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ヴァイオリニストの高松亜衣、ピアニストの菊池亮太が語る 奏者を志したきっかけ

ヴァイオリニストの高松亜衣、ピアニストの菊池亮太が語る 奏者を志したきっかけ
CBCテレビ:和やかなムードで幼少期を振り返った(左から)高松亜衣、菊池亮太

超絶技巧でファンを魅了するピアニスト・菊池亮太と、愛知県一宮市出身のヴァイオリニスト・高松亜衣らが共演するコンサート「大同特殊鋼 名演奏家シリーズ2024 菊池亮太&高松亜衣 CLASSIC LAND」が、11月17日に、東海市芸術劇場 大ホールで開催される。豊かな表現で1音で聴衆を釘付けにしてしまう2人に、出会いからコンサートへの意気込み、幼少期の音楽体験や、奏者を志したきっかけなどについて聞いた。インタビュー後編では、音楽を好きになったきっかけや、ファンが楽しみにしているYouTubeでの配信などについて語ってもらった。(取材・文:翡翠、撮影:岡崎雄昌)

ピアノよりもポケモンに夢中だった

CBCテレビ:「最近またポケモンのゲームをしてみたんです」とその世界の深さについて語る菊池(右)と高松

――11月17日に高松さんの地元・愛知県で「名演奏家シリーズ」が開催されます。トークコーナーも予定されていますが、公演を前にお2人のことを教えて下さい。高松さんは3歳のとき、菊池さんは4歳のときにそれぞれの楽器を始められたとプロフィールに書かれています。

高松:ヴァイオリンを始めたのは3歳のときだったので、正直覚えていないんですよね…。

菊池:いいね。覚えていないって(笑)。でも自分もピアノを弾いていた記憶はあんまりなくて、それよりもポケモン(ポケットモンスター)のゲームに夢中でした(笑)。通信で対戦できて、実は強かったんです。最強のパーティー(組み合わせ)を考えて、伝説のポケモンだけが覚える、はかいこうせん(敵を倒す技)を駆使したりして。

――ピアノと並行して、ポケモンに夢中だったのでしょうか?

菊池:いえ。ポケモンに夢中でした(笑)。ピアノは音楽教室に通う前に練習するくらいでしたね。7~8歳くらいまで、ポケモンに夢中だったのですが、ポケモンの大会に出ることが決まっていたのに、出られなくなってしまって、少年だった僕の心に傷ができて、それから何となくポケモンと距離を置くようになりました。

――高松さんは、ヴァイオリンに夢中になったきっかけはありましたか。

高松:私も「オシャレ魔女♥ラブandベリー(女の子向けのビデオゲーム)」が好きでした(笑)。ヴァイオリンには、夢中になったというよりも、私は兄がヴァイオリンを習っていて、母が2人を熱心に支えてくれていたので、生活の中にあることが日常だったんです。毎日食事をするのと同じ感覚で、練習をしていたのですが、徐々に自我が芽生えて、ヴァイオリンを習っていることで、学校の部活動に出られなくなったり、同級生と違う部分に不満を持つようになって、中学校の3年間は反抗期でした…。楽譜を見ているふりをして、譜面台にマンガを置いて、読みながら練習したり(笑)。

日常の積み重ねがいまに繋がっている

CBCテレビ:幼少期からこれまでを振り返る高松(左)と菊池

――奏者を志したのは、いつ頃だったのでしょうか。

菊池:先ほどもお話ししましたが、ポケモンに夢中だったので、9歳頃まではピアノを頑張っていなかったんです。でも小学校4年生だった9歳のときに、引っ越しをして新しい学校で一から人間関係を築いていかなくてはいけなくなって。小5のときに「どうしよう!」って焦ったんです。そんなときに、先生から「ピアノが弾けるなら、校歌の伴奏をして」って頼まれて、演奏したら周囲からちやほやされるようになったんです。もう最高でした。そのときに、「僕はピアニストになる!」って決めました。その体験は、現在も原動力になっています。

高松:ちやほや(笑)。

菊池:そう(笑)。ピアノの周りに同級生が集まって「ねえ、あの曲弾いて」ってお願いされて。いまの活動にも繋がっているよなって思います。「ポケモンの曲も弾いて!」って言われました。8歳で距離を置いたポケモンと、再会できました。伏線回収できました(笑)。出会いと別れ、再会…。ポケモンの物語とも重なる話しです。

