中日・福永裕基選手、二軍ですべきことに気づいて一軍で大活躍
中日ドラゴンズ2年目の福永裕基選手は、開幕は二軍でスタートし、現在は一軍で活躍しています。7月6日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』では、若狭敬一アナウンサーが今季の福永選手が活躍できている理由について明かしました。
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ルーキーイヤーだった昨年の福永選手は97試合に出場し、2割4分1厘、ホームラン2本、打点15、盗塁2、フォアボール20の成績を残しました。
今年7月3日時点では49試合に出場。打率2割6分6厘、ホームラン2本、打点6、盗塁5、フォアボール14です
今年は、昨年の約半分の試合数ですでに昨年を上回る成績も残しています。
昨年とは何が変わったのでしょうか?
福永選手が若狭アナに語ったところによると、「昨年1年間は一軍で数多く起用されて、結果を欲しがり、当てにいくバッティングが多かった」とのことです。
危機意識を持つ
福永選手は専修大学から日本新薬に入社し、全国大会で通算3割以上を記録していました。
入社4年目となる2022年、支配下の選手の中では最後に指名されてドラフト7位で中日に入団しました。
いわゆる「オールドルーキー」であり、すぐに結果を出さないと戦力外がちらつく年齢です。
そこで昨年は目の前の結果を求めるあまり、長打が持ち味なのに、当てにいくバッティングが多くなってしまったそうです。
2年目の今年、このままでは一軍と二軍を行ったり来たりの中途半端な選手で終わると思い、しっかり振れるバッターになることを目標にしています。
和田コーチの言葉
福永選手には、昨年のシーズン中から和田一浩コーチに言われ続けた言葉がありました。
「とにかくしっかり振りなさい。しっかり振るための準備をしなさい。タイミングの取り方を考えなさい。お前の魅力は長打。それを忘れるな」
この言葉で「自分がプロに入れた魅力は長打なんだからこれを貫こう」と強く思ったそうです。
しかし意識だけでは通用しません。
専属トレーナーに、バットを振るためにどう身体を使えばいいか、徹底的にアドバイスをもらい、筋力トレーニングもしたそうです。
データで分かった短所
昨年のデータから、2つの反省点が見つかったそうです。
1つは「右方向には打てるが、左方向には打てない」ということ。
右方向に打てるのは長所でもありますが、福永選手本来の魅力は、右バッターなのでレフトに大きな当たりを打つこと。
昨年のデータで見るもう1つの反省点は、「打っているのはストレート。変化球は全くと言っていいほど打てていない」ということでした。
若狭が取材すると「昨年は、ほとんどの打席で真っ直ぐしか狙ってませんでした」と白状したという福永選手。変化球で追い込まれることが多かったと自ら実感していたそうです。
若狭「結果を出したいわけですから、そりゃ真っ直ぐ狙いますよ」
ストレートを狙って甘めの変化球を見逃し、追い込まれると低めの変化球にがっついて空振り。このパターンが多かったんだとか。
二軍で決意したこと
2024年のキャンプでの課題は、打席で振ること、振るための身体を手に入れること、レフト方向に飛ばすこと、変化球を仕留めることでした。
オープン戦とともに熾烈なポジション争いが始まりました。
昨年はルーキーで開幕スタメンの福永選手でしたが、今年は果たせませんでした。
「一軍でやるためとはいえ、二軍で、結果欲しさに当てにいくバッティングは絶対しない」と決意したという福永選手、ある考えに気がつきました。
「言葉は悪いですが、二軍は結果を気にせず試せる場所ですから、僕は今年、一軍でやろうとしていることを二軍でやり続けました」
こう若狭アナに語ったそうです。
実は過去に、この番組で井端弘和さんが同じことを言っていました。
「二軍と言うのは一軍の練習の場所。二軍でやって来たことをそのまま一軍でやって、一軍で結果を出すのがプロ野球選手の仕事」
一軍と二軍を行ったり来たりする選手は、ここを勘違いしたまま終わるそうです。
二軍での大活躍
一軍でやることを二軍でもやろうと気づいた福永選手、ウエスタンリーグの27試合で、3割2分6厘、ホームラン3本、打点17、出塁率4割4分7厘、超打率4割8分9厘の好成績を残します。
さらに昨年ウエスタンリーグでゼロだった盗塁は11。急に脚が速くなったわけではありません。
盗塁に関する井上一樹二軍監督の方針が、今年は「行けたら行っていいよ」なんだそうです。
福永選手は相手投手の癖や配球を読んで盗塁をするタイプ。専修大学時代から盗塁をするようになり、社会人時代はかなり盗塁をしていました。
日本新薬の同僚からは「やっと走るようになったな。社会人時代あんなに走ってたのに、なんでプロで走らないんだって俺たち思ってたよ」と連絡が来たそうです。
立浪監督の助言
変化球を仕留め、左方向に飛ばせるようになり、盗塁もするようになって一軍に上がった福永選手ですが、低めの変化球を見極めることだけはできなかったそうです。
すると立浪監督からこんなアドバイスを受けました。
「スタンスを、ちょっとだけ狭めようか。そしてコマがクルッと回転する感覚で振ってみよう。そうするとお前の一番の欠点である低めの変化球の見極めができるようになるはず」
試合で試すと今までにない感覚があったそうです。スタンスを狭くしてコマが回転するような感覚で打つと、低めの変化球が自然と視界から消える。
消えると振る必要がない。今まで出ていたバットがピタッと止まるようになったそうです。
これらが結実したのが7月2日、長野県松本市での読売ジャイアンツ戦でした。5回表、0対1、1点ビハインド、ランナーをひとり置いて打席に立ったのは福永選手。
山﨑伊織投手が投げた甘めの変化球を振り抜き、打球は中日ファンの待つ左中間スタンドに吸い込まれていきました。
若狭「昨年から取り組んできたこと全てが繋がった、あの逆転の一発でドラゴンズは勝利を手にしました。福永選手、今後も期待したいと思います」
(尾関)