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無観客キャンプに負けない!沖縄に届けドラゴンズファンの熱き竜愛エール

無観客キャンプに負けない!沖縄に届けドラゴンズファンの熱き竜愛エール

プロ野球ファンにとって、毎年2月1日からの春季キャンプは格別の楽しみがある。キャンプ地では、普段はグラウンドとスタンドというように距離が離れてしか会えない選手たちと身近に触れ合うことができ、そんな中で来たるシーズンに夢と期待を描く。
しかし、新型コロナウイルスはそんな貴重な機会を奪ってしまった。

無観客での淋しいキャンプイン

「サンデードラゴンズ」より北谷球場(C)CBCテレビ

世界中を席巻し続ける新型コロナウイルス。感染拡大の防止に向けて、独自の緊急事態宣言を出した宮崎県に続き、中日ドラゴンズはじめ9球団がキャンプを行う沖縄県も2月20日に緊急事態宣言を出した。玉城デニー沖縄県知事の要請を受けたプロ野球各球団は、沖縄県独自と政府の緊急事態宣言のどちらもが解除されるまで、無観客でキャンプを行うことを決めた。今から1年前、すでに新型コロナウイルスは日本国内でも感染者が見つかっていたが、キャンプは感染に警戒しながらも通常通りに行われた。それだけに、無観客キャンプは球界史上初めての事態となる。

竜を迎えるキャンプ地の熱気

春季キャンプ地のムードには特別なものがある。
ドラゴンズが沖縄県で春季キャンプをスタートしたのは、近藤貞雄監督時代の1983年(昭和58年)の石垣島が最初だった。1軍が現在の北谷町でキャンプを行うようになったのは星野仙一監督時代の1996年(平成8年)、今年でちょうど25回目になる。
北谷の球場周辺には応援ののぼりが立てられ、キャンプ地限定の選手グッズを売る店や数々の飲食店の出店も立ち並ぶ。一帯はにぎやかなお祭りムードに包まれる。北谷町役場では窓口に立つ職員たちが、思い思いに竜のユニホームを着て、歓迎ムードを盛り上げる。ドラゴンズの選手たちは、球場を拠点にブルペン、屋内練習場、さらに陸上競技場などを移動して終日練習するが、その移動の際にファンはご贔屓の選手に声をかけたり、サインをもらったり、“至福の時間”を過ごす。

ファンと選手の“密”

2019年春季キャンプの様子

その距離は近い。2019年キャンプの際に、当時ドラゴンズの一員だった松坂大輔投手(現・埼玉西武ライオンズ)が「ファンに腕を引かれた」と右肩の違和感を訴えたが、そんな事態も起きるほどに“密”だったのが当たり前だった。それはドラゴンズだけでなく、沖縄県そして宮崎県でキャンプを行う12球団すべてに当てはまる。ファンにとっては間近に選手に触れ合うことができ、球団にとってはファン拡大の重要な機会である春季キャンプ。2020年シーズンにペナントレース開幕を3か月も遅らせた上、観客数にも大きなマイナスをもたらした新型コロナウイルス、その影響はキャンプの歴史まで変えようとしている。さらに一部の外国人選手は入国制限によって来日のメドさえ立たない。ウイルス感染の影響は年が明けても続く。

与田監督の言葉が変わった!

「サンデードラゴンズ」より読谷球場(C)CBCテレビ

そんな中でも、3年目を迎えた与田ドラゴンズへの期待は高い。試合数も少ない異例のシーズンだったとは言え、8年ぶりにAクラスになったことは大きいだろう。「勝ち」を知ったからである。だからこそ、2021年シーズンは、10年ぶりのリーグ優勝に向けて「待ったなし」となる。与田剛監督の言葉も変わった。1年前の年初は「スタメン7人までは顔が浮かぶ」と、受けとめ方によっては“保守的”と思われたが、2021年は「ビシエドの4番すら決まっていない」「大野雄大が筆頭候補だが開幕投手も迷いたい」と選手たちの“競争”を煽っている。ここまで語るのは3年目にして初めてのことである。

野手の世代交代はあるか?

「サンデードラゴンズ」より平田良介選手(C)CBCテレビ

チームの変化は1軍の北谷組と2軍の読谷組、キャンプインの顔ぶれも表れている。けがや体調不良からの調整という要因はあるが、これも与田体制3年目にして大胆な振り分けとなった。セ・リーグの他球団に比べても、特に若い野手の台頭が見られないドラゴンズ。3年目の根尾昂選手に加え、石垣雅海と岡林勇希の両選手の1軍キャンプスタートは期待そのものだろう。読谷組になった石川昂弥選手を加えて、20歳前後の有望な顔ぶれが多いだけに、キャンプから誰がレギュラーに名乗りを上げるのか。
昨シーズン最後に肩のけがをしたダヤン・ビシエド選手の2軍スタートと違って、同じくけがが多い平田良介選手が最初から1軍キャンプに指名されたことも“緊張感”を高めている。14年ぶりにドラゴンズブルーのユニホームを着る大ベテラン福留孝介選手は、読谷組でのスタートだが、若い選手たちに復活へのパフォーマンスを強烈に見せつけてほしい。

1軍と2軍の積極的な交流を

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

投手陣は、昨シーズン、チーム最多の54試合を投げた祖父江大輔投手が2軍の読谷組、それに続く53試合だった福敬登投手が北谷組と分かれた。体調を考慮しての選択だろう。背番号が希望通りの「18」になった梅津晃大投手も2軍スタートだが、今季は1軍ローテーションの柱になってもらいたいと期待が高まる。ルーキー高橋宏斗投手は真新しい背番号「19」のユニホームに身を包み、プロの舞台でどんな投球を見せるのか。「無理をさせない」との狙いから、2軍でのスタート。与田監督に期待したいことは、1年目のキャンプ前に抱負で語っていたように、2軍キャンプ地にも積極的に足を運んで、チーム全体の戦力を見極めてほしい。そして初の臨時コーチに就く立浪和義さんの指導ぶりも楽しみだ。野手だけでなく投手も含めて、縦横無尽に指導してもらいたい。竜キャンプへの楽しみは尽きない。

2月1日のキャンプイン、こうした選手たちの雄姿を直接見ることができないのは本当に残念だが、ますます募るファンの思いは、きっとそのパワーを増すはずである。早くも桜が咲き始めた沖縄に向けて、ファンそれぞれの竜愛が熱く届きますように。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

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