和歌山産みかんから生まれた「みかんくれよん」。生産者のこどもたちへの想い
10月8日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、みかんの収穫量日本一の和歌山県で、みかんの廃材から生まれた文具「みかんくれよん」を紹介しました。「株式会社はまさと」代表取締役社長南村真衣さんに、光山雄一朗アナウンサーとアディーレ法律事務所の正木裕美さんが話を伺います。
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今回紹介する「みかんくれよん」は、「一次産業をもっと身近に感じられるきっかけづくりとなれば」との思いから企画され、今年4月までクラウドファンディングで約100万円の資金を調達。5月下旬から自社サイトや地元の土産店で発売しています。
この商品には「おいしいみかんができるまでを描くクレヨン」とのキャッチフレーズが付けられていますが、この意味は何でしょうか?
南村さん「おいしいみかんができあがるまでの1年間を追いながら見つけた、間引きされる摘果のみかんとか、木を整えるための剪定枝、みかんの木でできた炭などの副産物の素材を使って作ったアップサイクルのクレヨンです」
「アップサイクル」とは本来捨てられるはずのものに新しい価値をつけて再利用することです。
南村さん「これらは本来自然由来のものばかりを使っているので、すごく柔らかくて素敵な色味が出てご好評をいただいています」
みかんから5色が
「みかんくれよん」は、オレンジ色だけではありません。全部で5色あるそうです。
南村さん「みかんのだいたい6分の1はオレンジ色になりますが、それ以外のものは間引きで落とします。その落とした時に取られる摘果の間引き青みかんが緑色になっています。
その他にも、みかんジュースやジャムなどの加工品を作るときにでる完熟みかんの皮とか、温州みかんと時期をずらして収穫される遅い時期のみかんの色とか、木の健康を守るために剪定した時に出る剪定の枝とか、みかんで作った炭。
そういうのを使って青、黄色、オレンジ、茶色、黒の5色を表現しています」
捨てられるものが商品に
正木「クレヨンをこどもと使いながら、これ何からできているんだろうと、会話が広がりそうですね」
畑に廃棄されているものの色味を、どうにかして生かせないかと常々考えていたという南村さん。
南村さん「農家さんに『おみやげを作るならどういうものを作ってみたいですか』とインタビューした時、『こどもが楽しめるようなものに変わったらすごく素敵だ』という声がとても多かったです。
ジャムとかオレンジジュースを作るというプロジェクトも同時進行で進んでいたのですが、捨ててしまうものを商品化してこどもたちに届けられたらいいなと思って、思い切ってクレヨンの企画生産化に踏み込みました」
素材の色をそのままに
この「みかんくれよん」は、2年ほど前から構想されていたものだそうです。
南村さん「クレヨンを作るということで『この5色にしよう』と決めたのが、この1年くらいのことです。同じみかんを使うといっても実を使うか、皮を使うか…商品化までには結構時間がかかっています」
正木「これって、素材の色を生かしてクレヨンを作っているんですね?」
南村さん「『これはみかんの色をイメージしているのですか』と聞かれたりしますが、実は着色料をまったく使ってなくて、本当に素材の色だけなんです」
こどもたちに伝える
南村さんが代表を務める「はまさと」は、和歌山県内にある隠れた産品を紹介し、販売サポートをするために作られた会社だそうです。
南村さん「農家さんに本当に何を作りたいか、どういうものが和歌山のおみやげになっていったらうれしいかと聞いていく中で、農家さんから『昔はこどもたちも農園に気軽に遊びに来た』とか、『みかんを取らせてあげたり交流があったけど最近は減ってしまった』という話を聞きました。
また、最近の子はものが収穫される手前で、農家さんがどういう作業をしているか知らないよねという話が出たので、農園の状況を思い浮かべられるような商品開発をしてきたいと思いました」
正木「こどもが農業とか農家に興味を持つことを守っていこうというのがいいですね」
「みかんくれよん」はオンラインサイト「5STAR MARCHE」で購入できます。
最後に「私たちの和歌山県は果物、野菜、お米もおいしい地域です。これをきっかけに和歌山県の農業に興味を持っていただくとうれしいです」と抱負を語った南村さんでした。
(みず)