70年間にも及ぶ大河ストーリー『源氏物語』
現在放送中のNHK大河ドラマは『光る君へ』にちなみ。8月17日の『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では「藤原道長と紫式部の世界」という特集を放送。ゲストに『平安の文豪』(ポプラ新書)の著者で、多摩大学客員教授、歴史作家の河合敦先生が出演し、紫式部と藤原道長を通して平安時代の社会や文化を深掘りしました。ここでは平安時代の恋愛模様などについて解説した部分を取り上げます。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く紫式部が有名になったきっかけ
まずは『源氏物語』の作者・紫式部が歴史の舞台に登場したいきさつについて。
紫式部が物語を書いたという噂が広がったことで、時の権力者だった道長が自分の娘である彰子の教育係に宮中に招いたことがきっかけです。
権力者は教養のある女性を女房という形で招くことが多かったのですが、これは娘などを天皇の妻にして、権力を維持させることが目的。
天皇が興味を持って自分のところに来てくれるよう、妻に教養をつけたり、面白い話ができる女房たちを置いておくという意図があったようです。
ただ、以前からいる女房たちは、下級貴族出身の紫式部を無視する事態に。
紫式部は悲しくなり「仲良くしてほしい」という和歌を詠むのですが、それでも無視される状況が続き、5ヶ月半もの間実家に戻っていたこともあるそうです。
妬みによる人間関係のいざこざは、今も昔も変わりません。
70年にも及ぶ物語
『源氏物語』の主人公は光源氏といわれますが、光源氏が亡くなった後も物語は続きます。その息子の薫や孫をはじめ400人を超える人物が登場、なんと70年間にも及ぶ物語なのです。
54帖ありますが大きく3部に分かれていて、第1部は光源氏の栄華、第2部は左遷され落ちぶれていく様子が描かれ、第3部では息子や孫が出てくる内容となっています。
『源氏物語』のストーリーは結構ドロドロで、光源氏は天皇の息子でしたが、母親は3歳で亡くなり、母親にそっくりな藤壺という女性に憧れを抱きます。
藤壺は父の妃となりますが、あきらめきれない光源氏と男女の関係となり、こどもを宿します。
つまり父の愛人に手を出して妊娠させるのですが、父は気づかず、その子は後に天皇になるという、現在では考えられないようなエピソードとなっています。
さらに光源氏の妻も不倫をしていて子を宿すなど、驚く展開が続きます。
光源氏のモデルは誰?
架空の人物である光源氏、藤原道長がモデルと言われてきましたが、これは本当なのでしょうか?
河合先生「記録がないのでわからないんですけど、道長がイケメンで女の子にモテモテだったとか、位が高いことでモデルだという説が強いですね。
ただいろんな説があって、おそらく複数の人をモデルにして1人に作り上げた可能性が高いですね」
さすがに実在の人物そのままで書いてしまうと、当人が激怒して物語の書物が燃やされそうですね。
北野も「言うても、京都の中でめっちゃ貴族がおったわけじゃないから、揉める元でバレちゃいますけどね」と語りました。
(岡本)