渋谷の産業を支えた「渋谷川」と「宇田川」“春の小川”のモデルになった川も…東京・渋谷の暗渠道を巡る旅
ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、川が流れていた場所の上にできた“暗渠道(あんきょみち)”をこよなく愛する道マニアの髙山英男さんが、東京都にある暗渠道から川とともに発展した街の歴史を紐解きます。
渋谷駅周辺を流れていた「渋谷川」と「宇田川」の暗渠道

髙山さんが訪れたのは、渋谷区。
(道マニア・髙山英男さん)
「今は都会の渋谷だが、もともとは川や谷がたくさんある街だった。漢字の“渋”は、浸食された凸凹な地形を表していて、その“渋”に“谷”があった渋谷は、暗渠の見どころがたくさん詰まった街」

かつて渋谷駅周辺を流れていた「渋谷川」と、その支流「宇田川(うだがわ)」。ともに現在は地下を流れる暗渠となっていますが、この2つの川が台地を深く削り取ったことで、渋谷は坂道に囲まれたすり鉢状の地形になっています。
そして、その崖に囲まれた谷底に当たるのが、渋谷駅の周辺一帯。急激な都市開発に伴い、1964年の東京オリンピックを前に川には蓋がされ、暗渠化されました。
川の痕跡が今も残る渋谷駅周辺

まずは、渋谷駅から公園通りを北上して西武渋谷店へ。「A館とB館の間には宇田川が流れているから、地下に連絡通路が造れない。今も地下に水路が通っている」と髙山さん。
西武渋谷店のA館とB館の間を通る道の地下には今も宇田川が流れており、地名の「宇田川町」も川の名前から付けられたと言われています。

続いて、宇田川の暗渠道を進み渋谷センター街へ。高山さんは、「この辺りは起伏だらけ。高低差目線で歩くと渋谷の道は違って見える」と言います。昔の川筋と思われる蛇行した道や、護岸の跡なども暗渠道のサイン。川の痕跡が随所に残されています。
代々木公園の側を通ってさらに進むと、髙山さんが珍しいと語るマンホールが現れます。

(道マニア・髙山英男さん)
「これは“伏せ越し(ふせごし)型”といって、水路や下水道を上下に通す工事を行う時、大型の機材を使った作業になるため、開口部が広くなっている。暗渠道は下水道に変えられている所が多いので、マンホールとかこういうのが結構目立つ」
唱歌「春の小川」のモデルになった「河骨川」

さらに北上し、住宅街へ。
(道マニア・髙山英男さん)
「代々木八幡や代々木上原の方へ向かっていく宇田川がさらに分かれて、ここには小さい支流の『河骨川(こうほねがわ)』が流れていた。“河骨”は植物で、河骨の花がたくさん咲いていたから名付けられた」
1912年に発表された唱歌「春の小川」は、「この河骨川がモデルになっている」と髙山さん。かつては緑豊かで、メダカが泳ぐほど美しい川だったそう。道沿いには「春の小川」の歌詞を綴った記念碑が置かれています。

続いては、高級住宅街として名高い「松濤(しょうとう)」へ。
(道マニア・髙山英男さん)
「『松濤』は、茶の湯の釜のたぎる音を、松風と潮騒にたとえて表しているそう。昔、この辺りはお茶畑だった」
約120年前まではのどかな茶畑が広がっており、この地で栽培された「渋谷茶」は、地域の大事な産業だったと言います。

かつて茶畑だった「鍋島松濤公園」には池があり、そのほとりには水車小屋があります。狭い谷筋に水が集中する渋谷川とその支流は水流も強く、水車が効率良く回ったため、かつて50近くの水車があったそう。
(道マニア・髙山英男さん)
「水車は、昔の動力源。これで米をつくなどしていた。電気が通って動力源が変わっていった」
渋谷の街を支えた「水車」

渋谷の産業を象徴し、文明と共に廃れていった水車。その痕跡を探るべく、渋谷川が流れる表参道へ。Y字路に差し掛かると…
(道マニア・髙山英男さん)
「ここには“村越の水車”と呼ばれる大きな水車があった。渋谷川を分岐させて人工的に掘られた水路で水車を回していた」

水車を効率よく回すため水車堀を作り、川を分岐させることで、本流の水量に関わらず安定して回せるようにしていたそう。また、こちらにあった水車は、葛飾北斎・富嶽三十六景「隠田(おんでん)の水車」のモデルとなった水車とも言われています。

最後に訪れたのは、表参道ヒルズのすぐ横にある「神宮前小学校」。こちらにはかつて水が湧いており、子ども達への教育や歴史を伝えるために水車の模型が置かれているとのこと。
特別な許可をいただき校庭にお邪魔すると、1957年に造られ、改修を重ねて五代目となった水車の模型が姿を現します。

1973年頃までは1日75トンの水が湧いていて、その力で水車を回していたとのこと。湧水はプールにも生かされ、夏でも冷たい水に歓声が沸いたと言います。
地域の方によると、表参道ヒルズの建設時、隣接する小学校を施設の屋上に移設する計画があったそう。しかし、渋谷の歴史を伝える水車がある現在の学び舎を残したいという保護者たちの声が集まり、計画は白紙に。
その結果、95年間、移転することなくずっとこの場所で渋谷の記憶を伝え続けています。
CBCテレビ「道との遭遇」2026年3月24日(火)午後11時56分放送より





