笑わない人は死亡率2倍!?世界中で研究が進む「笑い」がもたらす健康効果!ドクターオススメ「笑トレ」もご紹介
サマリーSummary
ドクター:福島県立医科大学 医学部 疫学講座 主任教授 大平哲也
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは福島県立医科大学 医学部 疫学講座 大平哲也 主任教授です。
今回のテーマは「~笑わない人は死亡率2倍!?~笑いがもたらす健康効果」
「笑い」は医学的に心や身体に良いとされ、世界中でさまざまな角度から研究が進んでいるそうです。がん・糖尿病・循環器疾患・うつ・認知症など、さまざまな疾患に効果がある事も報告されているのだとか。そこで今回は、笑いがもたらす健康効果について専門家に教えてもらいました。
笑いと健康に関する調査結果
<笑わない人は死亡率が2倍!?>
山形大学医学部では、2009年から40歳以上の約2万人を調査。2017年までに亡くなったり病気になったりした事例を分析したところ、ほとんど笑わない人はよく笑う人に比べて死亡率が約2倍、心血管疾患の発症率も高いという結果が出たそうです。
<笑うと不安や疲労の改善に!?>
近畿大学では、お笑いライブを鑑賞するお客さんの表情データを分析。お笑いを見た後でどのような変化があったかを解析したところ、緊張・不安・疲労といった項目で改善が認められたそうです。
笑いがもたらす健康効果(1)ストレス解消
<ストレスと不調の関係>
ストレスは、さまざまな疾患や体調不良を引き起こす事が知られています。腰痛・頭痛・めまいなどの症状をはじめ、免疫力を低下させ感染症にかかりやすくなる事もあるのだとか。また、高血圧など生活習慣病のリスクにもなるともいわれています。
<ストレスと自律神経>
ストレスに大きく関係しているのが自律神経です。自律神経には、活発な時や緊張した時に働く交感神経と、眠っている時やリラックスした時に働く副交感神経があります。現代人は交感神経が高い状況が続き、自律神経のバランスが取れない人が増えていますが、笑う事で副交感神経のスイッチが入り、ストレスを軽減する効果が期待できるそうです。
笑いがもたらす健康効果(2)有酸素運動
<笑いと有酸素運動>
声を出して笑うと、有酸素運動になるそうです。先生によると、1日15分間笑ったとすると15分間の散歩と同じくらいの運動量(20~40kcal)になるのだとか。15分間は、ずっと笑い続けるわけではなく、楽しくお喋りしている間にハハハと笑っているイメージだそうです。
<腹式呼吸でリラックス効果も>
声を出して笑っている時、人は知らず知らずのうちに“下腹部に力を入れて息を短く吐く”事を繰り返しています。これは、腹式呼吸と同じ呼吸法。リラックスできるだけでなく、心肺機能や筋肉を鍛える効果が期待できるそうです。
笑いがもたらす健康効果(3)人付き合いが増える
笑う事によって人付き合いが増えると、認知症予防になる事が分かっているそうです。人付き合いが良くなると、人からのサポートを受けられます。それによって、脳卒中や心筋梗塞が減ったり、がんの予後を良くしたりする事も分かっているそうです。
他にもある!笑いがもたらす健康効果
<笑いがもたらす「脳内リセット効果」>
笑っている時は頭の中が空っぽになっています。先生によると、これは「脳内リセット効果」といって、ストレスや痛みの悪循環を断ち切る作用が知られているそうです。
<糖尿病の重症化予防>
先生によると、笑う事によって糖尿病の重症化を予防できるという研究報告があるとの事。笑う事によってストレスが解消されると、身体の中の炎症細胞が減ったり、副交感神経が優位になったりして血糖値を下げるインスリンの効きが良くなるそうです。
<免疫細胞の活性化にも>
笑ってストレスが減ると、体内で「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」が活性化する事が分かっているのだとか。ナチュラルキラー細胞は、自然免疫細胞の一種でウイルスやがん細胞を攻撃する働きがあるそうです。
作り笑いでも効果あり!
作り笑いは、生理学的には本当の笑いと同じ。そのため、同様の運動効果を得られるのだとか。さらに、作り笑いでも笑っているうちに楽しくなってきてストレス解消効果も期待できるそうです。
<笑い声を聞くのも効果的>
人の笑い声を聞くだけでもストレスホルモンが下がるという研究報告があるそうです。そういう機会がない方は、赤ちゃんの笑っている動画を見ても効果が期待できるそうです。
笑いを増やす方法(1)よく笑う人と一緒にいる
笑っている人や微笑んでいる人を見ると、ついニッコリしてしまうもの。これは、脳内の「ミラーニューロン」の作用と考えられているそうです。ミラーニューロンは、ものまね細胞とも言われ、反射的なものまねによって、共感性や想像力などの情報を脳に埋めこみ、社会性を養うのだとか。同じテレビ番組を見ても、一人で見るよりも二人で見る方が、笑いが増えるという実験結果もあるそうです。
笑いを増やす方法(2)ペットを飼う・動物と触れ合う
普段笑わない人でも、ペットと一緒に過ごすと自然に笑顔が出てくるそうです。アニマルセラピーといって、動物と触れ合う事によってストレスや痛みを改善させる効果も期待できるのだとか。また、ペットを連れて散歩していると同じペット仲間と挨拶や会話をする機会が増えるので、笑顔が自然と出やすくなるといいます。ペットを飼えない場合は、ペットショップや動物と触れ合えるカフェに行くのもオススメだそうです。
笑いを増やす方法(3)笑トレ
笑トレとは“笑い”と“トレーニング(体操)”を組み合わせたもの。先生も各地の健康教室や講演会などで実践しているそうです。笑トレを行う事で、血圧・自律神経が安定しストレスホルモンが減少する効果が期待できるのだとか。さらに、笑いながら体操をする事で腹筋や手足の筋肉など身体全体を鍛える事ができるそうです。
<ドクターオススメ!自宅でできる簡単「笑トレ」>
▼前に手を伸ばし 親指を下にする
▼手をクロスして手のひらと手のひらを合わせる
▼頭の上にあげて 腕を軽く伸ばす
▼笑いながら身体を左右に動かす
この動きを20秒、他の笑トレと合わせて1日5分程度行うと効果的だそうです。
(2023年3月26日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)