栃木県の郷土料理「モロ」の正体はサメだった!
12月30日放送の『CBCラジオ #プラス!年末SP』では、栃木県の伝統料理「モロ」を取り上げました。昔からこの地域で食べられているという「モロ」について、栃木市にあるなすび食堂の竹内令子さんに尋ねました。
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海のない栃木県で食されているという「モロ」、いったい何のことでしょう?
竹内さん「モロは宮城県沖で取れたネズミザメのことです。地元ではモウカザメと言い、それが訛ってモロと言われるようになりました」
ネズミサメは大きいもので3メートルほどあるサメ。高級食材の黒いフカヒレが取れるサメの一種ですが、栃木県では身の方をフライや煮つけにして食べるそうです。
スーパーでは、マグロ、カツオ、ブリがあるように当たり前にモロがあるそうです。モロの切り身は三切れぐらい入って200~300円ほどだそうです。
しかし伝統料理として伝えられてきた「モロ」、現在は魚離れの影響か、食卓に出るのが減ってきているそうです。
いつから食べられている?
「モロ」が食されるようになったのはいつ頃からでしょう?
竹内さん「江戸時代からと言われています。家庭では煮つけが多いようです」
サメにはアンモニアを多く含んでいるため、腐りにくい特徴があるそうです。現在のように輸送技術がなかった頃、海のない栃木県まで運ばれて来ていたとか。
生まれも育ちも栃木県の竹内さんは、小さい頃からモロの煮つけを食べていたそうです。
竹内さん「カジキマグロのような、鳥のささ身のような味です。とてもタンパクで上品な味です。フライは衣がサクッとしてて、中はふんわりです」
伝統を守りたい
伝統的な街並みの中にあるというなすび食堂。開業したのは15年前。
食の伝統を消したくないという思いからモロ料理を提供しているそうです。
竹内さん「歴史ある街だからこそ、昔ながらの地元の食材の文化を守り、知ってもらいたいという思いがあります。珍しい食事の体験は土産話になりますしね」
観光客はモロがサメとわかると驚くものの、実際に食べてみると「おいしいわね、お肉かと思ったわ」など、好評だそうです。
また地元の年配の客からは、「懐かしい」と言われることも多いとか。
栃木県のお雑煮
ちなみに栃木県のお雑煮は醤油ベースの出汁。具は鶏肉、ニンジン、シイタケ、大根、小松菜、蒲鉾などが使われ、焼いたお餅を入れるそうです。
竹内さん「家庭によってさまざまで、具だくさんなのは変わりありません。雑煮と書きますので、何を入れてもいいんだよと聞いたことがあります」
モロは入れないのか?と聞いてみると。
竹内さん「モロを入れるのはないですね。今度やってみます」
好評なら正月限定でなすび食堂のメニューになるとかならないとか。
サメのおかげです
栃木県では2月の初午の日には、しもつかれという伝統料理を作るそうです。
これは、節分で撒いた豆を炒って、酒粕、大根、人参、新巻鮭の頭を使って煮る料理。
なすび食堂では提供していないそうですが、豆撒きの後に食べる料理だそう。
最後に竹内さんにとって2024年はどんな一年かを聞きました。
竹内さん「漢字にするならまさに『鮫』です。今年はサメのおかげで取材などが多くありまして、モロを多くの方に知っていただき、来客される方も増えたので、出会いの多い一年になりました」
(尾関)