!?楽しみでなりません!
小田『憲さん、何が聞きたいですか?なんでもありますよ、裏情報!』
なんだ、このふてぶてしい口ぶりは!
まるで裏社会の売人みたいだ(笑)。
川上『一番知っとったのは当時って予告先発なかったやん。だけど幸平って、誰が先発するかとかよく知ってたりしたやんか』
おっ!それは最初から興味深い話!まるで007!
二番手キャッチャーとしてベンチに座っていたものの、裏ではスパイ活動をしていたのか!?
小田『あれね、別に情報をもらっているわけじゃないんすよ』
そりゃそうだ。情報もらっていたら、それは八百屋の長兵衛さん(笑)。
小田『めっちゃ見てたんすよ』
当時、小田さんは敵チームの誰々は足首が痛いとか、ケガをしているとか、ありとあらゆる情報を入手していたとか。
その情報って、どうやって入手していたの?
小田『試合前の動きとか見ていて。球場入ってからアップしていなかったりすれば怪しいなと』
なぁーるほど。並々ならぬ観察力こそが、生きたわけね!
川上『ホント詳しかったよな。その詳しさを自分の方に向けていたら、もっと活躍できたのにな!』
トーク初っ端から軽くジャブディスリ。
“それは言わんといてぇーな”と、声には出さず、ただうなだれる小田さん。
小田『それとこれとはちょっと別。でもそれだけのメモ帳がありました』
それって諜報メモ?
それはスゴイ!まるで作戦コーチだね!
小田『自分が出た時も役立つことが結構ありましたしね』
川上『あと、誰々がどこの監督、コーチになるとか、よく知っとったじゃない?』
うむ、これこそホントの裏情報かも。
小田『ボクは人間関係というか、他の人から情報が入ってくるんですよね。全然知らない社会人とか大学の監督から“こいつ来るよ”とか話が入ってきて。それだけでも情報になるじゃないですか。そういったつながりによって情報が入る友達は多いですね』
川上『友達が多いんだよね。向こうは友達とは思っていないかもしれないけど、自分は友達と思っているという』
はい、始まりました!今回も漫才モードに突入か?(笑)
アテ馬に憧れた元メジャーリーガー
現役時代、裏情報をよく知っていると評判だった小田さん。
ただ、それは自分の務めだと感じ、自ら率先して情報収集に励んだというから素晴らしい。
しかし時が経つにつれ、プロ野球界のルールも変わっていったことにつまらなさを感じているとか。
小田『今、面白くないじゃないですか?予告先発あるから』
たしかに予告先発ができた以降、当日の先発アナウンスでの楽しみが半減したものである。
川上『予告先発もそうだけど、昔ってさ、二番とか七番バッターあたりにウソの先発ピッチャーの名前が当てられたことがあったじゃない?』
小田『当てウマね!』
川上『オレね、実を言うと当てウマに名前が載りたかったのよ!』
小田『当てウマの話でいうと、小学校の時に“このピッチャー、ライトもするの?”と思ったことありましたよ!』
小学校時代から当てウマ起用していたチームがあったとは…それはそれで恐ろしい!
川上『巨人って多くなかった?』
小田『阪神とかもあったよ、結構』
あらま、気づけばタメ口(笑)
小田『ライト葛西とか。“えーっ!”みたいな』
お懐かしい名前!
アンダースローの葛西稔さんね!
