「鼻づまり」放置で視力低下・意識障害などにも…専門医に学ぶ!長引く鼻づまりの原因や解消法
サマリーSummary
ドクター:東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室 教授 医学博士 鴻信義
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室 教授 医学博士 鴻信義先生です。
今回のテーマは「〜放っておくと一大事!〜ホントは怖〜い“鼻づまり”」
約440万人が日頃から「鼻づまり」に悩まされているといいます。鼻の近くには目や脳があるので、放置していると視力低下・頭重感・高熱・意識障害などにつながる可能性もあるそうです。特にこの冬はインフルエンザなどの感染症が猛威を振るい、これからの時期は花粉の飛散がピークに。そこで今回は、長引く鼻づまりの原因や解消法などを専門医に教えてもらいました。
鼻づまりを起こす病気(1)「鼻中隔弯曲症」
<鼻中隔弯曲症について>
鼻中隔弯曲症とは鼻の穴を2つに隔てている中央の仕切りである「鼻中隔」という骨が曲がっている病気。空気の通りが悪くなり、鼻づまりや鼻血などの症状が現れます。鼻水が詰まっているのではなく、空気の通り道が狭くなっているため、鼻をかんでも症状は消えないのだとか。湾曲する原因は、怪我のほかに子供から成長していく過程で骨の発育スピードの差が生じて曲がってしまう事があるそうです。
<鼻中隔弯曲症の治療は?>
鼻中隔弯曲症の治療は、手術で出っ張りを取り、形を修復する事で通気を良くするそうです。症状が辛い場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
<鼻中隔弯曲症のセルフチェック>
先生によると、大体の人は鼻中隔がどちらかに曲がっているそうです。その曲がりが強いと鼻中隔弯曲症という病名がつくのだとか。片方ずつ鼻の鼻を塞いで常に同じ側が詰まっていないか確認してみましょう。常に片側が詰まっている場合は、鼻中隔弯曲症の可能性があるそうです。
鼻づまりを起こす病気(2)「アレルギー性鼻炎」
<アレルギー性鼻炎について>
鼻の中には鼻腔という空気の通り道があり、表面は毛細血管が通う粘膜に覆われています。その粘膜が、外から入ってきた異物に対し、アレルギー反応を起こすと腫れあがって空気の通り道が狭くなり鼻づまりを引き起こすのだとか。アレルギーの原因は、花粉やホコリ、ペットなどさまざまだそうです。
<アレルギー性鼻炎の治療は?>
アレルギー性鼻炎の治療は、飲み薬や鼻のスプレーなどがあるそうです。(※ペットアレルギーで症状が強い方は、飼育継続の是非を専門医と相談してください。)
鼻づまりを起こす病気(3)「副鼻腔炎」
<副鼻腔炎について>
副鼻腔炎は、一般的に蓄膿症として知られる病気で、「副鼻腔」とは鼻腔の先にある空洞の事。その副鼻腔の粘膜にウイルス・細菌・アレルギーなどによって炎症が起き、膿が溜まってしまうのが副鼻腔炎だそうです。鼻づまり以外にも、鼻水がのどに落ちる後鼻漏・頭痛・顔面痛など、さまざまな症状を引き起こすのだとか。副鼻腔炎の患者数は、約200万人ともいわれているそうです。
<副鼻腔炎と同時に発症しているかも!?「鼻ポリープ(鼻茸)」>
鼻ポリープ(鼻茸)は、鼻の粘膜の一部が膨れてこぶ状になった物。強い鼻風邪をひいたことや、ひどいアレルギーなどのきっかけによって鼻の中が腫れた状態で、さらにバイ菌の感染や喫煙などの刺激が加わる事でだんだんと腫れがひどくなりポリープになるのだとか。副鼻腔炎患者約200万人のうち、約20万人が同時に鼻ポリープを発症しているといわれているそうです。
<副鼻腔炎チェック>
下記の項目に2個以上当てはまる場合は、副鼻腔炎の可能性があるそうです。なかでも「黄色い鼻水が出る」場合は要注意。副鼻腔炎の可能性が高いそうです。
□鼻づまりが1週間以上続いている
□明らかに片方が詰まっている
□喫煙をしている
□花粉症がひどい
□黄色い鼻水が出る
□ニオイがわからない
□ぜんそく持ちである
<急性副鼻腔炎の治療は?>
急に副鼻腔炎になった場合は、抗生物質の服用や薬の吸引(ネブライザー)などの治療を行うそうです。
<慢性副鼻腔炎の治療は?>
3ヶ月以上治らない場合は、慢性副鼻腔炎と診断され、軽めの抗生物質を長期間服用する治療法に変更。先生によると、2〜6か月で大体良くなるそうですが、薬でコントロールできない場合は手術が必要になる事が多いそうです。
<痛みも出血も少ない!副鼻腔炎の最新手術>
麻酔技術が向上し、副鼻腔炎の手術を行う際には今は安全で痛みや恐怖心がない全身麻酔が基本になっているそうです。内視鏡で鼻の内部を確認しながら「マイクロデブリッター」という最新器具で不要な組織を削り取って吸引していきます。さらに、最新の手術ナビゲーションを併用する事で、今どこを治療しているかが一目でわかるので、目の奥や脳と隣接する繊細な副鼻腔を安全に手術できるのだとか。かつては3時間かかった手術ですが、今は2時間程度。入院は一般的に3〜4日ほど。最新技術を駆使した手術法は、全国のスタンダードになりつつあるそうです。
(2024年2月18日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)