憧れのつげ義春の世界は覚悟が必要?栃木県の秘湯「北温泉旅館」
毎週木曜日のCBCラジオ『ドラ魂キング』では、温泉好きの高田寛之アナウンサーが全国のおすすめ温泉を紹介しています。10月3日の放送で紹介したのは、栃木県那須町にある「北温泉旅館」。高田アナいわく「何年も前から行ってみたかった」と憧れていた温泉のレポートを、三浦優奈相手に披露します。
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高田「温泉大好きな人なら、あ~っていうところです。漫画家つげ義春の名作『つげ義春の温泉』に出てきた旅館。単行本を大事に持っていたんですが、引っ越しの時になくしてしまったようで残念です」
北温泉旅館までは、CBCのある名古屋市中心部から540キロ。
車では6時間20分で到着。
公共交通機関では、新幹線で東京駅を経由して東北新幹線の那須塩原駅からバスで1時間。
最寄りバス停から徒歩26分。名古屋駅からおよそ4時間半で到着するそうです。
『つげ義春の温泉』は、つげさんが実際に行った温泉宿の宿泊記録のような漫画。いわゆるボロ宿に泊まって怖い思いをしたという内容がほとんどだそうです。
高田「日が暮れてミシミシという音が自分の部屋に近づいてくる。ガラガラっと開いて、「ご飯ができました』。そんなシーンがあったり。幽霊が出て来るとかそんな漫画ではないんですよ」
下がるのに上がる
『つげ義春の温泉』は昭和40~50年代の作品です。北温泉旅館は、その時点でも、いわゆる古い旅館、歴史のある旅館として描かれていたんだとか。
高田「それが変わらぬ状態で令和の世の中にあるという。ミーハーな私は北温泉に憧れがありまして。行ってみたいという思いがようやく叶いました。嬉しかったなあ」
三浦「聖地巡りですね」
那須の山中なので行くのも大変。山の中の駐車場から400メートルの山道を下るそうです。
高田「急傾斜の階段がありますのでサンダルは絶対ダメ。『熊注意』という危機感を誘う看板もあります。ものすごい下りで、帰りはこれを登るのかと覚悟を決めていきました」
下って行くと漫画で見た露天温泉プールと、そこにあるこども用の滑り台が見えてきて、歴史ある建物も目に入ってくると「オーッ来た来た来た」とテンションが上がるんだとか。
プールは要水着
日帰り入浴料700円は券売機で払います。
中には○○の湯、××の湯というようにいくつか温泉がありますが、それぞれ離れた場所にあるため、他の温泉に入りに行く時は一度服を着る必要があるそうです。
三浦「結構めんどくさい」
高田「身もふたもないねえ。せっかく憧れの聖地に行ったんだから、そこも楽しみましょう」
三浦「ごめんなさい。聖地巡礼中なのに」
高田はまず入り口近くのプールがある浴槽に行ったそうです。そこは混浴で入る時は水着着用。水着を持っていない高田はここは断念。
高田「他のお客さんがいなかったんで、強引に入ってもと思いましたが、そこは大人としてのモラルがあります」
プールに入りたい方は必ず水着を持参してください。
ミシミシと移動
プールは入れませんでしたが、プールの脇にある小さい浴槽には入れたそうです。ふたり入ればいっぱいぐらいの大きさで、熱めのお湯。
かけ流しで多少湯の花があり、無色透明で癖のない温泉という印象だったそうです。
服を着て次の温泉へと移動。山の傾斜地に建っている旅館なので、入ったところが一階ではなかったりするとか。
高田「ミシミシと階段を上がって行ったり、なんやかんやぐるぐる回って行って、北温泉旅館と言えばここっていう『天狗の湯』にやって来ました」
人の体ぐらいの大きな天狗のお面がドンドンと2つ飾ってあるそうです。
天狗のお面がお出迎え
脱衣場やロッカーは仕切られておらず、着替えは棚に置くスタイル。中に入ると大きな天狗のお面が2つお出迎え。
高田「もちろん身体を洗う洗い場などという洒落たものはございません」
浴槽は床から掘り込まれている作り。床の高さが湯面だそうです。6~7人入れる大きさ。
泉質は単純温泉。無色透明でやや熱めな湯に、沢の湧水が入って少しぬるくなっているとか。褐色の湯の花が舞っているのが印象的だったそうです。
高田「旅館自体は、非常に癖が強いんですけど、お湯はびっくりするぐらい癖がない」
三浦「なんで?」
高田「そこは比例しなくていいでしょ(笑)」
帰りは覚悟が必要
高田「かけ流し量が豊富で、火照った身体を冷やしてもういっぺん入るとザバーッと溢れる。非常に贅沢でなおかつ貸し切り状態でありました。ありがとうございます」
『つげ義春の温泉』を読んで何年も憧れていた温泉への感謝の言葉を述べる高田。
ちなみにここはヤマザキマリさん原作の映画『テルマエ・ロマエ』(2012年・武内英樹監督)のロケ地にもなっており、撮影当時の写真が飾られていたそうです。
北温泉旅館では電話が圏外で、まさに秘湯。温泉ファンにとってはこういうところがいいんだとか。
一方館内にはフリーWi-Fiがあって、ネットは通じたそうです。
高田「お湯に入って散々楽しんだ後はめちゃくちゃ上りますから。車に辿り着いた時はハアハアハアと肩で息をするくらいです。帰りは覚悟してください」
温泉ファンだけでなく漫画ファン、映画ファンも行けば満足。
栃木県那須町の北温泉旅館でした。
(尾関)