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ベランダから飛び降りて車椅子生活に…増加する子どもの自殺をどう防ぐ?フリースクールが大切にしているのは「まず子どもたちを笑顔に」

ベランダから飛び降りて車椅子生活に…増加する子どもの自殺をどう防ぐ?フリースクールが大切にしているのは「まず子どもたちを笑顔に」

夏休みが終わり新学期が始まると、子どもが自ら命を絶つ悲しい出来事が増えると言われています。名古屋のフリースクールとベストセラー作家に子どもの命を守るためにはどうすればよいのか、話を聞きました。

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【動画】ベランダから飛び降りて車椅子生活に…実体験をもとに語った講演がこちら【9分12秒~】

学校とも家庭とも違う“フリースクール”とは?

CBCテレビ『チャント!』

愛知県内のNPO法人「ハッピーラボ」が運営する、名古屋市中区の「フリースクールたんぽぽ」。民宿だった木造の一軒家を改装し、3年前に開校しました。

ここに通っているのは小学生から高校生まで約15人。その多くが、学校生活に悩んで不登校になった子どもたちです。スクール内では、基本的に何をして過ごしてもいいルールで、パソコンゲームができる部屋、マンガを読んでいい部屋、ボランティアの講師が個別に勉強を教えてくれる部屋などがあります。過ごし方は自由ですが、いじめとけんかは厳しく禁じられています。

愛知県内に住む中学3年生の少年は、2年前から、ほぼ毎日ここに通っているそう。学校では人間関係が悩みだったといいますが、ここでは、その人間関係が楽しいと言います。

CBCテレビ『チャント!』

(中学3年生の少年)

「小学生まで何とかやってきたんですけど、中学校がつまらなくなって。たまたま、ここに来てみたら、すごく楽しかった」

一方、中学1年生の少女は、2か月前に親の勧めでここへ来るようになりました。

(中学1年生の少女)

「(きっかけは)一番は学校でやっていけるかな…という。でもここは、みんな優しくて、ちょっと安心できる場所だった」

学校にも家にも見つけられなかった「安心」がここにはあります。中には、キーボードとマウスを同時に操作するゲームで遊ぶことで、タイピングがすごく速くなった子も。

(ハッピーラボ・森美智理事長)

「ゲームの中でも“学び”がある。プログラミングではないけど、外国でも教材として使われているものなので英語も打てます」

夏休み明けはストレスが続く時期 子どもの自傷行為は年々増加

CBCテレビ『チャント!』

森さんは、自身の子どもが不登校だった経験から、この活動を始めました。

(ハッピーラボ・森美智理事長)

「学校に行けないということで、家庭が壊れるというのは、意味が分からなくなって。まず子どもが笑ってくれたり、元気にご飯を食べるとか。そこを大事にすればいいと思ってからは、いい方向に流れ出した」

この活動を始めて7年。夏休みが明けてしばらくたった時期も、子どもはストレスを感じていると話します。

(ハッピーラボ・森美智理事長)

「夏休み明けは学校に行きやすいタイミングだと子どもたちは解っているが、体がついていかない。でも、頑張れるんじゃないかとか、葛藤の中で過ごしている時」

追い込まれた子どもたちは、自傷行為を行ってしまうこともあるそうです。

(ハッピーラボ・森美智理事長)

「自分は“生きている意味”があるのとか。どんどん自分を責めていって、傷つける子が多いですね。ここに来ている子じゃなくてもたくさんの相談が私の方にも来ています」 国の調査によると、2023年の自殺者数は2万1818人。2022年に比べて63人減少しましたが、児童・生徒の自殺者数は513人と年々増加傾向にあります。

自殺未遂の体験を本に “生きづらさ”抱える人に言葉を届ける

CBCテレビ『チャント!』

16歳の時に、飛び降り自殺を図ってしまったというベストセラー作家の豆塚エリさんは、自らの体験を元にした本『しにたい気持ちが消えるまで』を出版しました。

(作家・豆塚エリさん)

「勉強もうまくいってなかったり、人間関係が元々得意ではないというのもあった。本当にふとした時に、もういなくなってしまいたい、死にたいという思いが、寄せては返す波のようにずっと心の中にあったという感じ」

成績が悪くなるにつれ、母親との関係も悪化。学校でも家庭でも居場所を失い、自宅のベランダから飛び降りてしまったと言います。

命はとりとめたものの、豆塚さんは首の神経を損傷。胸から下が動かなくなり、31歳となった今も車椅子生活が続いています。

(作家・豆塚エリさん)

「心は死にたがっていたけど、体は生きたがっていたし、死ぬことが怖かった」

身体に障害を負ったことで、気付いたこともあるといいます。

(作家・豆塚エリさん)

「今まで人を頼ることができなかったが、看護師さんや介護士さんとのふれあいの中で『ありがとう』と伝えたら、すごくうれしそうにしてくれた。そこで初めて『頼っていいんだ』と思えた」

CBCテレビ『チャント!』

現在は詩人として作家活動を続けながら、 “生きづらさ”を抱える人への講演活動を全国各地で行っています。

(作家・豆塚エリさん)

「自分が生きづらいのは、『自分が悪いんだ』とずっと思っていた。そういった居場所というのが、子どもには本当に少ない。自分の至らないところを、欠点を認めて上手に人に頼ることこそ、本当の自立だと今では思っていますが、なかなか難しいですね」

CBCテレビ「チャント!」9月17日放送より

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