加藤愛アナが名古屋市瑞穂区の愛されフード『たぬきケーキ』を調査! 洋菓子界の絶滅危惧種に出会った!
その町以外ではあまり知られていないけど…地元の人はみんな知っている! その町で生まれ、根づく愛されフード。CBCの加藤愛アナウンサーが全力で調査します。今回は、『名古屋市瑞穂区新瑞橋(あらたまばし)』の『たぬきケーキ』です。
思わず「かわいい!」 食べるのをためらうフォルム
聞き込みをすると、『たぬきケーキ』はその名の通り、たぬき型のケーキ。バタークリームを使い濃厚なのにアッサリとした味わいで、かわいらしい見た目から子どもたちにも大人気だそう。早速、教えてもらった『オランダ』という店へ!昭和28年(1953年)創業の70年続く老舗『お菓子工房 オランダ』。地元の人たちが愛する『たぬきケーキ』は立体的で、加藤アナも思わず「かわいい!」と言うほど。
フォークを入れるのをためらいながら、「周りのチョコレートがパリパリしていて、中のクリームがものすごく濃厚。でも、クドさは全然感じないです」と味わいます。
メレンゲとバターの感触の見極めが決め手!
『たぬきケーキ』の特長は“バタークリーム”で、そこに入れる“イタリアンメレンゲ”がポイント。フワフワのメレンゲに、120度に熱したシロップを少量ずつ入れてさらに泡立てて作る、粘りが強いもったりとした質感のメレンゲです。これを使うことでバターを入れてもしぼまず、アッサリとした口当たりのクリームに仕上がるのです。
バターの状態も重要で、指で軽くつまめるくらいの硬さまで常温に戻します。硬すぎるとバターのダマが残り、軟らかすぎるとクリームにならないのだとか。メレンゲとバターのどちらも完璧でないと、滑らかなクリームができないのです。そして、コーティングのチョコレートはかけるのではなく、逆さにしてつけるという方法。かわいい顔も全部手作業で、たぬきの目と鼻の部分は親指と人差し指で摘まんで形作る、まさに職人技なのです。
「買うこと」は「捕獲」 マニアの中で密かなブームが!
『たぬきケーキ』の始まりは、60年ほど前の昭和40年代。売れ残った焼き菓子を有効利用するため、バタークリームを塗り、かわいくデコレーションしたのが誕生のきっかけといわれますが、高度経済成長期の流れで、どこからともなく全国的に普及したため、誰が始めたのかは分かっていません。昭和50年代以降、洋菓子の定番はバタークリームから生クリームに。さらに、昔ながらの職人の高齢化も重なり、現在も作っているのは全国で数百軒だとか。名古屋市内でも数軒しかなく、『たぬきケーキ』は洋菓子界の絶滅危惧種となっています。
そして今、たぬきケーキマニアの中で密かなブームが! 3代目いわく、「今“たぬきケーキ”を買うことを“捕獲”と言うんですね」と。「本日、捕獲しました」などと、各地のこのケーキの購入を楽しむ人がいるそう。名古屋の『オランダ』では、父、そして現・店主の3代目と2代に渡って、地元の子どもたちのために作り続けています。
(CBCテレビ「チャント!」1月4日(木)放送より)