暑いのにエアコンが使えない!スイスやフランスで起こった非常事態

9月になっても暑さが和らぐことはなく、相変わらず猛暑日が続いており、エアコンがまだまだ欠かせません。ところが海外では、それらを動かすための発電に大きな影響が出ているようです。9月3日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、つボイノリオと小高直子アナウンサーが、海外の電力事情について紹介します。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴くなぜ?発電できない事態に
今年は観測史上最高の暑い夏となったと言われる日本ですが、同じ北半球のヨーロッパも例外ではありません。
今夏はヨーロッパでも強烈な熱波による暑さで苦しんでいます。
小高「この暑さの影響で、フランスやスイスでは相次いで原発が運転停止や出力制限をする事態が起こったそうです」
つボイ「暑いとなると、クーラーなども動かすのに電力が必要になる時期ですが、なぜそんな事態になるんでしょう?」
自然エネルギーと対極にあるイメージの原子力発電ですが、実は大量の冷却水が必要です。発電で温められた水は、海や河川へと排出されます。
ところが、フランスやスイスでは、排出された水の温度が生態系へ影響を及ぼす可能性があると判断され、原発が出力制限・停止を受けてしまったそうです。
海水温の上昇も影響
フランスやスイスには、海沿いだけでなく内陸の川沿いにも原発があります。川に排出された温かい水は海と比べて拡散しにくく、水温に影響を及ぼしやすいのです。
小高「海に排出すれば問題ないかというとそうでもなくて、フランスの北海に面した原子力発電所付近ではクラゲが大量発生して、冷却水を取り込むポンプにクラゲが入り込んで詰まり、一時原子炉が停止する事態になったそうですよ」
フランスの現地メディアでは「海水温の上昇がクラゲの大量発生に影響している可能性がある」と報じているとか。
つボイ「お盆を過ぎるとクラゲが増えるというのは、フランスでも同じなんですかね」
人間が招く生活への悪影響
小高「海水温が上がると、発電所で冷却に要する余分なエネルギーがかかるんですって。
そんな悪循環と、気温が上がれば今までエアコンなどの冷房器具が必要なかった地域でも使用するようになり、電力がより多く必要になるという悪循環。この2つが重なって、温暖化に拍車がかかったらこれまた大変」
エアコンが今まで必要なかったフランス・パリなどでは、温暖化の影響で冷房器具の需要が高まっています。
しかも古い建造物が多いため、景観の問題からエアコンの取り付けが簡単にはできず、家の中で手軽に使える冷房器具が人気というニュースもあったほどです。
日本の場合は海沿いに原発があるため、まだ冷却水排出にはそこまで大きな制限はかかりませんが、スイスの場合は内陸国ということもあり、原子力発電所が川沿いにしか作れません。
人間の生活が海水温や気温の上昇に影響を及ぼし、その結果巡り巡って発電に悪影響が出るというのは皮肉なものです。
(葉月智世)
番組紹介

読んで聴く、新しい習慣。番組内容を編集した記事からラジオ番組を聴いていただける”RadiChubu”。名古屋を拠点とするCBCラジオの番組と連動した、中部地方ならではの記事を配信する情報サイトです。