ドラゴンズ大逆襲の秋が始まった!与田新体制と秋季キャンプへの限りなき期待
プロ野球ドラフト会議から1週間以上たつが、中日ドラゴンズのホームタウン名古屋の街では「根尾フィーバー」が続いている。さまざまな場所で、さまざまな時間に、さまざまな人たちが「根尾」「根尾」「根尾」とその名前を挙げている。自宅近くのクリーニング店に出かけた。開口一番、店のおばさんが興奮気味に話しかけてきた。「こんなに嬉しいドラフトは久しぶりだわ!」。
ドラフトの嬉しい思い出は?
久しぶりという感覚はファンそれぞれである。
故・星野仙一監督が近藤真一投手を引き当ててガッツポーズした1986年(昭和61年)?
讀賣ジャイアンツそして阪神タイガースと3球団競合の末に堂上直倫内野手を獲得した2006年(平成18年)? それとも?
いずれにしてもドラフト会議における“久しぶり”の興奮であることは間違いない。
ドラゴンズファンはもちろん今回はファン以外の多くの人たちも同じ気持ちのようだ。地元のスター誕生を心から喜んでいる。ドラゴンズがドラフト1位の抽選で、甲子園のスーパースター根尾昂選手を引き当てたことのインパクトはとてつもなく大きい。
根尾獲得に興奮のワケ
沸き立つ理由は多い。
根尾昂という選手を春夏甲子園での大活躍で沢山の人が知っていること、ドラゴンズの地元である東海地方・岐阜県飛騨市出身であること、小学生時代にジュニアドラゴンズとして竜のユニホームを着ていること、ドラフト会議の抽選に勝ったこと、それも与田剛新監督が同じく讀賣ジャイアンツに復帰した原辰徳監督に勝ったこと、読書家であり努力家であるなど根尾選手本人の魅力が次々と伝えられたこと、これだけ多くの魅力的な要素が集まったならば、地元が興奮するのは当然だろう。名古屋市内の書店には根尾選手の愛読した本の特設コーナーまでお目見えした。
与田内閣への大いなる期待
そして、もうひとつの大きな理由、それは今季まで6年連続Bクラスと低迷するドラゴンズへの歯がゆい思いと復活への切実な期待である。
新監督として23年ぶりにドラゴンズのユニホームを着た与田新監督、そのコーチ陣も発表された。監督以下11人がフレッシュな顔ぶれ、その中でひときわ目を引くのが伊東勤ヘッドコーチの存在である。
現役時代は西武ライオンズの捕手として、パ・リーグ優勝14回、日本一8回を経験。ベストナイン10回、ゴールデングラブ賞11回の球界を代表するキャッチャーだった。そして西武ライオンズと千葉ロッテマリーンズの監督も経験し、2004年の日本シリーズは中日vs西武。落合博満監督との新監督同士の対決の末、ドラゴンズを打ち破った宿敵監督でもある。
その伊東勤さんが、ヘッドコーチとして入閣したのである。与田新監督とはWBC日本代表のコーチ時代からの縁と聞く。現役時代は一度もなかった、この“強力バッテリー誕生”にファンの期待は高い。
地獄の秋季キャンプに期待
秋風が心地よいナゴヤ球場で、そして蝉の声がまだ残る沖縄の北谷球場で、それぞれ秋季キャンプが始まった。
11月1日にナゴヤ球場のグラウンドに初お目見えしたスーツ姿の与田新監督は「地域密着のファンに愛されるチーム」「コミュニケーションをしっかり取る」「現状を踏まえてしっかり準備」この3つのポイントを挙げた上で「来年優勝したい」と強竜復活を力強く宣言した。
シーズン前の2月キャンプと違ってこの時期のキャンプは、ある意味ケガを恐れずとことん自分を鍛えることができる。6年間Bクラスのチームは人並みなことをしていては決して上昇できるはずはない。
「根尾昂」という大きな起爆剤を得た新生ドラゴンズ、厳しいトレーニングによる「地獄の秋」に期待したい。
【CBCテレビ論説室長・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。