高校球児・川上憲伸少年を投手に導いたのはカンパチだった?

元中日ドラゴンズ投手で野球解説者の川上憲伸さんが、3月15日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』に出演し、投手となるまでのエピソードを語りました。まるで少年漫画のような世界観の秘話を若狭敬一アナウンサーが深掘りします。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴くすべて徳島商業から始まった
川上さんは、徳島商業高校から明治大学。そして中日ドラゴンズへと進みました。
川上「徳島商業に入らなかったら、おそらくプロ野球の世界には来れてない。大学も行けてないし、ピッチャーにもなれてないです」
ちなみに野球を始めた頃、川上さんはピッチャーではなくショートだったそうです。
数年前、川上さんは中学3年生の時に自身をスカウトした徳島商業の部長と話したそうです。
当時の監督には「将来ピッチャーにしていきたい」という構想があったそうです。
いきなりレギュラー
徳島県のテレビの野球中継は読売ジャイアンツ戦が中心でした。
そんな事情から憧れのピッチャーは、斎藤雅樹さん、西本聖さん、桑田真澄さんら巨人のレジェンドだったという川上さん。
川上「だけど偶然というか運が良かったのか、僕いきなりショートでレギュラーを1年生からいただいたんです」
その時の徳島商業には、後にドラゴンズへドラフト2位で入団することになる佐々木健一さんという大エースがいました。
人生最大の喜び
1年生の秋の大会が終わり、冬に近い頃、ピッチャーへのチャンスがやってきたそうです。
ショートを守っていると、監督から「ピッチャーやってみろよ」という声が。
川上「いきなりバッターがいるところに投げて。この嬉しさは16~17年生きてきた中で、小学校5年生の時のクリスマスプレゼントぐらいでしたね」
小学5年生の時に味わったそれまでの人生の中で最大の喜びとは?話はそこへ逸れました。
川上「そのクリスマスプレゼントは夢だったんですけど。実際もらえてなかったんですけど」
夢で見たクリスマスプレゼント。何を貰ったのでしょうか?
川上「大型トレーラー貰ったんですよ。自分と一緒ぐらいの大きさのトレーラーが、朝起きたら布団の横にあって、もうごっつい嬉しかったですよ。目が覚めたらなかったですけど」
よほど嬉しかったようでハイテンションで語る川上さんでした。
投手としての第1球目
川上「やっぱり野球はピッチャーだと思ってましたから、きたぞと思いました。でも、待て待て、トレーラー事件あったぞと、頬っぺたポンポン叩いたらこれは現実だ。1球目投げました」
バッターが立っています。キャッチャーもいます。正式ではありませんが審判もいます。その10メートル後ろにはネット。ネットの向こうにはさらに高い金網もあります。
川上「ネット越えて金網にガチャーン。審判のやや10メートル後ろに、2メートル半ぐらいのネットがあって、その上の金網にガツーンって当たったのを覚えてますね」
4球連続大暴投。ストレートのフォアボール。「わかった、ショート戻れ」と戻されたそうです。
川上「だから夢ではなかったんですけど、夢で終わりましたね」
カンパチの誘い
川上さんの同級生に、あまり野球が得意じゃなさそうなマネージャー的な子がいたそうです。魚のカンパチに似ていたのであだ名はカンパチ。
現実を突きつけられて落ち込んでいた川上さんに、カンパチ君が「ピッチャー好きだよね?」と話しかけてくれたそうです。
「練習終わった後、僕でよかったら付き合ってあげるよ」と言うカンパチ君は、以前はキャッチャーをやっていたそうです。
カンパチ君のミットに投げる川上さんですが相変わらずストライクは入らず。「やっぱ諦めるわ」と言う川上さんに、「でも、誰もいないからどんどんやりなよ」と言うカンパチ君。
「やったりやらんかったり」と振り返る川上さん。この時、もうピッチャーを諦めていたそうです。
再びマウンドへ
ある日、カンパチ君が「もっとキャッチャーの方を向きながら投げたら変わるんじゃない?憲伸、投げる時に全然違うとこ向いてるよ」と言ったそうです。
川上「『じゃあやってみるわ』ってやったらちょっとまとまったんです。いっちょ前に球は速かったんで。そっからだんだん良くなってきたんです」
カンパチ君との秘密トレーニングがひと冬越えて、2年生の夏の大会が始まる前の練習試合で次のチャンスがやって来たそうです。
川上「ちょうど1個上のエースの先輩が右ひじ痛めて、左の2番手のピッチャーが急にイップスになってピッチャーが足りない。練習試合の2試合目の2番手のピッチャーがいなくなった」
カンパチ君との秘密トレーニングの成果は出るのか?川上憲伸さんのコーナーはちょうど時間となりました。胸躍る話の続きは来週へ持ち越されました。
(尾関)
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