元・竜戦士たちの“今”は?交流戦の最中にふり返る他球団へ移籍後の活躍ぶり

セ・パ交流戦が続いている。金丸夢斗がプロ初勝利をなかなか手にできないことにヤキモキしながらも、岡林勇希の巧打と快打に拍手を送る。埼玉西武ライオンズに2試合連続での“完投負け”を喫してしまったが、好ゲームも多い。井上ドラゴンズは交流戦ここまで6勝6敗(成績は6月15日現在)、応援の気持ちにも少し余裕が出たためか、トレードや現役ドラフトで他球団に移籍した選手たちを追ってみた。(敬称略)
“韋駄天”高松は元気
古巣ドラゴンズとの3連戦に合わせて1軍に上がって来たのが、埼玉西武ライオンズとの高松渡(※「高」は「はしごだか」)。「9番・レフト」のスタメンで登場し、ドラゴンズナインやファンの前で元気な姿を披露した。高松は、2024年(令和6年)シーズン途中にライオンズにトレードで移籍した。実はそんな高松、今季ここまで2軍のイースタン・リーグで10盗塁、打率2割9分7厘の活躍である。竜党の間では、今もあの走塁技術を惜しむ声は多い。
郡司の“北の大地”で打つ
北海道では、郡司裕也の打棒が止まらない。六大学野球の三冠王、2019年(令和元年)のドラフト4位でドラゴンズに入団したキャッチャーである。当時はなかなか打撃でもいいところを見せられなかったが、北海道日本ハムファイターズにトレードで移籍し、新庄剛志監督の下で開花した。そこには「捕手」というポジションにこだわらず、「外野手」そして「指名代打」と、とにかく郡司の打撃を活かそうとする見事な起用法があった。交流戦でも見事なホームランを披露する郡司。ドラゴンズの過去の指揮官たちが、彼を活かせなかったことは残念である。
京田はハマスタでお立ち台
その郡司と共に、ファイターズへトレード移籍した山本拓実も、貴重な中継ぎとして、2024年は自己最多の36試合に登板し、防御率も1.82だった。今季も1軍マウンドに立つ。2022年(令和4年)オフに、涌井秀章とのトレードで東北楽天ゴールデンイーグルスに移籍した阿部寿樹も、一時は4番を任されていた。
同じオフに、横浜DeNAベイスターズにトレードされた京田陽太は、6月8日の交流戦でサヨナラゲームの流れを作る2ベースを打って、お立ち台で大声援を浴びた。貴重なベテランとして、ハマの舞台で活躍している。現役ドラフト組では、オリックス・バファローズに入団した鈴木博志は、今季から登録名を「博志」と替えて、交流戦でも登板している。千葉ロッテマリーンズの石垣雅海は、今季バンテリンドームでの交流戦でベンチに入った1軍メンバーである。
マルティネスになぜ声援を?
FAでファイターズに移籍した福谷浩司も、早々に1勝を挙げた。そして、「優勝できるチームで投げたい」という、ドラゴンズファンには“きつい”言葉と共に、讀賣ジャイアンツへと去っていったライデル・マルティネスは、今季ここまで無失点投球を続けている。バンテリンドームのスタンドで、竜のユニホームを着て「マルティネス」のタオルを掲げている観客の姿があったと、竜党の友人が怒っていた。本来ならば、ブーイングが正解だろう。ドラゴンズでクローザーを引き継いだ松山晋也が、セーブ数で12球団トップという獅子奮迅の活躍をしているため、マルティネスの投球も、まずは冷静に観戦できているというのがドラゴンズファンの本音かもしれない。

それにしても、立浪和義前監督の時代から、本当に多くの選手がドラゴンズから去っていった。チームの過渡期は続く。代わりにドラゴンズにやって来た選手たちには、今以上の活躍を期待するファン心理、そんな複雑な思いの中で、2025年(令和7年)の交流戦を楽しんでいる。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。