高松:私はヴァイオリンは3歳のときから、ずっと身近にありましたが、自分が奏者になるということを、想像することはできませんでした。日常を積み重ねた結果、いまに繋がっているって思います。

ネットでの配信が転機に

CBCテレビ:新しい表現が転機になったことを明かした(左から)高松と菊池

――菊池さんはYouTubeチャンネルの登録者数が71万人以上。その視聴回数は3億回以上と驚異的な数字をお持ちです。高松さんも演奏動画や、その愛らしさが注目されSNSの総フォロワー数は60万人を超えています。SNSを通じた活動を意識したきっかけについて教えて下さい。

菊池:最初から「よし、投稿するぞ!」と思って始めた訳ではなかったんです。10年くらい前、X(当時の名称はTwitter)に動画を投稿する機能があるらしいと聞いて、自分の演奏を聴いてほしいなと、遊びであげていたんです。iPhoneの着信音をアレンジしたものを弾いたら、反響が大きくて。そこからですね、こういう手段もあるのかって。

高松:私はSNS自体、あまりやらないタイプでした。大学のときに出場したコンクールがあって、1・2年生のときは暗譜が飛んでしまって…。猛練習をして臨んだ3年生のときも、暗譜が飛んでしまったんです。そのときヴァイオリンを辞めようと思い詰めていたんです。そのときにSNSのDM(ダイレクトメール)で、ライブ配信の誘いをいただいたんです。事務所の場所が青山にあると聞いて、「青山に行ってみたい!」と話を聞きに行くことにしました(笑)。そこでメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」を演奏して、当時はライブ配信でヴァイオリンを演奏している人がいなくて珍しかったのか、色んなひとが聴きに来てくれて、リクエストや応援をしてくれる人もできて。大学3年生まで練習を頑張ってきたけど、見ず知らずの人に「応援してる」と言われた経験は初めてで、「もっと聴きたい!」「コンサートやって!」って言われてうれしかったんです。その後、コロナ禍になったので、ライブ配信に力を入れるようになりました。

学生時代の仲間が支えに

CBCテレビ:ヴァイオリニストになってうれしかった経験を笑顔で語る高松

――それぞれ人気アーティストへと飛躍されました。プロの奏者として活動されている中で、うれしかったエピソードを教えていただけますか。

高松:私は愛知県の一宮出身なのですが、昨年5月に初めて地元にある「木曽川文化会館 尾西信金ホール」という場所でコンサートを開いたんです。地元のステージに初めて立つことができて、とてもうれしかったですし、友達がわざわざチケットを買って見に来てくれて、それがとってもうれしかった。

菊池:エモいね。

高松:(笑)。練習しているときは、一人でこもることが多いから、自分が世界の中で一人ぼっちなんじゃないかって感じがすることが多いけど、地元でコンサートができて、みんなが喜んでくれるのを見て、ヴァイオリニストになって良かった。もっと頑張ろうって思いました。

菊池:うん。僕も昨年、紀尾井ホール(東京)でコンサートをしたときに、中・高が一緒だった幼なじみのような友人が来てくれたとき、すごいうれしかった。開演前に「来てるよ!」ってLINEでメッセージが来て、「え、マジで!?」ってなった。終演後に久しぶりに楽屋で再会したんだけど、関係者席とかじゃなくて、自分たちでチケットを買って見に来てくれて、ジーンと来ました。練習をしているときって、どこに向かっているのか分からなくなったり、本当に孤独だけど、コンサートのときにお客さんの拍手とか、その反応に触れて良かったなって思えるというか。中・高ともに音楽大学の付属(国立音大)だったから、当時を知っている友人たちに「久々に見たら、下手になったな」と言われないように、いつでも演奏を魅せられる奏者を心がけようって思いました。

◇「名演奏家シリーズ」とは…
愛知県に拠点を置く、大同特殊鋼株式会社が社会貢献・芸術文化活動支援の一環として協賛し開催しているコンサート。株式会社CBCテレビの企画・主催のもと、演奏者と一体感を味わうことのできる演出やラインアップが幅広い層から支持されている。最近では、ヴァイオリニストの石田泰尚、チェリストの宮田大、ピアニストの亀井聖矢などが出演した。

大同特殊鋼 名演奏家シリーズ2024
「菊池亮太&高松亜衣 CLASSIC LAND」
2024年11月17日(日)15:00開演 東海市芸術劇場 大ホール

公演詳細・リクエスト応募は下記リンク(関連リンク)から!

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