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鎌倉のファッションリーダー、神奈川県建長寺の木造地蔵菩薩坐像

鎌倉のファッションリーダー、神奈川県建長寺の木造地蔵菩薩坐像

毎週木曜日の『ドラ魂キング』では、CBCの佐藤楠大アナウンサーが仏像に関するトピックを紹介します。8月28日の放送で紹介したのは、神奈川県鎌倉市の建長寺にある木造地蔵菩薩坐像。鎌倉で当時流行っていたファッションがわかるというこの仏像を、三浦優奈にプレゼンします。

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神奈川県民と建長寺の関係

冒頭「神奈川県民は、小学校で必ず行くんじゃないかな?私は行きました」と語る神奈川出身の佐藤。

建長寺は、鎌倉武士の精神的よりどころで有名な鶴岡八幡宮を北に10分程歩いたところにあります。
1200年代に建てられ、東京ドーム1.5個分という広い敷地を有します。

入り口の三門、仏様がいる仏殿、法堂、大庫裏など主要建物が一直線に並んでいますが、この並び方は、創建当時の宗派に合わせたものだそうです。
縦に長い敷地を山の方に向かって進むので、体感としては東京ドーム1.5個分よりも広いという佐藤。

また建長寺は「けんちん汁」発祥の地としても知られています。建長寺では修行していた僧侶たちが精進料理として食べていたそうです。

佐藤「だから神奈川県の給食には、必ず月に一回はけんちん汁が出ます」

珍しく地蔵菩薩が本尊

建長寺の本尊が地蔵菩薩坐像です。座高およそ2.4メートル、台座を含めると5メートルにもなるそう。頭が丸刈りで、修行をしているような姿の像です。

佐藤「お地蔵さんと言うと、昔話の『かさじぞう』のイメージがありますけど、そんなにそのイメージと変わらないですよ」

過去に紹介したお寺の本尊は、仏像の位を表す如来・菩薩・明王・天部の中で一番位の高い「如来」でしたが、建長寺は珍しく地蔵菩薩を本尊としています。

佐藤「そういうこともあって、仏像好き、お寺好きな人たちが集まる有名なスポットにもなっています」

佐藤「地蔵菩薩というのは、笠かぶってるような地蔵や道で見かけるタイプと一緒なんですよ。仏像界の中でいえば、我々に一番馴染みがあります」

広く人々を救ってくれるのが地蔵菩薩の特徴。現世の我々が生きる地上だけではなく、地下の地獄にいる人たちも助ける菩薩。
そのため地蔵菩薩は死後の行き先を決める裁判官の一人で、閻魔大王と同一の存在とも言われています。

流行の最先端

建長寺の地蔵菩薩坐像について語る佐藤。

佐藤「頭が坊主で修行僧という感じ。この仏像、室町時代に作られた当時の多様化した流行を取り入れている点が特徴なんです。注目して欲しいのが、着ている衣の裾がだらーんと垂れてるところです」

過去このコーナーで紹介した仏像では、台座に彫られている花一つ一つに壮大な世界観が描かれているという話がありました。
ところがこの像では、その台座から衣が垂れ下がって、花に被ってしまっています。

佐藤「これ、何でだと思います?当時、鎌倉時代に流行した着物のデザインなんです」

佐藤いわく、時代とともに信仰の幅も広がり、仏像の作り手の意識も変わってきたとのこと。

佐藤「これは本当に珍しく、台座の上まで服がだらんとなっているのは、鎌倉時代に、鎌倉の地で流行った様式を取り入れているわけです」

この地蔵菩薩坐像が作られた鎌倉時代や室町時代になると、必ずしも正確に作るではなく、流行を取り入れてもいいという風潮になっているそうです。
つまり、この仏像は当時流行ったファッションを取り入れた姿だと語る佐藤でした。
(尾関)
 

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