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立浪和義ドラゴンズ新監督に贈る言葉「改革ではなく革命を!」

立浪和義ドラゴンズ新監督に贈る言葉「改革ではなく革命を!」
論説室コラム

立浪和義ドラゴンズ新監督に贈る言葉「改革ではなく革命を!」

 2021年11月2日(火) 10:30
北辻 利寿
北辻 利寿
「サンデードラゴンズ」より立浪監督就任会見©CBCテレビ
「サンデードラゴンズ」より立浪監督就任会見©CBCテレビ

「強いチームを作る。勝つために妥協はしません」
就任会見の冒頭で中日ドラゴンズの立浪和義新監督は、こう言い切った。3代目「ミスター・ドラゴンズ」が満を持して、再びドラゴンズブルーのユニホームに身を包む。
「待ってました!」という言葉が、多くの竜党の思いだろう。

負け癖が染みついた竜

ドラゴンズの低迷が続く。2020年こそ3位になって8年ぶりにAクラス入りしたが、このシーズンは新型コロナ感染拡大による異例の年で、クライマックスシリーズがなかった。一部の球団は早々に、翌年以降を視野に若手起用にシフトしていた。本当の意味での“Aクラス”と言えたかどうか。リーグ優勝ということからすれば、2011年の落合博満監督による連覇を最後に、丸10年遠ざかっている。厳しい言い方をすれば、チームには負け癖が染みついてしまっている。錆びついている部分もあるだろう。それが立浪さんの指摘する「負けている時にベンチで笑っている選手がいる。考えられない」という厳しさ欠如に結びついている。まずは“負け慣れた”空気を一掃してほしい。

立浪イズム「投手陣の整備」

「サンデードラゴンズ」©CBCテレビ
「サンデードラゴンズ」©CBCテレビ

勝つために「まず投手力」と即答した立浪新監督。2021年シーズン、ドラゴンズは鉄壁の投手王国を築いた。先発、中継ぎ、抑え、いずれも各チームがうらやむ顔ぶれ。その一方で、打線は大いに苦しんだ。チーム打率、得点そしてホームラン数はいずれもリーグ最下位で、打率とホームラン数にいたっては12球団でも最下位という深刻さだった。
ドラフト会議でも大学生外野手を3人指名するなど、弱点克服に取り組んでいるが、立浪新監督の目線は“投手”に向いていた。「打つ方は必ず何とかします」と力強く誓った上で投手力を語った。広いバンテリンドームを本拠地とする限り「守り勝つ野球」こそが勝つための条件と、12年間、野球評論家としてドラゴンズを見続けてきた眼力に迷いはない。その洞察力に期待したい。

「改革」では生温い!今こそ「革命」の時

ドラゴンズファンの期待は高い。新しい監督に対して、ここまで竜党のボルテージが上がるのは、いつ以来であろうか。2003年シーズンオフの落合監督誕生の時は、驚きの方が先に来ていたから、ひょっとしたら故・星野仙一監督以来か。しかし、あえて厳しい言い方をすれば、期待は一瞬にして失望に変わる。なぜなら、長きにわたってドラゴンズファンは、期待して裏切られ、また期待して裏切られ、それをくり返してきた。立浪ドラゴンズに切望することは、「チーム改革」などというレベルではなく、「革命」を起こしてほしい。それも最初が肝心である。かつてないほど期待が高い今だからこそ、是非その波に乗らなければならない。もちろん、まずはグラウンドでのプレー、新監督が語ったように“勝利への執念”である。その上で、ユニホーム、スローガン、背番号、選手の登場曲、ゲーム前後のパフォーマンスなど、様々な面での変化がほしい。ファンにとっては「何がどう変わるのか?」わくわくする日々がすでに始まっている。立浪新監督ひとりが背負うのではなく、球団フロントも本拠地のバンテリンドームも、しっかりスクラムを組んだ「革命」に期待したい。

引退試合からの“監督への道”

「サンデードラゴンズ」より現役時代の立浪選手©CBCテレビ
「サンデードラゴンズ」より現役時代の立浪選手©CBCテレビ

ドラゴンズファンとして入団以来ずっと“選手・立浪和義”を見守り、数々の名勝負を目に焼きつけてきたが、就任会見を見ながら脳裏に浮かんだのは、2009年9月30日、本拠地ナゴヤドームでの引退試合だった。立浪選手は6番でスタメン出場、体調への負担をなくすため守備は1塁を守った。見慣れないファーストミット。しかし打席での輝きは別物だった。4打数3安打、最後の打席は右中間への2ベースだった。自らの日本記録を更新する487本目の2塁打。プロ初ヒットも、そして最後のヒットも2ベースという野球人生だった。これから監督としてチームを率いる立浪さんにふさわしいのは、あの引退試合だったのではないだろうか。なぜなら、その瞬間から“監督への道”が始まっていたのだから。思えばあの試合こそが、今日につながるスタートラインだった。

飛べない天使が竜を天に導く

中村あゆみさんが歌った『翼の折れたエンジェル』は、現役時代の立浪さんが選んだ登場曲だ。青春のピュアな思いを綴った歌詞も、パンチの効いた切ないメロディも、どちらも素晴らしい1985年の名曲。しかし何と言ってもタイトルの「翼の折れたエンジェル」という言葉の響きが、何だか立浪和義という野球人とマッチする。スター選手ながら、あえて「翼の折れた」と自らを投影した胸中には、立浪さん本人が胸の奥に秘める“何か”が去来していたのだろう。決して華やかなことばかりではなかった。挫折も苦悩もあったはずだ。しかし、その痛みも抱えながら“飛べない天使”が竜を率いて天に向かって羽ばたくのだ。そんな舞台の幕が上がる。

2022年シーズンは、ドラゴンズにとって、球団史の新たなページが開かれる瞬間である。ファンとして、決してそれを見逃してはならないと気合いを入れ直す。心からのわくわく感と限りないエールを胸に、球場へ向かう日が今から楽しみでたまらない。
                            

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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