「内密出産」に法制化の動きが。
「内密出産の法制化」に向けた議論が活発化しています。医療機関の担当者以外に身元を伏せて出産する内密出産について、自民党はプロジェクトチームを立ち上げ、支援の可能性の検討を開始しています。5月19日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、西村俊仁アナウンサーが「内密出産」について、アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士に尋ねます。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く内密出産とはなに?
西村「内密出産とはどういうものですか?」
正木「妊婦の方が医療機関の一部の方にのみ、自分の氏名、住所、生年月日、といった身元情報を明らかにして出産する方法のことを言います。
一般には妊婦の方は、自分の情報を明らかにして妊婦検診を受けて出産するという流れを通ります。
内密出産にいたる背景にあるものとしては、内密出産をした母とその親との関係に何らかの問題、虐待、過干渉、育児放棄などがあり、妊娠、出産のことをそもそも言える状況にない方、もしくは性産業、性犯罪、不倫などさまざまな予期しない妊娠によって、なかなか出生届けを出せない、出したくない、自分の身元を明らかにしたくない、どうしたらいいかわからないという状況で、でも産む、ということを選んだ方が行なっているものです」
ガイドライン
西村「内密出産は法律で規定されているんですか?」
正木「今の日本では内密出産に特化した法律はなく、現状の法律の枠組みで行なわれています。どういう形で行なうかは一応国のガイドラインがあります。
もともと慈恵病院はガイドラインができる前から現状を変えなければという認識のもとに受け入れを始めてきました。
しかし、病院を守るような法律の枠組みがないので、なんとかしてくださいと、病院とか市が掛け合っててきた。それによってガイドラインはできてきた。
ところが、ガイドラインは新たな指針を示すというより、今、あなたたちがやっていることは違法ではないです、と示すのみで、具体的な運用が現場とか自治体に任されていて、病院などの課題を解決するような状況にはない。
かなり大きな負担が病院側にかかっているという状況が問題になっています」
情報をどう守るか
西村「医療機関はどういう風にその人たちを受け入れるか、その情報を守るか、そのかかるコストをどうするか。産まれてきたお子さんをどこがどう育むか、そのお子さんはどう籍を残すか、問題はたくさんありますね」
正木「現状のガイドラインでは、まず医療機関に関しては内密出産がしたいという方が来られる。こどもにとっては自分がどういう親からどう生まれてきたかは極めて大事な情報です。まずは明らかにするように働きかけてください。
だけどなかなか難しい、少なくとも一部の人に明らかにしてくれるという状況が得られたら、その情報については、できればずっと病院が保管してください。
こどもに開示する状況、方法はお母さんの同意を得てくださいね、そういうことがざっくり定められています。開示が必要となったときは児相(児童相談所)とかを通じてこどもに伝えると定められています」
戸籍や養育
正木「次に戸籍をどうするか。こどもが生まれたら、一般的には出生届けを出して、戸籍が編成されますが、身元を明らかにしたくないということは親が出生届をすることは期待できない。
ということで、これは市区町村が職権で作ります。ただし、父親母親が空欄の戸籍ができます。
あとで私のこどもとして育てます、となったら、その母親の戸籍に入ることはできます。
では、誰が育てるのか。
基本的には児相などが保護するとなります。保護しなければいけないこどもがいると、医療機関から児相に通告されます。それによってこどもを守らなくてはいけないので。その後、養子などに出すという形でこどもを育てていくとなります」
どう法制化するか
西村「このガイドラインをどう法制化するかが今の議論ですね?」
正木「現状を追認しているのですが、新たな権利を定めるような法律がないという状況です。情報を永年病院が保管しないといけない。
将来、こどもが情報が欲しいと言ったとき、母親の同意が必要となりますから、母親との良好な関係も築き続けなければいけない。でも、母親が将来拒否したらどうするのか?
例えばドイツの場合、16年間は匿名性は維持します。こどもが16歳に達したら、こどもの知る権利を守ろうという形に切り替わります。
日本にはそういう法律はないので、独自の規定が必要だとなります。
また、公的な資金は出ていなくて、病院の徳意によって行なわれています。出産とかさまざまな医療行為を自腹で病院がというのも、永続的なシステムを考えると問題になります。
これは病院の好意ではあるけど、社会問題であって国の問題である。そうなると国のお金として支援をしていかなくてはいけない。特に医療機関は経営が厳しいところが多いということを考えると、国が下支えすべきではないか、様々法律が作られるべきではないかと今、議論が進んでいます」
西村「予期せぬ妊娠など困った人が身近にいた場合、今の段階ではどうしたらいいですか?」
正木「こども家庭庁が妊娠の相談窓口をまとめたポータルサイト、『思いがけない妊娠の相談窓口サイト』を開設しています。ここから電話、メール、LINE相談に飛ぶことができます」
(みず)
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