女性たちが抱える復職への不安とは?休職期間の理想と本音
ロールモデルではなく、身近な「隣の女性」が持つリアルな本音を取材・発信することで、「今」を生きる女性たちを応援したい――。 そんな思いから、CBCテレビは「me:tone編集部」を立ち上げました。
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職場復帰・再就職準備のセミナー画像は【こちら】日本は、夫婦の約7割が共働き世帯。その割合は今後も増加していくと考えられています。一方で、結婚や出産、体調、家庭の事情などを理由に一度キャリアを離れた女性にとって、復職へのハードルは依然として高いままです。
そこで今回の前半記事では、出産・育児などで離職し、再び働くことに不安や悩みを抱える女性を支援する『ママ・ジョブ・あいち』主催の職場復帰・再就職準備セミナーを取材。15名の参加者が語った“今の不安”や“率直な本音”、そして講師が示した「働く目的」「自分らしさの見つけ方」についてお届けします。
なお、後半の記事では、今回のセミナーから見えた“悩みの背景”を、社会の動向や企業側の変化と重ねながら深掘りします。女性の活躍を支える企業の探し方や、今知っておきたい最新の復職支援情報もあわせて紹介します。
(取材・報告;me:tone編集部)

不安を明確にして、次のステップへ
会場は名古屋駅前の『ウインクあいち(愛知県産業労働センター)』。17階フロアでは、再就職を考えている女性向けの無料相談や支援フェスタなどが随時開催されています。


今回のセミナーは『Reスタート!私らしく働く準備をはじめよう」をテーマに、国家資格であるキャリアコンサルタントの津村 美紀氏を迎えて行われました。参加したのは、愛知県各地から集まった30代〜50代の女性15名。共通点は「復職を考えている」ということだけで、職歴や家族構成などはさまざまです。
緊張が漂う中、4つのテーブルに分かれてセミナーがスタート。
はじめに津村さんが、教員からキャリアコンサルタントへと転身された経歴を語りました。
津村さん:「3人の子育てをしながら仕事復帰を悩み、教員には戻らず、友人が立ち上げたNPO法人に参加しました。思い切った決断でしたが、私のように、“こんな人生でもいいんだ”“こんな人生がいいな”と思えるきっかけになれば嬉しいです。」
続いて、参加者はワークシートを使って「いまの不安や悩み」にチェックをつけていきます。ブランクへの不安、職場の人間関係、子育てとの両立…など、気になるポイントが並びます。
津村さん:「漠然と不安を抱えていると、不安が不安を呼んで、決断が先延ばしになってしまうことがあります。まずは自分がどこに引っかかっているのかを明確にすることが大切です。」
さらに、キャリアを“1本の木”に見立てて説明します。
地上に見える枝や枝葉は、職歴、役職、年齢、資格、スキルなどの【外的キャリア】。
土の中にある根の部分は、価値観、想い、動機、習慣などの【内的キャリア】であると続けます。
津村さん:「仕事を考えるとき、履歴書に書ける【外的キャリア】ばかりを重視してしまいがちですが、自分らしさや心の部分である【内的キャリア】も同じくらい大切です。」

自分だけの宝物と、働く目的を見つけよう
不安や悩みを整理したあとは、『働く目的』について考えていきます。
何のために復職するのか――収入のため、自己実現のため、社会とのつながりのためなど、人によって動機はさまざまです。

津村さん:「目的に向かって動き始めるとき、まず大切にしてほしいのが自分らしさです。自分では当たり前すぎて気づいていないことも多いのですが、自分らしさこそが宝物なんです。」
その宝物に気づいている人は、能力を活かしやすいのだと津村さん。ポイントは、長所だけでなく短所にも目を向けること、成功体験だけでなく、劣等感や失敗体験も振り返ること。さらに、家族や友人にあなたらしさについて聞いてみるのも効果的だと話します。
津村さん:「家事や育児の経験から得た能力もきっとありますよね。限られた時間でも複数の作業をこなしたり、効率的に考えたり、精神力が鍛えられていたり。若いころに苦手だったことが、今ではできるようになっていることもありますよね。そうした積み重ねが、今のあなたの強みです。」
また、人には“創意工夫して進むのが好きなタイプ”と、“決まった型通りに進めることが心地よいタイプ”がいます。家庭でも仕事でも「自分はどう動いたらやりがいを感じるタイプなのか?」という自分の行動メカニズムも知っておくのも大切です。
参加者が語った、復職への不安と本音
ここで、ワークシートを使い「私の人生の目的」について考える時間に。『私の人生の目的』をテーマに( )の空欄を埋めていきます。
・私は( )な人生にしたい。
・そのために( )をしていきたい。
津村さん:「はっきり決まっていなくても大丈夫です。自分が笑顔になれる、元気が出る、楽しくなる、ワクワクする…。そんな言葉で書いてみてください。」
続くグループワークでは、それぞれの働く目的や自分らしさについて語り始めます。それまで静かだった会場が、一気に活気づきました。

Aさん:「とにかく人と接する機会がほしいです。自分らしさはうまく書けませんでしたが、家族を大切したい気持ちは強いです。」
Bさん:「働いていないと後ろめたい気持ちになり、夫婦ゲンカのときに強く意見を言いづらくなってしまいました。」
Cさん:「20年以上働いていたのに、退職した途端、人と話す機会がなくなりました。。働く目的は、まずは自分が楽しむためのお金があればいいなと思っています。」
Dさん:「子どもとお出かけするための資金や、将来留学したいと言われた時に応援できる余力がほしいです。」
Eさん:「教育資金が足りなくなり、そろそろ正社員を目指したいと思っています。家族が一番大切で、その次に自分が心豊かに過ごせることですね。」
それぞれの想いや背景は違っても、「家族を大切にしたい」という声が多く挙がっていたのが印象的でした。
何のために働き、どんな未来をつくりたいのか――。
その答えは人の数だけありますが、自分らしさという“宝物”を大切にしながら、家事・育児と仕事を両立したいという願いは、共通する想いのように感じられました。
では、そんな願いを叶えるためには、どのように“働きやすい職場”を探していけばいいのでしょうか?
セミナー後半では「女性が働きやすい職場の見つけ方」について紹介します。
番組紹介
働く女性のリアルな声を届けるWEBメディア『me:tone』。
名古屋を起点に、座談会や美容・キャリア・お金の話題まで、身近で共感できる情報を発信し、女性たちの「今」を応援します。
共感と気づきで毎日を前向きに。毎週不定期で更新。


