西田敏行さん、三國連太郎さん・丹波哲郎さんの謎の会話を明かしていた
10月17日、映画やドラマでの人情味あふれる演技で人気の俳優、西田敏行さんが虚血性心疾患で亡くなりました。76歳でした。20日放送のCBCラジオ『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』では、小堀勝啓が過去5回取材した際の思い出を語りました。
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小堀「本当にサービス精神いっぱいで楽しい方でした。時々フッと見せるシリアスな表情に奥深い部分を感じることがありました」と小堀。
小堀が訃報を知ったのは、17日に行われたこの番組の打ち合わせ中とのこと。
小堀は、西田さんが冒険家の植村直己さんを演じた『植村直己物語』(佐藤純彌監督 1986年)、漫画を原作にした『釣りバカ日誌』『星守る犬』(瀧本智行監督 2011年)など、映画のキャンペーンで5回ほど西田さんにインタビューしたことがあります。
釣りバカ日誌13
小堀が西田さんの話で一番印象深かったのは、が富山でロケをした『釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!』(本木克英監督 2002年)のインタビューだそうです。
『釣りバカ日誌』は毎回、『男はつらいよ』の様に舞台を変え、西田さん演じる鈴木建設の社員で釣り好きのハマちゃんと、三國連太郎さん演じる鈴木建設社長のスーさんの釣り合戦を軸に物語が進んでいきます。
この作品のゲスト俳優は丹波哲郎さんで、富山の製薬会社会長役でした。
天気待ちの休憩の時に、三國さんと丹波さんが堤防で腰かけて海を見ながらふたりで話をしていたそうです。
それを見た西田さんが感動したこととは?
絵になるふたり
西田さんは、三國さんと丹波さんの様子をこう話したそうです。
「あのくらいの俳優になると絵になるんだよね。映画のワンシーンを見てるみたいでした」
何話してるのか気になって、そっと後ろに近づいて聞いたそうです。
「何話してたと思います?いや、もう、これがねえ」と西田さんはニコッと笑うと…。
「全く驚いたんですが、何の会話にもなっていないんですよ」
三國さんも丹波さんも、海を見ながらポツリポツリと自分の思い出話や富山の景色のことを、相手に喋るわけでもなくそれぞれが勝手に話していたんだそうです。
しかし絶妙の間合いで、お互いの喋りに被ることもなく、ずっと会話をしているように話していたとか。
西田さんの目標
西田さんはこの光景を見ていたく感激したそう。
「あのぐらいの存在になると、何を喋ってるかは関係ないんですよね。ふたりがいて、勝手に喋ってるだけで良い。すごいなあと妙に感動したことを覚えていますよ」
これがおかしくてしょうがなかったと言う小堀。
小堀「『おかしいんだけど、やっぱり人間はああならなきゃダメですねえ』と言っていた西田さんも、それぐらいの年になる前、76歳で亡くなられました」
小堀曰く、西田さんは話術が巧みな方だったそうです。
落語や講談のように、その場にいたような体験をさせてくれる話術で、思わず聞き入ってしまうほどだったと振り返りました。
小堀オススメの一曲
小堀「西田さんは俳優としてもすごいんですが、歌手としてもすごいんです」
1980年から始まった西田さん主演のドラマ『池中玄太80キロ』(日本テレビ)。西田さんが歌う主題歌「もしもピアノが弾けたなら」(1981年)は第2シリーズに使用され大ヒット。
ちなみに西田さんは、さらに若い頃『ぎんざNOW!』(TBSテレビ)などのバラエティ番組に出ていて、エルヴィス・プレスリーのモノマネで注目されていたそうです。
「いかすぜ!この恋」はエルヴィスのモノマネに定評があった西田さんの面目躍如。大瀧詠一さんがエルヴィスのヒット曲のタイトルを繋げて歌詞にして曲をつけた歌。
小堀「西田さんの歌唱がもろプレスリーって感じ。みなさん、あんまり好きじゃなかったのかなあ。知る人ぞ知るって感じの曲です」
踊ってもすごい
小堀「西田さんはあの体型なのに、めちゃくちゃ踊りが上手くて軽やかなステップを踏むんですよ」
また西田さんは松崎しげるさんとも仲が良かったそうです。小堀は松崎さんから聞いた話を披露しました。
松崎さんのライブでのエピソード。観客の後ろの方で太った親父がツイストを踊って、ウケていたそうです。ステージではやりづらいなあと思って歌っていた松崎さん。
よく見ると、その親父は西田さんだということが分かり、「こっちに来いよ」と呼んだそうです。すると西田さんが嬉しそうに上がって来て「1曲歌わせろ」。
小堀「おかしいねえって松崎さんが話してくれました。西田敏行さん、ご冥福をお祈りします」
(尾関)