身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル！ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
今回のテーマは「～サインを逃さず血管強化！～夏の脳梗塞 対策マニュアル」
いよいよ夏本番。これからの時期に気をつけたいのが「脳梗塞」。汗を多くかく夏場は水分不足になりやすく、脱水による脳梗塞を起こしやすいといわれています。そこで今回のテーマは、「夏の脳梗塞 対策マニュアル」。脳梗塞や、それにつながる動脈硬化の原因・予防法などを専門医に教えてもらいました。
脳梗塞について
＜脳梗塞とは？＞
脳梗塞とは、動脈硬化や血栓などの影響で脳の血管が詰まり、脳の細胞が壊死してしまう病気です。脳梗塞になると、半身麻痺や言語障害、認知機能の低下などを発症し、最悪の場合命を落とす危険もあるそうです。
＜夏は“脱水”が原因の脳梗塞に要注意！＞
睡眠中は、一晩で約500mLの水分を失うといわれています。多く汗をかく夏は水分不足になりやすく、血液中の水分量も不足。血液がいわゆるドロドロ状態になり、血栓ができやすくなってしまうのだとか。そのため、夏の脳梗塞を防ぐにはこまめな水分補給が大切だそうです。
脳梗塞につながる「動脈硬化」
＜動脈硬化とは？＞
脱水以外に、脳梗塞のよくある原因の1つが「動脈硬化」。動脈硬化とは、動脈の内側に悪玉コレステロールなどの悪い物質が溜まり、血栓ができやすくなっている状態の事。自覚症状がほとんどなく、知らぬ間に症状が進行するため“サイレントキラー”と呼ばれているそうです。
＜動脈硬化の危険因子＞
動脈硬化の進行は人によってさまざまだそうですが、下記の危険因子を持つ人は進行が早いといわれているそうです。
（1）高血圧
（2）糖尿病
（3）脂質異常症
（4）喫煙
＜名医オススメ！頸動脈エコー検査＞
「頸動脈エコー検査」とは、超音波で首の頸動脈を調べる検査。動脈硬化になりやすい血管のため、異変が早期に発見できるのだとか。健康診断のオプションで受けられるそうなので、危険因子を持つ方はぜひ受けてみてください。
動脈硬化のサイン（1）よく脚が痛くなる
脚の動脈硬化が進行すると、血管内が細くなり血流が滞ります。そのため、長く歩いていると血管の狭い方の脚が痛くなってきたり、普通にしていても血管の狭い方の脚だけ冷たく感じたりするそうです。「動いている時に痛み、休むと治る」を繰り返すのが特徴なのだとか。動脈硬化は、心臓・首・脚の順番で進行するので、脚の血管に動脈硬化がある場合は、要注意。当てはまる症状がある方は、病院で検査を受けてみてください。
動脈硬化のサイン（2）最近太ってきた
動脈硬化の背景には「慢性炎症」があるといわれています。慢性炎症を引き起こす原因の1つが脂肪。身体に脂肪がたまると、脂肪細胞が肥大化。これが炎症物質を放出し、動脈の壁にたどり着くと、血管の壁に炎症を起こします。さらに、血管の内側に炎症物質やコレステロールが入ると、免疫細胞が反応し悪玉コレステロールを取り込んでどんどん膨らんでいきます。それがコブになって次第に大きくなると、覆っている膜が破れ、その傷口を塞ぐために血栓ができ血管を詰まらせてしまうのだとか。太っていると、血管が慢性炎症を起こしやすい状態になるため、メタボや食べ過ぎには注意が必要だそうです。
動脈硬化のサイン（3）身体が硬くなった
血管は、血管を収縮・拡張させる平滑筋という筋肉で覆われています。身体の筋肉が硬くなると、血管の筋肉も硬くなってしまうので、動脈硬化が進行しやすいのだとか。実際に、身体の柔軟性が低い人ほど、全身の動脈が硬くなっているというデータもあります。加齢によって、体力とともに柔軟性も低下するので、前屈をした時に指が床につかないなど、身体が硬い中高年の方は注意が必要だそうです。
