廃業かM&Aか…悩む企業へのアドバイス

少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題となっています。そして、元気なうちに資産の管理や、次世代へのスムーズな承継について考えていく必要性も高まっています。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。5月14日の放送では金属のプレス加工をしている会社のM&Aについて北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ株式会社 経営承継支援 植田駿一郎さんに伺いました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く廃業を告知した後のM&A転向
今回植田さんが紹介したのは、金属のプレス加工をしている会社の事例です。
植田「年商は7000万円ほどで、従業員は4名。お仕事は、自動車部品の製造を行う過程で使用するダイヤモンド工具という金属を加工する会社」
なぜM&Aを選択したのでしょうか?
植田「社長さんが65歳で大病をしてしまい承継を考えたんですが、親族と従業員に承継できる人はいませんでした」
会社として継続できないとの判断から廃業を考え、取引先や従業員にその旨を伝えていたそうです。
そんな時に、取引金融機関から「M&Aという選択がある」とアドバイスをもらい、承継先を探す決意したそうです。
植田「ただ、ひとつ懸念点がありまして」
北野「ん、何かあったんですか?」
植田「M&Aをするにあたって、取引先や従業員さんに既に廃業することを伝えてしまっていたことです」
そこで、「期間を区切ってM&Aができなければ廃業する」という条件で話を進めたそうです。
非常にスピード感が求められた案件
買い手はすぐに見つかったのでしょうか?
植田「はい。同じエリアで金属加工業を営む会社さんで、日本のものづくりを支えたいという理念を持っていらっしゃいました」
売り手の技術や従業員の雇用の維持のため、買収に名乗り出たのだそうです。
その後、M&Aはスムーズに進んだのでしょうか?
植田「期限もありましたので、非常にスピード感が求められた案件でした。実際ご相談から成約に至るまで、わずか5か月」
その期間の短さから買い手企業をゆっくり選ぶ時間はなかったそうです。
北野「まぁでも結果的にはよかったんじゃないですか?」
植田「はい。ただ今回は、事前に廃業を伝えてしまっていたため、M&A実行時には退職してしまった従業員さんがいらっしゃったのは残念でした」
失ってからでは遅い
また、取引先の関係も結果的には維持できたのですが、「廃業と伝えてしまったことで恐らく不安を抱かせてしまったかもしれない」と植田さんは気がかりだったことを明かします。取引先からしてみれば、今後のために新たな協力会社を探す動きをしていたはずです。
北野「先走ってしまったんですね。もったいないなあ」
今回のM&Aのポイントをまとめた植田さん。
まずは、廃業をする前にM&Aという選択も考えるべきだということ。
またM&Aは時間がかかるので、自分の身にいつ何があるかわからないと危惧した場合、承継方法は早めに決めておくべき。
北野「いま廃業しようか悩んでいる経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください」
早めの行動を促した北野でした。
(野村)
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