中華料理店で「焼きそば」の注文殺到!?客の胃袋をつかむヒミツの“あん”とは
熱々チャーハンに、ジューシーな焼き餃子など、時々無性に食べたくなる味があるのが、大衆中華料理店、通称「町中華」!老舗の人気店には必ず、長年愛されてきた「常連メシ」が存在しています。そんな常連客が唸る看板メニューは、一体いつ、どんな瞬間に生まれたのでしょうか。町中華の「常連メシ」誕生秘話を、独自調査しました。
客の半数以上が注文する看板メニュー「五目焼そば」とは?
愛知県名古屋市昭和区にある町中華「泉秀」は、裏通りにひっそりと佇む、いかにも老舗といった店構え。この店の人気メニューはあんかけタイプの「五目焼そば」。店にいる客の半数以上が、その五目焼そばを注文していました。メニューは他にも沢山あるのに、なぜでしょうか?
店内には、ズルズルと麺をすする音が響き渡ります。そして出てきたのは、お皿いっぱいに盛られた「五目焼そば」。
(職場が近い常連客)
「平打ち麺がいいですよね。つるつるっと入りやすい。あんかけなので、麺に味が絡む」
そう、泉秀の「五目焼そば」に使用されている麺は、蒸しあがった焼きそば用の麺ではなく、大釜で茹でるラーメン用の「手もみ麺」。あんかけ焼きそばは、「のどごしが命」と語るご主人のこだわりです。
客の胃袋をつかむ“あん”の秘密は「自家製中華スープ」
麺の上にかけるあんは、豚バラと野菜を炒め、自家製の中華スープを醤油、塩、砂糖などで味を調え、片栗粉でとろみをつけたシンプルなもの。
(職場が近い常連客)
「パンチがある。深い!」
他店のあんかけ焼きそばには、甘いあんがのっていることが多いですが、「泉秀」では食欲をそそる絶妙な塩加減が、客から支持されています。
客がパンチのある味と評する理由について、ご主人に聞きました。
(店主・近藤秀光さん)
「味が濃いんじゃなくて、コク。これがないと料理にコクが出ない」
味に深みを与えているのは、鶏ガラと豚骨を丸2日間煮込んで作る、味のベースとなる中華スープ。創業以来、ご主人が1度も欠かしたことがない大切なルーティンです。変わった材料は入れておらず、とにかくコクを出すことにこだわっています。
(仕事ついでに立ち寄る常連客)
「この店以外で食べない、あんかけ焼きそばは。泉秀が一番おいしいので。」
ご主人は、特別にこだわっていることは何もなく、創業以来53年、メニューも変えていないと言います。
誕生秘話!常連メシを広めたのは、意外な客層だった…
53年前に創業した中国料理「泉秀」。当時、ご主人が意図したワケではありませんでしたが、“ある客層”が「五目焼そば」を“常連メシ”に仕立てあげたのです。
(自宅が近い常連客)
「白金商店街という看板があったころは(Qここは商店街だった?)喫茶店・雀荘・食堂」
「泉秀」は、主要道路から一本入った今は静かな路地にありますが、20数年前までは白金商店街でした。当時、5~6軒ほどあった「雀荘のお客さん」が出前で「五目焼そば」をよく注文していたんだそう。
(店主・近藤秀光さん)
「(Q雀荘で好まれたメニューが?)五目焼そば!汁もの(ラーメン)だと食べにくい。あんかけ焼きそばなら、食べながらマージャンできる」
時代が変わり、「泉秀」の周りにあった雀荘も今は0軒。麻雀客の出前はなくなりましたが、当時の客たちが会社の同僚を連れて来店し、「五目焼そば」を広めたそう。今では男性客だけでなく、女性客もやって来ます。
(店主・近藤秀光さん)
「年寄りがやってる店に来てくれるから…感謝」
中には、「五目焼そば」を容器に入れて、子どもや孫のために持ち帰る常連客の姿も。
誕生以来、皆に愛されている「五目焼そば」。今日も店内は常連たちで賑わっています。
CBCテレビ「チャント!」4月18日放送より