ドクターオススメ！簡単ストレッチで血管を柔らかく！
ストレッチを行う事で血管を柔らかくする効果が期待できるそうです。教えてもらったストレッチは、全部で5つ。毎日朝と夕方に10分ずつ、合計20分間行いましょう。先生たちの行なった研究では、それらを4週間続けると動脈が柔らかくなったそうです。
＜用意するもの＞
・背もたれのあるイス
・タオル
＜ストレッチを行う時の注意点＞
・呼吸を忘れずに行う
呼吸を止めていきむと、交感神経が優位になり血管が収縮してしまうので血管を柔らかくする効果が失われてしまうそうです。
・ストレッチ後に10～20秒休憩する
休憩をしている時に、ストレッチ前に比べ約2～3倍血流が増加する事がわかっているそうです。血流が増すと血管の平滑筋をしなやかに保つNO（一酸化窒素）が生み出されます。さらに、NOには「血管を広げ血圧を下げる」、「血栓の発生を抑える」などの作用もあるそうです。
＜ストレッチ（1）下肢の中で最も太い血管「大腿動脈」を伸ばすストレッチ＞
▼イスに座る
▼両手でタオルを肩幅くらいの長さで持つ
▼両腕をゆっくり持ち上げ 背もたれに寄りかかり下腹部を伸ばす
▼20～30秒間行う
＜ストレッチ（2）太ももの「大腿動脈」を伸ばすストレッチ＞
▼イスの背に手を置き横向きに浅く座る
▼後ろの足を伸ばす
▼左右の脚をそれぞれ20～30秒間行う
＜ストレッチ（3）ひざの裏の「膝窩動脈」を伸ばすストレッチ＞
▼イスに座って片脚を伸ばす
▼伸ばした脚のひざの上に手を起きゆっくり体重をかける
▼左右の脚をそれぞれ20～30秒間行う
※顔は下げないように注意して行ってください
＜ストレッチ（4）ふくらはぎの「後脛骨動脈」を伸ばすストレッチ＞
▼イスの背もたれを掴みアキレス腱を伸ばす
▼かかとは床につけたままにする
▼左右の脚をそれぞれ20～30秒間行う
＜ストレッチ（5）足の「指先の毛細血管」を伸ばすストレッチ＞
▼イスに座る
▼片方の足をひざの上に乗せ両手でつま先を持ち背もたれにゆっくりもたれる
▼左右の脚をそれぞれ20～30秒間行う
脳梗塞のサイン「半身麻痺」早期発見につながるチェック法
もしも脳梗塞になったら、症状に早く気がつく事が大切です。脳梗塞で最も多い症状は「半身麻痺」といって顔を含む半身の手足に力が入らない事。右の脳に問題があると左半身に症状が、左の脳に問題があると右半身に症状が出るのだとか。そのため、身体の半分に症状が出ているかどうかを確認する事が大切だそうです。
＜半身麻痺が起きやすい部位や行動「FAST」と脳梗塞の見分け方＞
「FAST」とは、Face（顔）、Arm（腕）、Speech（言葉）、Time（時間）。半身麻痺が起きやすい部位と行動を表しています。
・Face（顔）
口を横に広げて「いー」と言ってみてください。半身麻痺があると両方の口が同じように動かず、片方しか動かないそうです。
・Arm（腕）
手のひらを上に向け、両手を前に出し目を閉じて10数えます。腕に麻痺があると、片腕が上がらなかったり、上がっても維持できず下がったりしてしまうそうです。
・Speech（言葉）
「いきじびき」と声に出して言ってみてください。少し引っかかる程度なら問題ありませんが、麻痺があると何回繰り返してもうまく言えないそうです。
・Time（時間）
脳梗塞は、早期治療するほど回復の見込みが高まるそうです。脳梗塞発症初期であれば「tPA」という血栓を溶かして血流を回復させる薬も使えるのだとか。ただし、この薬を使用できるのは発症から4時間半以内。治療の準備に時間を要する場合もあるので、発症から3時間半以内に病院に着けるようすぐに救急車を呼びましょう。
（2022年7月10日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル！ゲンキの時間』より）
