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世界から批判。コアラ700頭が空から射殺された理由

世界から批判。コアラ700頭が空から射殺された理由

3月、オーストラリア南東部のビクトリア州にある国立公園で起きた落雷の影響で大規模な森林火災がありました。火災によって餌がなくなった公園のコアラを安楽死させるため、同国当局はコアラ700頭を上空から狙撃して殺処分。この処置には批判の声が多く上がっています。5月2日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、竹地祐治アナウンサーがこのニュースを取り上げました。聞き手は天野なな実です。

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餌のなくなったコアラ700頭を射殺

大規模火災により2200ヘクタール相当が焼けたのは、オーストラリア南東部ビクトリア州のブジビム国立公園。

火災の影響で多くの野生のコアラが重い火傷を負い、食料となるユーカリの木も消失しました。 
一帯が焼けた国立公園は人が入れず、獣医の見立てによれば公園内のコアラは衰弱を待つだけとのこと。

そこでビクトリア州政府は、ヘリコプターで上空からコアラを狙撃して殺処分するという安楽死の措置を取りました。
州政府は災害時の動物福祉計画に基づく処分だと話し、担当も射殺は人道的で迅速で適切だと説明しているということです。

30mの距離までヘリコプターが近づいていき、安楽死で射殺するべきかの判断を狙撃手が双眼鏡で見て確認して銃殺。 これを700頭に対しておこなったのです。

モヤモヤするニュース

オーストラリアでは鹿や豚などの外来生物に限定して空中駆除を実施しています。
ヘリで動物を射殺する国ではありますが、コアラの射殺に関しては地元の愛護団体からも批判が高まっています。

このニュースにもやもやするふたり。

天野「わかるはわかるんですけど、せっかく生き延びたコアラたちを助けるっていうことができずに、もう処分するしかなかったっていうのが、他になかったのかなって」

竹地「見過ごして見なかったことにして、そのまま自然の成り行きに従うのが良かったのか。いや、人がその焼け野原を無理してでも歩いて救う?これ本当にね、モヤモヤしちゃいますよね」

正解が出ないからこそ腑に落ちないニュースです。 

爆撃を指揮したカーティス・ルメイ

この「もやもや」を、ある本を読んだ時にも感じたという竹地。
その本とは、上岡伸雄著『東京大空襲を指揮した男 カーティス・ルメイ 』(ハヤカワ新書)です。

ルメイについて竹地は本を引用して説明しました。

「1945年3月10日、東京下町の住宅街に大量のナパーム弾が投下され、一晩で10万人もの人々の命が奪われた。これが東京大空襲である。(中略)この爆撃を指揮したのがカーティス・ルメイである。
彼はその後も日本各地を爆撃し、日本中を焼け野原にして数十万人もの命を奪った」

実は日本政府は、1964年にルメイへ勲一等旭日大綬章を授与しています。その理由は、航空自衛隊創設と発展に貢献ということです。

当時の日本メディアに「鬼畜」と表現されていたルメイは、それまで行われていた高い位置からの爆弾投下は効果的ではないとし、戦闘機を低いところに飛ばせ、爆撃を指示しました。
一般人が住んでる都市を殲滅するような作戦を指揮したことは、アメリカ軍で非常に評価されたそうです。

ルメイの合理性とは

この書籍で描かれてるルメイの特徴は、軍事的な合理性、現実主義がもともと備わっていたとのこと。
大空襲で無差別に民間人を殺傷することで自国のアメリカの戦死者を減らせ、それによって早めに戦争が終結すれば、その後の敵国・日本の犠牲者も少なくなるという合理性で爆撃を指揮したそうです。

竹地はこのルメイの考えにもやもやしたそうです。

竹地「勝者の論理なんですけど、ただこれ、『合理的』っていう表現でいいのか、ちょっと個人的に本当にもやもやする論理」

また、多くの日本人を犠牲にしたルメイに勲一等旭日大綬章を授与したことにも竹地は腑に落ちない様子です。 

考え続けることが大切

竹地「個人の感覚の中で良かれと思うことって結構危うかったりする。他の人からしてみたら『そりゃ違うだろう』っていうことはやっぱりあるかな、と思います」

「正義の反対はまた別の正義」という言葉があるように、正義の概念は多様です。

竹地「ちょっとこのもやもや、解決することはないんですけれども、ずっとそのもやもやを持ち続けるのも正しいことなのかなっていう風にも思ったりします」

700頭のコアラの安楽死。あなたはどう思いますか?
(ランチョンマット先輩)
 

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