三重県菰野町の愛されフード『ちんころ』を調査! 起源は戦国時代!? 一口サイズの激カワ和菓子
その町以外ではあまり知られていないけど…地元の人はみんな知っている! その町で生まれ、町に根づく愛されフード。CBCの加藤愛アナウンサーが全力で調査します。
今回は、御在所岳など豊かな自然に恵まれた『三重県菰野町(こものちょう)』の愛されフード『ちんころ』です。名前から想像もつかない『ちんころ』を早速、調査! 町の人によると、犬の形をしているかわいらしい和菓子で、『岩嶋屋』という店で作っているとか。親しみを込めて「ちんころさん」と呼ぶ人もいました。
『岩嶋屋』は、明治24年創業の老舗和菓子店。上品な甘さの餡を使った上生菓子やどら焼き、ほんのりとお酒の香りがする“うす皮まんじゅう”が人気ですが、お目当ての『ちんころ』は一口サイズの立体的な犬型の和菓子です。懐かしい素朴な味で、中には黒糖ときな粉がぎっしり詰まっています。「始めはしっとりとした食感、そして、深みのある濃い甘さが口の中に広がる」と加藤アナ。黒糖のコクによって、深みのある味になるのだそうです。
昔ながらの味を家族で守り続ける『岩嶋屋』で、現在『ちんころ』を作るのは6代目。代々、職人の技が受け継がれており、犬の形は木で作られた専用の型を使います。『ちんころ』は、この型にもち米の粉と砂糖などを混ぜて固めた落雁(らくがん)で、中の餡は、地元産の大豆から作ったきな粉と沖縄の波照間島産のコクのある黒糖を合わせたもの。落雁はぎゅっと固めても崩れやすいため、天候や湿度によって微妙な配分調整をし、かわいらしい犬の形が作られます。一晩おいた後、赤と緑の色を1つずつ丁寧に付け、最後に落雁が崩れないように蒸気を当てて固めれば、完成です。
7代目に『ちんころ』の名前の由来を聞くと、「“ちん”が犬。“ころ”が小さいという意味。だから“子犬”」だそうで、さらに菰野町の歴史とも深い関係があるとか。戦国時代に、織田信長の孫娘“八重姫”が菰野藩へ嫁ぎました。その時、嫁入り道具として持ってきた子犬のおもちゃに因んで作られたお菓子が『ちんころ』だとか。おそらく100年近くの歴史があるとのこと。昔は町内の和菓子店ではどこでも作っているものでしたが、今では2軒だけとなり、6代目は「うちが辞めるとなくなるようなお菓子。必要とされる間は作っていこうと思っている」と語ります。
そんな『ちんころ』を、少しでも多くの人に手に取ってもらうため、およそ10年前から地元の特産品“マコモタケ”を使った商品を販売。このイネ科の植物“マコモ(真菰)”は『菰野町』の名前の由来とされています。その葉と焙煎した茎をそれぞれ粉末にし、落雁に混ぜた2種類の『ちんころ』。葉で作った緑色のちんころは、お茶の風味のよう。茶色は、焙煎している分、香ばしい味わいです。
7代目は「和菓子は食べる機会が少ない。身近に感じてもらえるようなお菓子になってほしい」と話します。
(4月20日(木) CBCテレビ「チャント!」より)