松坂大輔と鳥谷敬どうなる?ファンがヤキモキするプロ野球スターたちの明日

松坂大輔と鳥谷敬どうなる?ファンがヤキモキするプロ野球スターたちの明日

“平成の怪物”そして“猛虎のリーダー”の来季はどうなるのか?
中日ドラゴンズの背番号「18」松坂大輔投手、そして阪神タイガースの背番号「1」鳥谷敬選手の去就が、両チームのファンだけでなく多くのプロ野球ファンから大きな注目を集めている。

スーパースターが竜に舞い降りた

松坂大輔投手の今シーズンは、1軍登板わずか2試合、それも実績を残すことができず、右ひじの違和感もあって2軍のウエスタンリーグでも投げていない状態が続いている。
松坂投手がドラゴンズに入団して2年。ドラゴンズファンの気持ちを恋愛にたとえて表現すると「1年目は両思い、2年目は片思い気分」であろうか。
2018年1月、松坂投手が入団テストを受けて合格し、竜の一員になった時は嬉しかった。久しくスーパースターという存在がなかったチームに、他球団で一世を風靡した後のベテランとはいえ「全国区のスーパースター」が加わったのだ。直後の沖縄春季キャンプは圧倒的な「松坂フィーバー」、スポーツニュースも連日のように松坂投手そしてドラゴンズキャンプの様子を報じた。背番号「99」の松坂グッズは品切れになる人気ぶり、松坂投手の登板を見ようとナゴヤドームにはオープン戦から大勢のファンが詰めかけた。

両思いが嬉しい1年目

ナゴヤドーム©CBCテレビ

4月30日の横浜DeNAベイスターズ戦で復活勝利を挙げた日、竜党は歓喜に沸いた。全国のプロ野球ファンも拍手を送ったことだろう。そうさせる魅力が松坂大輔にはある。そしてその松坂投手がドラゴンズのユニホームに身を包み、ナゴヤドームのマウンドに立つことがファンとしては嬉しく、誇らしかった。それが「1年目の両思い」である。
2018年シーズン、松坂投手は11試合に登板して6勝4敗。カムバック賞を受賞した。そして背番号を自らこだわりのある「18」に変更して2年目のシーズンに歩みを進めた。

片思い気分に悩む2年目

ドラゴンズファン「両思いの恋」が2019年2月の春季キャンプから少しずつ揺らぎ始めた。キャンプイン直後、松坂投手は米国の永住権更新手続きのため沖縄のキャンプ地を離れて渡米。6年連続Bクラスの中、与田剛新監督を迎えての大切なキャンプだけに、ファンとしても驚いたが、松坂投手は強行スケジュールで“弾丸帰国”した。しかし今度は右肩の違和感が発覚しノースロー調整となった。「ファンに右腕を強く引っ張られた」と言われているが真相は分からない。そして5月、リハビリ中の練習日にゴルフをしていた問題。「こんなに愛して応援しているのに」とファンとして「2年目の片思い気分」を味わうような心境だった。

松坂投手はどうなる?

夏が来て、松坂投手は1軍マウンドに復活した。7月16日の阪神タイガース戦は、5回を投げて4安打2失点。勝ち星はつかなかったが、チームは6連勝して3位に浮上した。しかし2度目の登板となった7月27日の横浜DeNAベイスターズ戦は1回に8失点でノックアウト。再び1軍を離れた。8月に今度は右ひじの違和感が発覚して、その後の登板はない。球団は来季について松坂投手の意思を確認し「現役続行の希望」と発表した。球団の結論はまだ明らかになっていない。

虎のユニホームを脱ぐリーダー

CBCテレビ:画像『写真AC』より阪神甲子園球場

鳥谷敬選手は、ドラゴンズの松坂投手と違って、来季タイガースの縦じまユニホームを着る可能性がなくなった。球団から8月末に「引退勧告」を受けて、そのまま「阪神タイガース鳥谷」として選手生命を終えるか、他球団に移籍して現役を続けるか、この二者択一となった。
2003年のドラフト自由獲得枠で自らの意志でタイガースに入団、背番号「1」を背負い、ショートストップを守ってチームをけん引するリーダーだった。2014年オフに海外FA権を行使したが、結局タイガースに残留。年俸4億円の5年契約によって「生涯虎」を宣言した。

竜党も脱帽した猛虎魂

2000安打を達成した2017年のことを忘れない。それは5月24日の讀賣ジャイアンツ戦で頭部に死球を受けて鼻骨を骨折した時のことだ。連続試合出場がストップする危機だったが、鳥谷選手は特製のフェースガードを付けて翌日のゲームにも出場した。黒いフェースガードは異様な凄味を醸し出して、ドラゴンズファンとしても驚嘆したものだ。しかし今季は初めて開幕スタメンを外れ、代打として出場を続けているが、現時点でホームランも打点もない。これもプロ入りして初めてのことだ。

虎ファン心からの叫び

鳥谷選手に対するタイガース球団からの「引退勧告」について、虎ファン一筋である職場の同僚はこう語った。「引退宣言の後、もう1シーズン選手としてプレーしてほしい。ファンとして鳥谷のプレーを記憶に焼きつけたい」。そして、これが本音であろう虎ファン心理を続けた「できれば縦じまユニホームで終わってほしい」と。生え抜きスター選手に対する偽りのない気持ちだろう。1年前に、岩瀬仁紀、荒木雅博そして浅尾拓也らの名選手たちを喝采と拍手で見送ったドラゴンズファンとしても、心の底から理解できる虎党の心の叫びだった。

松坂そして鳥谷の明日は?

ファンは「おらがチーム」の選手を愛し全力で応援する。それは松坂投手や鳥谷選手のようなスター選手でも、2軍選手でも同じである。そして、できることならば応援する選手の方からも今着ているユニホーム、すなわちチームを愛していてほしいと願う。
ドラゴンズファンには「松坂大輔」という稀代のスーパースターに恋をする3年目が来るのか。タイガースファンは「鳥谷敬」という長年のリーダーにどのような形で別れを告げることになるのか。
両球団そして両選手の“決断”の行方をハラハラしながら見守る“竜虎の秋”である。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※記録については2019年9月5日現在です。
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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