魔球スライダーよりエグい球はストレート!鉄腕・岩瀬仁紀爆笑伝説 其の二
CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」燃えドラch
川上・井端のすべらない話シリーズVol.4 鉄腕・岩瀬仁紀 後編
ドラゴンズ黄金時代を支えた投打の両輪でもあり、97年ドラフト同期でもある川上憲伸、井端弘和が、グラブからマイクに代え、イバケンコンビを結成!燃えドラchというフィールドで球界裏話や同僚、ライバル話を大放出!
川上・井端のすべらない話シリーズ、今回は中日ドラゴンズのレジェンドクローザー、鉄腕・岩瀬仁紀さんの後編!いよいよ両氏が岩瀬さんの凄みを語り始める!
魔球スライダーよりエグい球
前回、笑いを織り交ぜながらも岩瀬さんの“モノの違い”を話し始めたイバケンコンビ。
そして川上さんがさらに核心を突いたネタを披露した。
岩瀬さんといえば決め球は言わずと知れたスライダー。
途中まではストレートと同じ軌道できながら、打者の手元で大きく変化。
全盛期は右打者の体に食い込むように曲がり、ボールが視界から消えたというエピソードが残っているほどだ。
しかし“死神の鎌”と異名がついた、そのスライダーより、凄い球を投げていたと口にし始めたお二人さん!
川上『みんな“岩瀬さんはスライダー”と思っているけど、一回取れば、なんとか想像でグローブを持っていけば取れるわけ。でも真っすぐはエグいぐらい動くもんね!』
井端『動く!動く!』
川上『“どう?ケンちゃん。今のストレート、ビシっといってる?”と聞くんだけど、心の中では“全然汚い回転ですけど”って(笑)。でも先輩だから言えへんやん。“いやあ、完璧ですよ!ストレート!”と、言ってるオレがいるわけ。本人は引退するまで、真っすぐはしっかり4シーム回転のキレイなボールを投げていたと思い込んでいたからね(笑)』
プロ野球は縦社会。大変である。
同じく後輩井端さんもFB以外でも岩瀬ボールには苦労したとか。
井端『ピッチャーゴロでダブルプレーを狙って、セカンドへ投げる時もいいところに投げてくるんだけど、最後にグイっと曲がる。まあ、こちらも分かっているからグローブを動かせて取るんだけどね(笑)』
投手、内野手である両人。二人がエグいと言っているわけだから、捕手は身をもっての体験がそれこそもう“エグい”に違いない。
川上『一年目で中村武志さん(現中日一軍コーチ)が岩瀬さんの球受けて突き指したのもストレートだったと、落合英二さん(現韓国・三星コーチ)が言ってたよ』
井端『145キロのストレートが凄い勢いで曲がってきたってね(笑)』
川上『中村さん、岩瀬さんの球を一球だけ受けて、“ヨッシャ!今日の岩瀬の調子は分かった!”と言って交代したんだけど、実は突き指をしたらしい。“あんなん何球も受けたら、指がいくつあっても足らんわ!”と言っていたらしい(笑)。それぐらいスライダーよりストレートが良かったっていう話。ムービングファストボールはまさに岩瀬さんの球じゃないかな』
井端『動くストレート。今の流行りで言ったらカットボールだね!』
毎年恒例となった新球開発
岩瀬さんと言えば、晩年よくキャンプ前の自主トレ中で新球を考案し、スポーツ紙の一面を賑わせていたことをドラゴンズファンであれば覚えているはずだ。
スライダーの軌道からシンカーの軌道に切り替わる謎の落ちる魔球スランカー、パームボールとチェンジアップの中間をとったチェンパなどなど。
そんな岩瀬さん新球開発話についても花が咲いた。
川上『岩瀬さんの凄いところって、あれだけ成績残しているにも関わらず、変化を試みていたでしょ?パームやナックルを試してみたり』
井端『ナックルも福留に投げて、いきなり打たれたら止めたとかね(笑)』
川上『基本的には試してもシーズン前に終わっちゃうんだけどね(笑)。使える球か分からないうちに、勝手に名前がついちゃって。マンちゃんボールとか、パームのようなフォークはフォッパーとか。ホッピーかなんか分らんけど(笑)。新聞もそれにつられて書いちゃっていたからね』
ディスりで場を盛り上げながらも、最後は話をまとめるご両人。
さすがイバケンコンビ!一流は違う!
井端『真ん中狙っても散らばってくれるから、バッターは戸惑うはず。唯一、開発して投げたのはシュートだよね。シュートが安定してきれいな真っすぐに見えたぐらい(笑)』
川上『チェンジアップもあったし、シンカーも記憶している。まあ、なんだかんだ言っても実際はどのピッチャーよりもコントロールが良かったからね。四隅に投げるコントロールは素晴らしかった!またボールの勢いっていうのは、スピードガン以上にあったからね。そしてボールも重かった。だから長い間やれたと思う』
バッターでも名球会級の腕前!?
そして話を締めるかなと思いきや、何故かバッター岩瀬へとなだれ込み!
川上『岩瀬さんの凄いところはまだまだあって、大学時代はバッターだったというのがね』
井端『あと一本でリーグ新記録だったらしいからね。もし新記録打ち立てていたら、ピッチャーやっていなかったんじゃない?』
岩瀬さんは地元愛知大学へ進学。打者として通算124安打を放ち、神野純一(元中日)に次ぐリーグ歴代2位となる記録を残した。大学3年時には外野手として大学日本代表に選出。当時は打者として注目されていた逸材であった。
川上『バッターだったら、どうなんだろうね。2000本とか』
井端『バッターでも十分あるんじゃない?送球は不安定だろうけど(笑)』
川上『そういえば岩瀬さんの衝撃話がひとつあってね。大学全日本のセレクションが明治大学のグラウンドであって、センター候補として来ていたの。常に一人で、寂しく弁当食べていて。誰も友達がいなかった感じで(笑)。まさかその岩瀬さんがドラゴンズに入った岩瀬さんと一緒とはホント知らなかったの』
そして岩瀬さんが入団早々、川上さんにパンチの利いた挨拶をしたという。
川上『“ケンちゃん覚えてる?あのケンちゃんがバカにしていた岩瀬です”って(大笑)』
最後も安定のディスりで、めでたく終了!
でもよく考えれば、これだけなんでも言えるってことは岩瀬さんの人柄あってのこと!
モノ分かりの良い、優しい先輩で良かったね!川上さん、井端さん(笑)
(竹内茂喜)