身体に石ができたら?…夏に忍び寄る激痛の恐怖「尿路結石」原因と予防法

2024年7月28日(日)放送 【第616回】
身体に石ができたら?…夏に忍び寄る激痛の恐怖「尿路結石」原因と予防法 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、新百合ヶ丘総合病院 泌尿器科 尿路結石破砕治療センター センター長 医学博士 荒川孝先生です。

今回のテーマは「〜夏に忍び寄る激痛の恐怖〜経験者から学ぶ!尿路結石」

外来患者数が7〜9月にピークを迎えるという「尿路結石」。尿路結石とは、何らかの原因で腎臓に結石と呼ばれる石ができた状態の事。知らない間に石が大きくなり、最悪の場合腎臓の機能を失う可能性もあるのだとか。そこで今回は、尿路結石の原因と予防法を専門医に教えてもらいました。

尿路結石の基礎知識

CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

<尿路結石とは?>
尿路結石とは尿の通り道にできる結石の総称。腎臓で見つかれば「腎臓結石」、尿管に落ちて見つかれば「尿管結石」、膀胱に落ちて見つかると「膀胱結石」、尿道を通って出てくる時に見つかると「尿道結石」と、結石が見つかる場所によって名前が変わるそうです。

<激痛を伴う「尿管結石」>
尿路結石のなかでも、激痛を伴うという「尿管結石」。腎臓でできた石が尿と一緒に流れ、尿管に詰まる事でさまざまな場所に痛みが生じるそうです。その1つが、流れにくくなった尿が腎臓に溜まって起こる腎臓の腫れ。腎臓が腫れると、近い位置にある腰に激しい痛みが生じるといいます。また、移動する激痛と血尿も尿管結石の特徴。結石の形が角張っていると、腎臓から尿管を通る際に尿管の壁を傷つけてしまうのだとか。すると、痛みが腰から下腹部に移動し、傷ついた尿管から出た血によって血尿につながってしまうそうです。

<誰でも尿路結石になる可能性がある!?>
先生によると、男性の7人に1人、女性は15人に1人が尿路結石になると言われているそうです。

腎臓に石ができる原因

<原因(1)夏に起きがちな水分不足>
石は、多くの場合「シュウ酸」と「カルシウム」が腎臓内で結合する事で作られます。夏に大量の汗をかき水分不足に陥ると、身体が体内の水分量を一定に保つために、作られる尿量が減少。シュウ酸とカルシウムの濃度が上昇します。すると、シュウ酸とカルシウムが結合しやすくなり、石を作りやすくなってしまうのだとか。夏に限らず、尿路結石の予防・再発防止のためには水を毎日約2リットル飲むようにすると良いそうです。

<原因(2)食生活の乱れ>
コーヒーや紅茶には、石を作る原因となるシュウ酸が多く含まれているそうです。そして、脂肪や糖分・塩分を摂りすぎると、尿の中にカルシウムが増えてしまうのだとか。乱れた食生活は、石を作るための原料を腎臓に溜め込んでいるようなものなので注意が必要だそうです。

怖さは痛みだけでなく再発も!一度完治しても油断禁物

尿路結石は、1度発症すると原因となる食事を控えなければ、5年で約50%、10年で約70%の人が再発すると言われています。そのため、食生活の乱れがある人は要注意だそうです。

痛みのない恐ろしい尿管結石「サイレントストーン」

サイレントストーンとは、尿管に石が詰まっているにも関わらず、痛みや血尿をほとんど起こさない石の事。過去にできた結石により尿管が広くなっていたり、石の表面がつるっとしていたりすると、痛みや血尿が出ない場合があるそうです。しかし、症状がないからと放置していると詰まった石が大きくなり、尿管を塞いで知らない間に排尿量が減少する可能性があるのだとか。すると、腎臓内に侵入した細菌や老廃物を洗い流せなくなり腎臓の機能が低下。腎不全という命に関わる病気を発症しかねないそうです。

