屋外産業はどう策を講じる?企業の熱中症対策が義務化へ

6月1日から、職場で熱中症になるのを防ぐため、企業が熱中症対策を行なうことが義務化されました。企業には熱中症になる恐れのある人がいた場合、報告するための体制の整備や、必要に応じて医療機関に搬送する手順を周知することなどが求められるようです。6月2日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』にはこの話題に関して、建設業に従事しているリスナーから投稿が寄せられました。炎天下に身を置かざるを得ない立場の人たちは、一体どんな思いでいるのでしょうか?つボイノリオと小高直子アナウンサーがそれぞれの意見を交えつつ紹介します。
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厚生労働省によると、職場での熱中症による死者は3年連続で30人以上に上っています。
対策を怠った場合には6カ月以下の拘禁刑か、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
そんな中で寄せられた、建設会社に勤めるAさんからの投稿です。
「建設業では以前から熱中症対策をしっかりしております。それでも炎天下で火傷するくらいの温度のアスファルトを敷きならす作業の時は本当に大変です」(Aさん)
つボイ「外にいるだけでも大変なのに、アスファルトって熱いやつ扱うからさらにだよね」
熱中症を防ぐため毎年さまざまな対策グッズや予防策が講じられますが、屋外で長時間働く人たちにとってはまさに焼け石に水です。
つボイ「僕らみたいに室内で仕事をしている場合は、エアコンきちんと整備するくらいで済むでしょうけど。問題は外で仕事をする人。こういった人たちは熱中症対策が大変だと思います」
安全を取ると費用がかさむ
Aさんの投稿はさらに続きます。
「最近は工事費に『熱中症対策費』も含まれるようになりましたが、万全にやろうと思うと足りません。さらに真夏の作業が進みません」(Aさん)
つボイ「ちゃんと予算もかけているけど、十分でないと。最近は着ると空気が循環するエアコンスーツがあるけど、そういったものにも経費が掛かると」
熱中症対策費の補正は2019年から適用されていますが、現場の実態にはなかなか伴っていないようです。
「かといって涼しい朝や夕方にやろうと思うと『うるさい』だの『渋滞する』だのと言われてしまうので、本当に大変です」(Aさん)
つボイ「朝夕って道路が渋滞しやすいですし、夜中にやったら騒音になるし」
そうなると結局日差しの強い日中にやらざるを得なくなり、熱中症のリスクを背負いながら仕事をすることになってしまうようです。
社会の基盤を整える大切なインフラ業、そこに従事する人たちの安全を守るためには、一体どうしたらよいのでしょうか?
早期対応がカギ
小高「厚生労働省が出している今回の義務化に関する資料を見ると、現場でまず早急にやらなきゃいけないことは『死亡に至らせないこと』だって書いてあるんです」
熱中症かなと思っても、症状が軽いうちに涼しい場所に移動する、水分を取るなどの適切な処置を行なえば、改善することがほとんどです。ただし、それらをせずにいると重症化し、命の危険を伴います。
そうならないための手順やマニュアル、必要なものの準備を義務付けたのが今回の法案です。
また毎年夏になると熱中症による死亡事故が後を絶ちませんが、その死亡者の7割はやはり屋外産業に勤めている人たちのようです。
小高「普通は1日8時間働いて1時間お昼休憩を取りましょうって感じですけど。だけどあの炎天下、外で仕事する人に対して1時間のお昼休憩以外は働いてくださいって、それはもう無理ですよね」
熱中症対策グッズの用意やマニュアルの周知はもちろん、人員配備や働き方、労働時間の調整なども重要な要素になってきそうです。労働者と企業が足並みをそろえて酷暑に立ち向かう必要があります。
厳しさを増す一方の暑さの中、働く人たちに安全を約束するためには、今後ますます行政の支援や補助も必要になってくるのではないでしょうか。
(吉村)
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