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Meta社がファクトチェック廃止!IT大手に波及するトランプ氏への配慮

Meta社がファクトチェック廃止!IT大手に波及するトランプ氏への配慮

Meta社が、第三者による投稿内容の事実関係を確認する「ファクトチェック」をアメリカで廃止すると発表しました。この決定は、SNSが日本でも様々な犯罪に利用されるようになっている現状を受けて、チェック機能の強化が求められている流れに逆行するものとなっています。1月9日放送の『CBCラジオ プラス!』では、このニュースに関して、永岡歩アナウンサーとCBC論説室の石塚元章が解説しました。

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ファクトチェックの現状

昨年12月には1日あたり数百万件の投稿を削除するなど、大きな役割を果たしてきました。

しかし同時に、そのうち1~2割程度は規約違反に該当していない可能性があり、誤って削除された事例も少なくなかったことが指摘されています。

ファクトチェックとは、偽情報の疑いがある文章や写真などについて、情報源への聞き取りや写真・動画の分析を行なうものです。

近年ではAIで動画を作成したり、加工したりすることが可能になっているため、それが本物の動画や写真なのかを審査する作業も含まれています。

このシステムは2016年に始まり、60以上の言語でおよそ100団体が参加していました。

日本では昨年9月から始まっています。

コミュニティノート方式案

チェックの対象となる投稿には、選挙や災害などの危機的状況に関するもの、特定の民族や宗教団体などを標的にするもの、さらに大きな金銭的損失につながる危険がある商品に関するものなど、利用者に影響が大きいものが含まれています。

アメリカでこのシステムを廃止した後は、完全な野放しにするのではなく、「コミュニティノート」と呼ばれる、X(旧Twitter)が採用しているものに近いシステムを導入する予定です。これは利用者同士が誤解を招く可能性があると思った投稿に、補足情報を加えることができる仕組みです。

この変更の背景には、ファクトチェックを批判していたトランプ氏への対応があるとされています。

揺れ動くSNSの役割

Meta社は2021年以降、政治的な投稿が表示されにくくする対応を進めてきましたが、マーク・ザッカーバーグCEOは最近になって配慮が欠けていたことを認め、政治的な投稿への制限を緩める考えを示しました。

特に注目されているのは、投稿管理を担当するチームを、民主党支持者の多いカリフォルニア州から、トランプ氏や共和党支持者が多いテキサス州に移転する決定です。これはトランプ氏への配慮とみられています。

SNSが登場した頃は、権力者や強い力を持つ人々への批判が難しい状況で、匿名で問題を指摘できる場として機能し、それが民主化にもつながるとして高く評価されていました。

しかし、時代とともに権力を持つ側がSNSを利用することに気づき、自分たちに都合の良い情報を発信したり、批判する側を攻撃したりする手段として使うようになってきました。

IT企業と"トランプ回帰"

特にトランプ前大統領は、SNSを効果的に活用して、自身を批判する人々を貶めたり、支持者を引き寄せたりする発信を行なってきました。

例えば、トランプ氏が候補者だった時期に「難民が猫を食べている」という投稿を行ない、それに対してファクトチェック機関が根拠の確認を求めるという出来事がありました。トランプ氏らはこうしたチェック機能を快く思っていませんでした。

現在、IT業界の大手企業トップらが相次いでトランプ氏との関係改善を図っています。MetaのザッカーバーグCEOは、トランプ氏の熱心な選挙支援者を取締役に迎え入れ、Amazonのジェフ・ベゾス氏やOpenAIのサム・アルトマン氏も相次いでトランプ氏との会談を行ない、寄付を表明しているとされています。

興味深いエピソードとして、ワシントン・ポストで活躍してきた風刺画家が、ITの大手企業トップらがトランプ氏にひざまずいてお金を差し出している様子を描いた風刺画を投稿しましたが、オーナーであるジェフ・ベゾス氏の意向か、その風刺画は掲載が見送られたと報じられています。

高まる懸念と今後への影響

これまでトランプ氏を批判してきたIT企業トップらが、一転して支持を表明する動きに、多くの人々が失望感を抱いています。

特に懸念されているのは、ファクトチェック機能が失われることで、確認されていない情報が人々の認識に影響を与え、特定の人々を「悪者」として決めつける風潮が強まる可能性です。

こうした動きが世界にどのような影響を与えていくのか、注視が必要です。
(minto)
 

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