手掘りの隧道!? 道マニアが厳選する、トンネルが普及する前の古き良き隧道!
ミキの昴生と亜生の2人がMCを務める『道との遭遇』。全国の道に特化したVTRをミキが様々な視点で楽しんでいきます。今回は、道マニア歴24年の鹿取茂雄さんと、道マニア歴17年の石井あつこさんが過去に紹介した“隧道”の中から、厳選してお届けします。
日本は世界有数のトンネル大国!
国土のおよそ4分の3が山地の日本は、道路用のトンネルだけでも1万か所以上もあるトンネル大国。
「トンネル」という外来語が日本で使われる前の明治や大正などに造られたトンネルは、かつて「隧道」と呼ばれていました。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「知を結集して造った当時の人たちの思いが詰まった隧道が日本にはたくさんある。日本の道路は隧道無しでは語れない」
令和になった今でも全国各地に隧道と名がつくトンネルは数多く存在し、見るものを魅了する力があると鹿取さんは言います。
素掘りの隧道が4か所点在する「連続隧道」
道マニア・鹿取さんが厳選するのは、静岡県掛川市にある「連続隧道」。内部を鉄板で防いでいるだけの隧道は珍しく、出口付近を囲っているのはなんと発泡スチロール!
1つ目の隧道を抜けて進むと、今度は掘りっぱなしの2つ目の隧道が出現。さらにその先にも3つ目、4つ目の隧道が現れます。短い1本道に素掘りの隧道が4か所も点在し、このような連続隧道は非常に珍しいと言います。
明治17年頃に茶畑まで最短で行くための近道として造られたそうで、人々の生活を支えてきたことがうかがえます。
日本一狭い!? 軽乗用車が通るのもギリギリの「岩谷隧道」
続いても道マニア・鹿取さんが厳選するのは、静岡県掛川市にある「岩谷隧道」。
車が通れる隧道としてはおそらく日本一狭いそうで、高さ制限はなんと1.7m。中は軽自動車でも擦りそうなほどの狭さです。
鹿取さんが近所の人に聞いたところ、岩谷隧道は昔地域の住民たちが造ったそうですが、お金もかけられないのでギリギリの幅と高さになったのだとか。
入口だけ鉄板が備え付けられているのは、その部分だけ極端に崩れやすかったため掛川市がお金を出して補強したそうです。
ちなみに、鹿取さんは最近再び岩谷隧道を訪れたそうで、隧道の真ん中に約2畳の横穴を発見。戦時中の防空壕を掘り増ししたのではと推測していました。
1か所に集まる、時代を越えた「三世代隧道」
道マニア・石井さんが厳選するのは、栃木県佐野市にある昭和55年に開通した現役の「須花トンネル」。その脇には、明治・大正に造られた道と隧道が残されています。
須花トンネルの前に使われていたのは、大正6年に開通した二代目の「須花坂隧道」。車社会の発展で閉鎖され今は立ち入り禁止になっていますが、中はアーチ状のレンガ巻きでとても綺麗に残っています。
そして初代は、明治22年に開通した「須花隧道」。全長117mあり、機械などがない時代に地域の住民たちが手掘りで造り上げたそう。
3年で開通させる予定でしたが、固い岩盤で工事は難航し5年で資金は底をつきました。しかし住民たちの思いを汲んだ村の戸長が私財を投じ、8年もの歳月をかけて開通させたのだとか。それが今も変わらぬ姿で見せてくれていることが、石井さんはたまらないと言います。
他にも、千葉県にある「柿木台第一隧道」や「二階建て隧道」も紹介。
道マニア・鹿取さんは「魅力的な隧道がたくさんあるのでもっと紹介したい」と意気込み、隧道愛が止まらない様子でした。
9月27日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より