加藤愛アナが愛知県津島市の愛されフード『もろこ寿司』を調査! 郷土料理の絶滅を救った大将こだわりの逸品
その町以外ではあまり知られていないけど…地元の人はみんな知っている! その町で生まれ、根づく愛されフード。CBCの加藤愛アナウンサーが全力で調査します。今回は、『愛知県津島市』の『もろこ寿司』です。
甘辛い佃煮と酢飯が合体した郷土料理
聞き込みをすると、『もろこ寿司』は淡水魚の“もろこ”を使った押し寿司。「うちでは、おばあちゃんが作っていました」「お祝い事で食べる。昔の人にとってはごちそう」といった声が聞かれ、『末廣寿司』で食べられるそう。
おじゃました『末廣寿司』は、1948年創業の70年以上続く老舗。3代目の大将が作るランチの割子弁当や、名古屋柳橋市場から厳選して仕入れた豪華なネタの特上寿司などが味わえる、地元で愛されている寿司店です。
「津島の郷土料理です」と出してくれた『もろこ寿司』は、もろこの佃煮がギッシリとのった、ハレの日によく作られる押し寿司。加藤アナは「もろこが濃くて甘辛い。ご飯にも味が染み込んでいて、もろこにしっかりと付いた味を堪能できます。苦みがちょっときいているのもいいですね」と味わいました。
炊く1時間→冷ます1時間→並べて→押す3時間のこだわりの工程
『もろこ寿司』はシンプルな見た目とは裏腹に、実はとても手の込んだ料理です。まず、もろこを醤油、砂糖、みりん、酒と臭みを抑えるために少しお茶を入れて炊くこと1時間。そのあと冷まして味を染み込ませるのに、また1時間。そして、酢飯の上にもろこを隙間なくのせていきますが、なんと全部向きを揃えて重ならないように並べます。重なり合うと酢飯からはがれやすくなるためその防止と、見栄えの良さを追求したのせ方なのです。これを押し寿司にするために専用の道具を使い、圧力をかけて置くこと3時間。 最後は、ひとくち大に切り分けて完成です。
親子それぞれが考えた江戸時代からの味を盛り上げる方法は?
一説によると、『もろこ寿司』はこのあたりで江戸時代から食べられていたとか。水郷地帯である津島では淡水魚を食べる文化があり、かつては各家庭でもよく作られていました。しかし、30年ほど前、3代目が修業先から戻った頃には既に家庭で食べる習慣は絶滅寸前だったとのこと。そこで、昔からの郷土料理を残したいという思いから、津島の名物として店のメニューに加えたのです。
見た目が地味で“映えない”ことが気になっている3代目。息子さんに『もろこ寿司』が好きか尋ねてみると、「僕は好きです!」と迷いなく答えが返ってきました。そんな息子さんは現在、名古屋で寿司職人の修業中。「歴史ある郷土料理“もろこ寿司”を今後もつなげていきたい」と話します。さらに盛り上げていくために、3代目は「日持ちがするように冷凍技術を考えたい!」、息子さんは「映えをプラスした“もろこちらし”を開発出来たら!」と、それぞれ令和の時代に伝統を伝える方法を模索しているようです。
(CBCテレビ「チャント!」4月4日(木)放送より)