身体に石ができた場合の対処法

<排尿時に石を出しやすくする運動>
先生によると、身体に石ができた場合は縄跳びやジャンプをしたり、下り階段をトントンと元気よく下ったりして、石が膀胱に落ちていくようなイメージで運動を行うと良いとの事。ただし、この方法で出てくるのは1cm前後の比較的小さな石だそうです。

<大きな石の治療法 身体に優しい「ESWL」>
「ESWL(体外衝撃波結石破砕術)」とは、特殊な機械を使って体外から衝撃波を当て大きな石を小さく砕く治療法。砕かれた石は、尿管を通って膀胱から尿道を通り出てくるそうです。

尿路結石の予防法

CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

<シュウ酸を多く含む食材>
尿路結石を防ぐには、石を作る原因となる「シュウ酸」に気をつける事が大事だそうです。食材100gあたりのシュウ酸の含有量は下記の通りです。(※シュウ酸ははかり方によって含有量が異なる場合があります。)
・ホウレン草800mg
・タケノコ654mg
・バナナ500mg
・レタス300mg
・ブロッコリー300mg
・ナス200mg
・カブ50mg
・コーヒー33mg

<先生直伝!石を作らないための食事法(1)茹でる>
シュウ酸は、お湯に抜けていく性質があるそうです。徳島県・鳴門教育大学の研究によると、茹で時間によるホウレン草のシュウ酸の含有量は、10分の間減っていくというデータがあります。一般的に調理の際に行う茹で時間の30秒では、シュウ酸の含有量にほぼ変化はありませんが、3分間茹でるとシュウ酸の含有量は54.1%にまで減少。この時間であれば、ホウレン草の風味や食感をあまり損なわず美味しく食べる事が可能だそうです。

<先生直伝!石を作らないための食事法(2)カルシウムを加えて食べる>
先生によると、シュウ酸を多く含む食材を食べる時は、カルシウムを加えて食べるのが良いとの事。石はシュウ酸とカルシウムが結合してできますが、大事なのはこれらがどこで結合するかにあるそうです。体内に入ったシュウ酸は、小腸でカルシウムと結合すれば便として排出されますが、シュウ酸が多すぎるとカルシウムと結合できず体内に吸収され腎臓へ運ばれてしまいます。すると、腎臓にあるカルシウムと結合し結石になってしまうのだとか。そのため、シュウ酸もカルシウムと一緒にバランス良く摂取すれば、小腸で結合し便として排出されるので尿路結石の予防につながるそうです。

<先生おすすめ!石を作らないための食べ合わせ>
先生によると、ホウレン草のおひたしには、カルシウムを含むシラスをのせて食べるのがおすすめ。他にも、レタスは海苔と合わせてサラダにしたり、バナナにはヨーグルト、コーヒーや紅茶は低脂肪の牛乳で割ったりすると良いそうです。

<先生おすすめの運動法>
尿路結石を予防するには、食事とともに運動もあわせて行う事が大切だそうです。ポイントは、骨がカルシウムからできているという事。骨は負荷をかける事によって、骨を作る骨芽細胞が活発に働きます。すると、身体にあるカルシウムを集めてより強い骨を作ろうとしますが、運動量が少ないと骨を壊す破骨細胞が活発になりカルシウムが溶け出してしまうのだとか。結果、腎臓内のカルシウムが増えシュウ酸と結合しやすくなってしまうそうです。先生のおすすめは、足の骨に負荷をかけるウォーキングなどの有酸素運動。まずは1日10分、慣れてきたら1日8000歩を目指しましょう。

<尿の我慢は石を作りやすい!?>
尿を我慢すると、尿が停滞して結晶を作りやすくなってしまうそうです。そのため、尿の我慢はNGなのだとか。今回ご紹介した食事法や運動法も取り入れて、尿路結石を予防しましょう。

(2024年7月28日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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