意外なストレス撃退法。「おやつ」に神経を集中すべし!
12月6日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』は「吉田たかよし先生に聞け!」と題し、リスナーからの健康に関する相談に、心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が答えていきました。今回はその中から2通の質問に対する回答を紹介します。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴くMCI(軽度認知障害)
まずは軽度の認知症を疑う相談です。
「義理の父が今年亡くなってから、義理の母が夜になると情緒不安定になり、言うことが毎日変わるようになりました。
先日も鍋をかけていることを忘れ、2階まで煙が上がりましたが『え、私、火をかけたか?』と言っていたり。
こうなってくると、少し認知症とか老人性鬱とか疑った方がいいのでしょうか?病院に連れて行くのも『自分はそんなんじゃない』と拒否されるのは目に見えています」(Aさん)
吉田「もちろん検査しないと断言はできませんが、すでに軽度の認知症になっているのではないでしょうか?」
吉田先生が可能性として挙げたのは、認知症の一歩手前の、MCI(軽度認知障害)。
吉田「いまテレビでさかんに特集をやっていますが、完全に認知症になってしまったら、それをもとに戻すことは今の医学ではできないです。
MCIの段階なら、しっかり運動したり、脳を上手に刺激することでもとに戻せます。『ただMCIくらいなら、まあいいや』と思ってしまう人が多いのですが、これは大事なことです」
北野「自治体によっては、公民館でMCIの人が再びちゃんとなるよう運動とか体操を教えていますね」
吉田「市町村にとってはMCIの段階で止める、戻すということが財政的にも非常に重要なのです。さらに運動がすごく効果があるのは世界中で実証されています」
妻を亡くした夫
Aさんの義母の異変は、やはり義父に先立たれたことがきっかけなのでしょうか?
吉田「パートナーがお亡くなりになったことをきっかけに脳の老化が一気に進むこともわかっています。
特に奥さんが亡くなって旦那さんが認知症になっていくというのはその逆(のケース)より多いです。精神的なショックと生活がうまくできなくなることがあります。生活が単調になる。
一番問題なのは食事です。腹さえ膨れればいいという食事になったり、家の中でも動かなくなりデーンと座って一日中過ぎていったりということが起きます。ご家族の方は注意して欲していただきたいです」
パートナーを亡くして元気がなくなるというのは仕方ないことですが、家族が声掛けして運動や生活習慣を整えることをすれば、また元気になることもあるようです。
なぜ怒るか?
続いてのメールは「すぐカッとする嫁に困っている」という夫からの相談です。
「(妻は)30歳くらいです。いつもなんかのことで怒っています。
僕はホットケーキを焼いて怒りを鎮めています。『怒ったときは甘いものがいい』と言われますが、なぜですか?」(Bさん)
この問いに、まず「そもそも人間がどうして怒るのか」を説明する吉田先生。
吉田「みなさん『怒ってしまった』と言いますが、脳医学的に言うと間違い。
怒るのはわざと貴重な脳内ホルモンとエネルギー源のグルコースを使ってわざと怒るんです。
なぜ怒るかというと、一番大事なのは自分の命にかかわる嫌なことが起きたときにその状況を改善するため。
特に餓死しないことが大事です。お腹が減っているときに食料を奪われたら、その人は怒らないと死にます」
続いて怒りと甘いものの関係性について。
吉田「逆に甘いものはすぐに栄養源になるので、脳は甘いものをとったら怒りを鎮めるような仕組みになっています。
いまメタボの対策やダイエットのために甘いものが敬遠されていますが、ストレスの管理という点では甘いものを上手に利用することが必要です」
おやつに集中する
脳へのよい効果のために甘いものの利用を勧める吉田先生。
吉田「甘いものをとるときは、そのおやつをよく見ること。
絶対やってはいけないのは、テレビを見ながらとか、新聞を読みながら、甘いものを食べることです。脳へのプラスの効果がかなり薄まってしまいます。
おやつを食べているときは、おやつに神経を集中すると、普通に食べているおやつの量の4分の1くらいの量で満腹中枢がしっかり刺激を受けて、ストレスも緩和するというデータが出ています」
北野「“ながら”食べすると結局いくらでも食べてしまうし、もっともっと欲しくなるんですね。ポテチをテレビを見ながら食べるといくらでも食べられますね」
吉田「これは医学的に見ると最もやっちゃいけないことです。『私は今、大好きな甘いものを食べている』という認識を持ちながら食べる。
これはメディテーション(瞑想)と同じ効果があります。メディテーションは鬱病の予防に役立ちますが、まさしくそれと同じ効果です。今やっていることに意識を集中するとストレスがしっかりと抑えられるという脳の仕組みが育ちます」
おやつを食べていることを認識しながら食べるとメディテーションと同じ効果が得られるとは驚きです。甘いものの食べ方を工夫することが大事なようです
(みず)