忘れじのブルペン偽装工作
相手チームの先発ピッチャーを読み間違える。
これは戦う前からかなりのハンデを負うことにつながる。
そういえば落合監督が率いていた頃のドラゴンズは一切情報が流れないことでかなり有名だったのはちょっとした野球ファンであれば誰もが知る話。
他チームにとっては誰が先発登板するのか、かなり頭を悩ましたに違いない。
それはドラゴンズ関係者が皆揃って情報漏洩しなかったからこそでもある。
川上『あったねぇ。今だから言えるけど厄介だったのは…』
当時、山本昌さんは登板する前日にブルペンに入ることは新聞記者やメディアの誰もが知る話であり、憲伸さんは前々日にブルペン入りがルーティンとして決まっていた。
そこからが情報戦の始まり。
川上『明日先発するという日にも、オレが上手くブルペンに入ったふりをしていたんだよね』
当時憲伸さんは、ブルペンに入ってはまるで一汗かいたような雰囲気で、わざと膝あたりに土をつけて汚す小細工も施しながら、周りを騙しにかかっていたそうだ。
川上『明日投げるのに、こんなことしている場合じゃないのになぁとか思ってた』
フォアザチームのために色々と苦労していたわけね、憲伸さん!
小田『昌さんはそういうのが下手だったから。投げる前日のふりしてブルペンに入っては、ごはん食べてたりしてた』
憲伸さんのブルペン苦労話はさらに続く。
川上『オレ、投げたくなかったから。投げると疲れるから』
憲伸さんがブルペンで取った行動とは…それは自分が投げずにブルペン捕手に代わりにビュンビュン投げさせていたというのだ。
川上『オレがキャッチャーミットを持って、“パチコーン”と音をさせていたのよ!』
この作戦、実はワケあり。
憲伸さんがブルペンに入っても、いつも投げる音がまったく聞こえてこなくて、疑念を抱いた報道陣。
川上『報道陣から“本当は先発じゃないでしょ?明後日?”とか言われて、こっちは疲れた雰囲気を出して、“想像にお任せします”とか言って、ごまかしていた』
当時、先発を当てるのも番記者の腕の見せ所。そんな猿芝居だけでは騙せなかったのである。
川上『(番記者から)“今日投げてないでょ?音、聞こえなかったよ”ってね』
それを聞いてから憲伸さんは、近距離からキャッチャーに思いっきり投げさせては、ブルペンにミット音を響かせたのだとか。
川上『(キャッチャーに)自分で投げたら、“ストライクっ!”って言えって言ってたもん』
先発ピッチャーもつらいが、ブルペンキャッチャーもなかなかつらいものがあったのである。
敵をダマすには、まず味方から
先発がバレない様に苦心した憲伸さん。
実はキャッチャーの小田さんも先発がバレないよう、気を使っていたようだ。
小田『ボクがスタメンの時はイコール、山本昌さんだったので、森さんには結構言われていたよね』
スタメンがバレない様、普段通り練習しては何食わぬふりをしながら、試合に出ていた小田さん。
小田『めっちゃしんどかったけどね』
どうりで試合で打てなかったわけね。
あっ、これは失敬!
川上『意外とあの動きはあれで楽しかったけどね。だけど、あの開幕の川崎憲次郎さんだけは何も知らなかったから、上手く騙された』
落合監督一年目、2004年の開幕投手に指名されたのが当時3年間未勝利だった川崎さん。
ごく一部の関係者を除いて直前まで公表されなかった。
当時の開幕候補と言われていた憲伸さんはじめ、山本昌さんも指名を受けておらず、一体誰が投げるのかと開幕直前までチーム内はざわついていたという。
川上『当時、一瞬山本昌さんと仲悪くなったもんね』
その逆というか、憲伸さんが先発に指名されていたものの秘密を通したこともあった。
川上『日本シリーズの第一戦目が決まっていたんだけど言えなくて。山本昌さんが第三戦で決まっていて、外野のフェンス沿いをジョギングしていたの。オレはその日に投げるんだけど。落合英二さんから“今日、本当は憲伸だろ?”とか言われても、“ボクではないと思います”と、はぐらかしてね』
気が付いたら、一戦目に投げていた憲伸さん。
間違いなく、落合英二さんは人間不信に陥ったことでしょう(笑)
川上『落合さんの時は自分のチームも騙すくらい情報を伏せていたよね』
チームの同僚にも情報を漏らしていなかったわけだから、他チームは分からないはずである。
まさに常勝チームの鉄則!
まず自分のチームから“ダマせ”である。
(竹内茂喜)