昨年より上がった!下がった!固定資産税の金額はどう決まるのか?
持ち家の方にとってこの時期にやってくるのが、固定資産税の納付書。昨年と比べて同じだったり、場合によっては上がったりする方もいるかもしれませんが、その時「家屋は古くなってきているのに、なぜ税金は上がるのか?」と思ったことはないでしょうか。CBCラジオ『北野誠のズバリ』の1コーナー「ズバリマネー相談室」では、税金や貯蓄、保険などお金に関する疑問や質問に対し、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナーが回答。6月10日の放送では、針田真吾さんが固定資産税の算出方法について解説しました。
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今回紹介する質問のおたよりは、次のとおりです。
「この時期になると、固定資産税の請求が来ます。役所から届く請求書なので特に何も考えず払ってきましたが、昨年と金額が変わっていないような気がします。
自宅が古くなれば税金も安くなるイメージでしたが、これは物価高なども影響するのでしょうか?
いずれは実家の固定資産税も私が負担することになるので、だんだん気になってきました。固定資産税はどのように決まるのか、教えてください」(Aさん)
針田さんはまず、固定資産税の内訳について説明しました。
固定資産税は原則、3年ごとに評価替えという見直しを行います。
つまり、土地代が上がっても建物が古くなっても3年間は同じ税額であり、Aさんの場合は今年が評価替えの年ではなかったため、昨年と同じ税額だったということになります。
土地と建物の価値で決まる
固定資産税は土地と建物に対して、役所が固定資産税評価額という価格を決めた後、さまざまな軽減措置によって価格が下がります。
その金額に対して税率が1.4%、都市計画税が0.3%課せられるのが一般的な計算方法です。
その評価額ですが、実際の売買額と比べるとかなり低く設定されています。
土地の場合は公示価格というものがあり、実際の取引価格よりも1、2割ほど低いのですが、さらにそこから7掛けされたものが評価額となります。
また、建物はだいたい新築時の価格の半分といわれていますが、例えば床暖房を付けると評価が上がるなど、さまざまなチェック項目があり、建物によってまちまちです。
昨年より上がるケースも
では「年数が経てば経つほど建物は古くなって価値が下がり、固定資産税も下がる」という考えは合っているのでしょうか?
公示価格が上がる以外にも、固定資産税額が上がる理由を挙げる針田さん。
固定資産税の評価は「再取得価額」というものに減価率を掛けて算出されます。
この「再取得価額」というのは、評価する時点でまったく同じ物を新しく建てるといくらになるかというもの。
例えば10年前に2,500万円で建てた戸建て住宅が、今の物価を加味して同じ材料などで建てれば2,800万円かかるとすると、再取得価額は2,800万円となります。
今後、材料費の高騰などで、再取得価額はどんどん上がっていくかもしれません。
一方、時間が経つほど減価率は減っていきますので、古くなればなるほど評価は下がるということになります。
減価率は年数によって決められているのと、木造とコンクリート造でも異なります。
木造は10年経つと0.5ですが、木造以外の場合は0.7397とそこまで減っていません。
また、木造は27年経つと0.2で止まり、それ以上は減りませんが、木造以外は45年経って0.2となって止まります。
新築の方は要注意
最近家を建てた方は、しばらく経ってからが要注意です。
戸建ての場合は3年間、マンションの場合は5年間、建物の分の税金は半額になっていて、長期有料認定を取るとさらに2年延長されるとのことです。
つまり、4年目、6年目、8年目のいずれかからは、いきなり固定資産税が上がってしまうということになります。
また、使わなくなった家がそのまま放置されているケースがありますが、これは以前、建物が建っていると固定資産税が6分の1に減るという制度があったため。
この制度が見直され、倒れそうな家は対象外としていましたが、さらに昨年からは窓ガラスにヒビが入っているなどの管理不全空き家と呼ばれる家も対象外としています。
また、京都市が2026年から空き家や別荘など普段使われていない家に対して、いわゆる「空き家税」をかけるという予定もあります。
針田さんは「これがうまくいくと、全国に広まっちゃう可能性がある」と語りました。
(岡本)