竜の希望・金丸夢斗 二桁勝利を目指し、揺るぎないストレートを投げ続ける理由

「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム
大学ナンバーワン左腕と評された4球団競合ドラフト1位入団の金丸夢斗投手。同級生の高橋宏斗投手(※「高」は「はしごだか」)の活躍もあり、ドラゴンズファンの新たな希望となっている。順調に初登板から先発投手として経験を積んでいるが、その中での苦労やもどかしさも感じられる。今回のサンドラは、そんな金丸投手の特集でキャンプから、初登板、これからに向けての素直な思いに迫った。それでは早速振り返る!
「こんなに我慢したことがなかった」スロー調整からの実戦登板

一球のストレートに多くのファンが魅了された。ここまで、3試合に登板し、防御率1.50と大器の片鱗を見せつけている。金丸投手は、4球団競合の末にドラフト一位で入団し会見でこう宣言した。
「自分の武器はストレートの質とコントロール。その武器をしっかりとこの世界でも出して最終的には日本一の投手と呼ばれるような選手になりたいので、少しでも近づけるよう頑張りたいです。」

キャンプは腰の故障をケアして二軍スタートとなったが、今時に珍しいワインドアップの美しさで一際輝いていた。その投球を見た井上一樹監督はこう評価した。
「勢いが違う。難しくいうと初速と終速の差が少ない。それくらい伸びがあるボールを投げている。」
解説者も一目見て圧倒されるような感想を残した。吉見一起氏は、「すごいピッチャーだなと。とんでもない数字を残すんじゃないか」と期待を募らせる。川上憲伸氏は、「打者からしても思いのほかストレートに差し込まれる。ストレートの強さを何よりも感じた」
だが腰の怪我の影響で、スロー調整に取り組んだ金丸投手だったが、こんなに我慢したことはなかったと振り返った。
「腰の状態のこともあって、少しずつ調整していた。トレーナーさんたちとやっていって実戦で投げられたのが、一つの大きなポイント。」
そんなもどかしさを糧にファームでは4試合に登板し、14回、奪三振7、防御率1.29と、格の違いを見せつけるような投球で満を持して一軍公式戦への登板を迎えた。5月5日のベイスターズ戦、お客さんで溢れかえったゴールデンウィークのバンテリンドーム。注目の集まる中、ワインドアップから放たれたストレートは内角のストライクゾーンに152kmのストレートが決まった。
「一生残るというか、プロ初登板の初球は残ると思ったので、悔いのないように全力で投げ抜きました。」
プロ初登板、黒星の中で感じた手応え

皆の大きな期待に応えるような投球で、スコアボードに0を並べていき3回にはバッテリーを組む木下拓哉捕手の一発で先制点を奪い勝利投手の権利を期待した矢先に、金丸投手の悔やまれる守備をきっかけに2失点して初黒星を喫した。それでも確かな手応えはあった。
「自分の武器である真っ直ぐが一軍の舞台でも通用したので、これからもやっていけそうだと感じた。」
その後の登板では、勝ち星こそつかないもののすでに風格を漂わすような堂々たるピッチングを見せている。一つ勝利すれば勢いがついて勝利を重ねられることができると期待できるピッチングだ。

「もちろん球速もこれからもっと上げていきたいけど、やっぱりスピード以上にバッターの手元でキレのある伸びのあるストレートを投げることを目指している。空振りが奪える良い球筋のボールを投げていきたい。早く初勝利をしたいとは思っている。初勝利してからも、もっと勝てる投手になっていきたい。まずは初勝利が目標なんですけど、二桁勝利を目指して目標は高くやっていきたい。」
金丸投手の言葉は、先を見据えて語られているのが印象的だった。運に左右されない投球をしていくには、武器となるストレートで空振りを奪うことがベストだ。多くの勝利を手にするためにより本質的な理想を追い求めている。そして、そのプロセスとして一つの目標である初勝利を掴むのに大切なのは「相手より先に点をやらない我慢強さ」と語る岩瀬氏。現役時代に行き詰まるような点差のゲームを幕引きしていた岩瀬氏ならではのレベルの高い厳しさかもしれない。そんな経験が金丸投手の見据える先をより強いものにしていくだろう。その将来に向けても心強い仲間もいる。

金丸投手が今一番尊敬する先輩について「松山さんは、本当にストイック。何に対しても本気な方なので、尊敬してます。」と答え、それに対して松山晋也投手はこう返す。
「バカにされてますね笑しっかりマウンドで結果を出します。金丸は野球に対して実直で真面目なやつ。切磋琢磨して意見交換しながら一緒にやっていきたい。」
支配下から不動の抑えの座を手にし、ストイックに求道する松山投手からも実直で真面目と認められる金丸投手。同級生でも高橋宏斗投手をはじめ、松木平優太投手、吉田聖弥投手と同じポジションで競い合える仲間がいる。高いレベルで競い合える仲間としてドラゴンズを熱く盛り上げてほしい!頑張れ金丸夢斗投手!歴史を拓くような初勝利を待ち望んで。
澤村桃