CBC web | 中部日本放送株式会社 / CBCテレビ / CBCラジオ

MENU

AppleとGoogleの独占に風穴。「スマホ新法」で何が変わる?

AppleとGoogleの独占に風穴。「スマホ新法」で何が変わる?

AppleとGoogleによるスマートフォン市場の独占を規制する「スマホソフトウェア競争促進法」、いわゆるスマホ新法が12月18日から全面施行されました。12月18日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、パーソナリティの永岡歩アナウンサーと元NHK解説委員で政治外交ジャーナリストの増田剛さんが、この新法の内容と利用者への影響について解説しました。

関連リンク

この記事をradiko(ラジコ)で聴く

ブラウザや検索が選択制に

新法の施行により、スマホを購入したりOSが更新されたりした際の初期設定で、ブラウザや検索アプリを選択する画面が表示されるようになります。

これまではiPhoneもAndroidも、電源を入れた時点で検索エンジンが決まっていました。

しかし今後は、AppleのiPhoneでは最新版のOSから検索サービスの選択画面が表示され、利用者が複数の選択肢の中から自分で選べるようになります。

アプリ外決済で安くなる?

もうひとつの大きな変化は、利用者がサービスを購入する際にアプリ外で決済を行なうことへの制限が撤廃されることです。

これまでゲームの課金などはアプリ内で行なうのが基本でしたが、実はアプリ内での決済には最大30%の手数料がかかっていました。そのため、本来300円程度のサービスでも400円で販売し、手数料分を利用者に負担させているケースもあったのです。

Appleなどはこれまで、アプリ会社が外部のウェブサイトへ利用者を誘導することを制限していました。アプリ内で決済されないと手数料を徴収できないためです。新法ではこうした制限が撤廃されます。

他社製機器との連携も改善

iPhoneについては、他社製のスマートウォッチと連携すると通知や電話の通信がうまく機能しないという問題がありました。Apple WatchとiPhoneであれば連携がスムーズで通知も届き、着信もわかりやすいのに対し、他社製のスマートウォッチでは電話が来ても気づかないといったケースが報告されていたのです。

新法ではOSの機能を他社に開放することを義務付けているため、Apple製以外のスマートウォッチなど周辺機器との連携がしやすくなりそうです。

独占解消はいいことだが…

増田さんはiPhoneユーザーとして、「ブラウザは当然Safariだし、アプリをダウンロードする時は常にApp Storeからやっていた。AppleのiPhoneなんだから当たり前だろうと思って、あまり考えてこなかった」と振り返ります。

しかし、他のアプリストアからもアプリをダウンロードできるようになれば、事業者はこれまでAppleやGoogle Playに支払っていたかなりの手数料から解放されます。開発者側が手数料の安いアプリストアに提供するようになれば、利用者がアプリを購入する際の値段も安くなるのではないかと期待を示しました。

「基本的には1社、2社が独占しているような状態はよくないですから、いい法律なんだろうなと思う」と増田さん。

自己判断が求められる時代に

ただ、気になる点もあるといいます。これまでApp StoreやGoogle Playはアプリに対して厳格な審査を行ない、マルウェアなどがないか検査を通ったものだけが販売されていました。

「我々はあまり深く考えずに、信頼して購入することができた。これからはApp Store、Google Play以外のところからアプリをダウンロードするということになれば、それぞれ見極めなければならない。逆に言うと、面倒かなというところはあるかもしれませんね」と、増田さんは自己判断の必要性を指摘しました。

第三者ストアの光と

アプリを配信するアプリストアについても、第三者による開発が可能になります。iPhoneを使っていても、App Store以外のアプリストアで同じ機能のアプリがより安く買えるということも出てくるかもしれません。

実際、売り上げの3分の1をGoogleやAppleに取られるというのは、アプリ会社にとって重荷で、十数年余りで数千億円もの手数料を払ったゲーム会社もあるといいます。手数料が15%、10%で済むアプリストアが出てくれば、そちらから出そうという動きが出てくるでしょう。

ただ、良い会社もある一方で、審査をかいくぐったウイルスのようなものが含まれたアプリが紛れ込む可能性もあります。

求められるネットリテラシーの向上

永岡は「スマホ新法ができて、僕たちにプラスがすごくありそうだなと一瞬思うんですが、僕たちのネットリテラシーがかなり高くなっていかないといけない」と語ります。

結局は今までの安心感のあるストアに戻ってしまい、その安心感を理由に価格が高くなっても買ってしまうという「逆転現象」が起きないようにしなければならないと懸念を示しました。

若い世代はデジタルネイティブで慣れているだろうけれども、ネットリテラシーを学んでいってほしいと語り、「ハッピーニュースだけではなく、ちょっと気をつけなければならない」と締めくくった永岡でした。
(minto)
 

この記事の画像を見る

オススメ関連コンテンツ

PAGE TOP