恋愛感情につけこんで女性客に高額な料金を請求する悪質なホストクラブへの新たな規制や罰則の強化を盛り込んだ、「改正風俗営業法」が今週6月28日に施行となります。6月24日放送の『ＣＢＣラジオ ＃プラス！』では、光山雄一朗アナウンサーがこの「改正風俗営業法」について、アディーレ法律事務所弁護士の正木裕美先生に尋ねます。

ホストクラブを巡る社会問題

ホストクラブを巡っては女性客が高額な料金を請求されて借金を背負わされるケースが社会問題化しています。
今回の改正では、悪質なホストクラブへの新たな規制、罰則の強化が強化されるとのこと。

正木「ホストクラブだけでなく、キャバクラとかボーイズバー、ガールズバーなど、飲食店に適用になります。

そもそも今回問題となっていたのが、ホストクラブでの問題です。売掛金などが報道されましたが、もともと事前説明とは異なる高額料金を請求されるということがありました。

また、ホストクラブではホストとお客さんとの疑似恋愛が発生することが多く、そこにつけ込んで本来払える金額を超えてかなり高額な支払いをさせ、それを売掛金という形にする。払えないから借金のかたに風俗店に紹介したり、売春をさせたりすることによってお金を払わせることが横行していた」

増加する相談

正木「さらに風俗店で働くと普通の仕事より稼げることが多く、収入を把握して、その中で使わせるといったことが明るみになっていました。
それで、今回、お店とホストの両方に規制をかけていこう、という形で改正がなされています」

相談件数はどのように増えているのでしょうか？

正木「2024年は2,776件。3年前から700件も増加している。これは警察庁だけの相談になるので、実際はもっとあると思います。
相談内容は高額な支払い、路上の売春などが占めています。かなり増加傾向が見られます」

違反の線引き

具体的にはどういうことが違反になるのでしょうか？

正木「今回新たに設けられる主なものは、料金に対する虚偽説明。一番大きなものが、お客さんの恋愛感情につけこんで飲食を要求してはいけないという点になります。

お客さんが恋愛感情を抱いている。ホストも同様に恋愛感情を抱いているとお客さんが誤解しているとホストが知りながら、その状況を利用して『お金を使ってくれないと関係が破綻する』と告げること。
もしくは『お金を使ってくれないとホストが降格などの不利益を受ける』と告げるなどを禁止しましょうという話です。

恋愛感情を抱いていることを誤解しながら、使ってよ、楽しく飲もうよ、僕のことを応援してよ、という形でお金を使わせることは規制の対象ではないです。

あくまで、使ってくれないと関係が破綻すると告げる、あるいは僕が不利益を受けると告げてお金を使わせることを禁止しましょう。これをした場合は、営業禁止などお店に対する行政処分をしましょう、というのが規制のひとつになります」

判断基準が難しそうですね。

正木「捜査機関が細かい事実認定をするのは大変だとは思います」

店に3億円以下の罰金

違反店舗はどのような処分を受けるのでしょうか？

正木「ホストがそういうことをしていた場合、お店が営業停止になります。お店が『それは（ホスト）個人の営業方法だ』と放置することはできません。

他にも脅したり、料金の支払いのために売春をさせたり、性風俗店に勤務させたり、AV出演を要求することも禁止行為になって、こちらは刑事罰が下されます。6か月以下の拘禁刑、また100万円以下の罰金。こういうことをした個人に罰則が科されます。

あとは両罰規定というものもあって、個人だけでなく法人も一緒に罰しようねという規定もできます。

今までは、個人が何かをやって、お店に対しても罰則をかけようとなったとき、罰金の上限が200万円でした。営業の売り上げが、何億、何十億となった場合、抑止力になりにくかった。
なので、今回3億円以下の罰金となりました。だから、お店側もしっかり管理しないといけない、となりました」

利用する側の注意点

今回の改正で効果は期待されるのでしょうか？

正木「減る部分はあると思いますが、それを逃れようという業者は一定程度いるので、すべてが一掃されるわけではないと理解して欲しいです。

利用する側も利用されてしまう危険性があることを十分理解した上で、ご自身の経済範囲の中で楽しく遊ぶことが大事だと思います」

悪質ホストのトラブルにあったときは最寄りの警察署、警察相談専用ダイヤル＃9110など相談窓口に相談してください。
（みず）