「残ったのはオレだけ」甘~いタレがクセになるうまさ! 中華料理店で愛される「カツ丼」とは
ホクホクの炒飯に、熱々の麻婆豆腐。足しげく通い詰めたくなるどこか懐かしい味わいが、大衆中華料理店、通称「町中華」です。人気町中華に必ず存在する看板メニュー「常連メシ」を求め、名古屋市・中川区の「中華料理 喜楽」を調査しました。
懐かしい味わい! 町中華なのに名物はカツ丼?!
「中華料理 喜楽」を訪ねると、店内のあちこちで、カツ丼を口いっぱいに頬張るお客さんの姿が。
(男性客)
「カツ丼!カツ丼が食べたくて来た。中華だけどカツ丼が昔から有名」
メニュー表には、王道の炒飯や天津飯を差し置いて、カツ丼の文字が一番上に君臨していました。調理に使う豚ロース・卵・白米は、全て愛知県産というこだわり。一見シンプルに見えますが、客を引き寄せるパワーは凄まじく、常連歴5年の男性に尋ねると…。
(常連歴5年・男性)
「全メニュー食べて、カツ丼でファイナルアンサー。カツ丼一筋!」
男性は、全メニューを食べ尽くした結果、カツ丼一択だと言います。常連歴30年の男性客は、週2回訪れていて、多い時は2日連続で食べに来ていました。常連客は男性だけではなく、女性客にも熱烈なファンがいます。
(カツ丼歴20年・女性常連客)
「毎日来とるよ。マスターとはお友達。マスターが辞めたら、私が継ぐ」
カツ丼の味が好きすぎて、大将の跡継ぎに立候補する筋金入りの常連客までいるほどです。
「むちゃくちゃ甘い」カツ丼の決め手は秘伝のタレ!
なぜ中華料理店なのにカツ丼に引き寄せられてしまうのか、店内のお客さんに尋ねました。
(男性客)
「他のカツ丼と比べて甘い」
他にも「名古屋人にウケそうな濃い味付け」「タレが甘辛くてクセになる味」という感想や「甘口に仕上げた秘伝のタレを使っている」と言う声も。さらに、カツ丼の甘さが「記憶深くに刻み込まれる思い出の味」と語る男性は…。
(男性客)
「子ども時代から食べていたカツ丼の味が忘れられなくて。その店はもうないが、カツ丼の味が恋しいと思っていたら、たまたま『中華料理 喜楽』で(思い出の味と)同じカツ丼に出会って」
男性は、閉店してしまった愛知県・稲沢市の「中華料理 天楽」という店で、同じ味のカツ丼を食べた記憶が残っているそう。そして偶然入った「中華料理 喜楽」で、20年間探し求めた思い出の味に再会しました。
弟子たちに受け継がれる味 秘伝のタレの秘密とは
「中華料理 喜楽」の店主・植田哲郎さんは、約40年前に「中華料理 天楽」で修業していました。
(店主・植田哲郎さん)
「(『中華料理 天楽』にカツ丼があった?)あったよ!親方と一緒に作ったメニュー」
当時、「中華料理 天楽」の新しい看板メニューを探していた親方。植田さんと修業時代の仲間で、カツ丼のおいしい店などに通って研究し、味付けをアレンジして開発したそう。
秘伝のタレは、カツオだしと自家製の鶏ガラ中華スープをベースにしたしょう油ブレンドです。そこに砂糖を投入することで、中華と和食が融合したタレが出来上がりました。
(店主・植田哲郎さん)
「『中華料理 天楽』で修業した人でカツ丼やっている人は、オレだけ」
稲沢市で産声を上げ、独立した弟子たちによって継承されたカツ丼は、「中華料理 喜楽」を残すのみとなりました。ここでしか食べられないオンリーワンの味を求め、今日も常連客が集まります。
CBCテレビ「チャント!」5月21日放送より