殺虫剤よりも効果大?蚊を退治できる新技術が開発された!
夏の嫌なところといえば、ものすごく暑いことと蚊がやってくること。その季節が本格的にやってきてしまいましたが、蚊を駆除するのにあたり、最近、殺虫剤を使わなくても蚊が逃げていく方法が開発されたことが話題となっています。7月5日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、パーソナリティの多田しげおが、花王パーソナルヘルスケア研究所の難波綾さんに話を伺いました。
水に強い蚊
花王が開発したのは、殺虫剤ではない液体をかけると蚊が逃げるという仕組み。
これは界面活性剤の水溶液、つまり石鹸のようなものを蚊に振りかけることで蚊が逃げていくそうですが、なぜ蚊は逃げるのでしょうか?
難波さん「蚊はすごく水を弾く構造をしています。羽とか身体をよく見ると、すごく細かい毛がたくさん生えていて、しかも毛の1本1本が水を弾く素材、ワックスと呼んでいるんですけど、油のようなもので覆われています。
なので、水を吹きかけても、蚊は特に違和感なく飛ぶことはできます。
蚊って水辺で産卵しますし、ボウフラの時に水に住んでて、成虫になる時に水から出てくるんですけど、雨の後でも生きていくことができます」
蚊が逃げていく仕組み
水に強い蚊ですが、それがなぜ界面活性剤の入った水だと逃げるのでしょうか。
難波さん「一方で界面活性剤を使って表面張力を下げるというのは、水を油の性質に近づけるみたいなイメージです。
本来、蚊ってすごく油っぽいので、油である蚊と水は混じり合わないんですけど、界面活性剤があることで水と蚊がなじむようになって。界面活性剤を含む水溶液を吹きかけると、蚊が水で覆われるようになって落ちてしまうというメカニズムです」
油汚れが石鹸を使うことによって、水と一緒に流れていく現象と似ています。
では、蚊は実際にはどのような様子で落ちていくのでしょうか?
難波さん「飛んでいる蚊の羽に界面活性剤をくっつけるということもやっているんですけど、動かそうとしても動かせてなかったです。
落ちていく時も観察してみたんですけど、やっぱり羽を一生懸命動かしてるんですけど、落ちちゃったみたいな感じでした」
蚊が嫌がるもう1つの方法
花王では、実はこれ以外の方法として新しい技術を開発しています。その技術とは、なんと蚊に刺されない肌を目指したもの。
難波さん「今回は蚊の身体や羽根を濡らしたんですけど、こちらは脚を濡らすというもので、蚊が人を刺す時には当然人の肌に降り立ちます。降り立った瞬間、蚊に嫌な気持ちをさせれば、その後に刺そうとはせずに飛び立っていくのではないかと思って。
蚊の体重の80%、60kgの体重の人だったら50kgぐらいの力で一気にぐっと引っ張られるみたいな気持ちになって、蚊が嫌な気持ちになって飛び立っていくという技術です」
蚊が人の肌の上に降り立った時、実際にはどのような感触を得るようなイメージなのでしょうか。
難波さん「底なし沼みたいな感じですかね。沼の中に脚がぐっと引き込まれるような感じで、ヤバいと思って逃げていく感じです」
新しい殺虫剤が必要な理由
殺虫剤を使わずに蚊を退治できるメリットは、万が一吹きかけた液体が人にかかってしまうと危険ということもありますが、最近、殺虫剤が効かなくなってきた蚊も出てきたというのも理由の1つです。
難波さん「殺虫剤が効かない蚊が世界的に増えてまして。日本はまだ蚊って夏の風物詩ぐらいの感じなんですけれども、海外では病気を媒介したりして、かなり人にとって危険な生き物で、それで悩まれている方がたくさんいるので、まずはそういうところから届けたいというふうに考えています」
マラリアやデング熱、日本脳炎などが挙げられますが、熱帯化している日本でも、もしかするとそれらの危険が高まるかもしれません。その時に、この技術が役立つよう、一日も早い普及が期待されます。
(岡本)