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「天職だと思う」“できない”を伝える働き方。時短勤務のまま店長になった女性の挑戦

「天職だと思う」“できない”を伝える働き方。時短勤務のまま店長になった女性の挑戦
CBCテレビ me:tone編集部

「できないことを、正直に伝える」。それが、南平裕子さんの一貫したスタンスです。

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名古屋市東区の「マックスバリュ砂田橋店」の店長を務める南平さんは、育児中の短時間勤務のまま店長に就任した、社内でも前例のない存在です。子育てと仕事を両立しながら、完璧を目指さず、人を頼りながら働き続けてきました。

その姿勢は、やがて会社の体制を変え、働く仲間たちの背中を押していきます。時短店長という挑戦が、職場を、地域を、そして家族をどのように変えていったのか。南平さんの挑戦を追います。

「店長がいなくても回る店」をつくる。会社と南平さんの本気の協議

時短勤務で働いていた2017年、南平さんは店長就任を打診されます。「時短の店長」は、前例のないことでした。

me:tone編集部:「店長の打診を受けた時、何が不安でしたか?」
南平さん:「店長になったら、誰に頼ればいいのか。そこが一番不安でした。それまでは相談できる上司や同僚がいました。誰かに頼って成立していた時短勤務だったので、店長になったら誰に相談すればいいのだろうと思って」

CBCテレビ me:tone編集部

店長は店舗の最終責任者です。「勤務時間が短いからできません」では済まされない現実があります。だからこそ南平さんは、責任を持って引き受けられるように会社と議論を重ね、店長を引き受けるための条件を自分の言葉にして伝えました。

南平さん:「わがまま言わせてもらいましたよ。まずは『店長がいなくては店舗が回らない』という意識を変えなくてはいけないと思ったんです。」

店長不在の時間も従業員やお客様が困らないよう、副店長には店長代行ができる人を配置してほしい。さらに、店長が残業する構造を根本から変えるため、夜間の人員を厚くしてほしいと要望を出しました。

南平さん:「女性が働きやすい職場は、男性も働きやすいはずです。だれもが働きやすい環境の礎になればいいなと思って、要望を出しました」

会社側もそれに応え、体制づくりに踏み込みます。南平さんをサポートするため、店長経験のあるベテランを副店長に配置し、夜間のリーダー体制も整えました。結果として、店長が不在でも店舗が回る運営体制のモデルケースとなったのです。

南平さんをサポートしてきた執行役員の遠藤真由美さんはこう話します。
「小売業のお客様の8割は女性です。女性店長の視点は、経営における最大の強みなんです」

マックスバリュは女性の活躍を理想論ではなく、店舗経営の強みとして捉えています。だからこそ体制整備に本気で取り組み、結果として会社全体の働き方を変える礎にもなっていきました。

店から地域へ広がる輪。南平さんが見つけた店長という天職

店長になる前、南平さんはバイヤーとして鶏肉や豚肉の商品仕入れを13年間ほど担当していました。販売計画の立案、売価設定、チラシづくりなど、パソコンと向き合いながら黙々と作業を進める日々でした。
やりがいはあったものの、責任の重さから、家に帰っても頭が切り替わらない日もあったといいます。
ところが、店長になってから南平さんの中で感覚が変わりました。

me:tone編集部:「南平さんにとって、店長としてのやりがいはなんですか?」
南平さん:「店長は、人とのつながりが一番大切です。パソコンの画面を見ているだけでは務まりません。店内を歩き、情報を肌で感じること。そこにやりがいとおもしろさがあり、私の性分に合っています。毎日変化に富んでいる店長という仕事は、天職だと思っています。」

CBCテレビ me:tone編集部

誰に対しても肩肘張らず、親身に寄り添う南平さん。長く一緒に働いてきたコミュニティ(パート)の中根澄重さんは、こう話します。

中根さん:「南平店長は、バイヤーの頃からちっとも変わらないんです。店長になったからといってその立場を振りかざすこともなく、私たちスタッフと同じ目線で相談に乗ってくれます」

南平さんの温かさが生む人の輪は、店の外にも広がっています。近年は地域の小学校とのつながりも生まれました。きっかけは社会見学で子どもたちが来店したことです。

南平さんが「お年寄りに優しいお店をつくってほしい」とテーマを出し、子どもたちがそれに沿って「こんなお店にしたらいいのではないか」と提案を考える授業が行われました。本来はそこで終わる予定だった授業でしたが、南平さんは子どもたちのアイデアをしっかりと受け止め、実際の店づくりに反映させました。その熱意が学校に伝わり、翌年からは小学校の授業に講師として招かれるようになりました。

さらに近隣の子ども食堂ともつながり、食材の調達や配膳を手伝っています。地域の人たちの困りごとに寄り添いながら、お店の外でも人の輪を広げている南平さん。スーパーの店長という枠を超えて、地域に根差した存在となっています。

諦めなくていい。その背中が家族へ、職場へ、広がっていく

仕事での南平さんの姿勢は、家庭でも変わりません。

me:tone編集部:「仕事と家事の両立は大変なこともあると思います。家庭で工夫していることはありますか?」
南平さん:「無理も我慢も禁物です。全部、自分に跳ね返ってきますからね。6割でOKだと思っています」

完璧じゃなくていいとわかっていても、つい頑張りすぎてしまう人は多いはずです。南平さんは、「やらなくてはいけないリスト」のうち6割ができていればOKだと許容範囲をつくっています。自分が笑顔でいられることを大切にすることは、結果的に家族の笑顔にもつながるからです。

南平さん:「仕事で疲れすぎて、ご飯を作る気が起こらないこともあります。そんな時は無理せず『今日の夜はファストフードね!』って家族に言います。意外にも子どもたちは『いえーい!』って喜んだりするものです(笑)」

CBCテレビ me:tone編集部

生き生き働く南平さんの姿は、一番近くで見ていたお子さんに自然と届いていました。大学の進路を考える際には「マックスバリュの店長になりたい」と言い、南平さんと同じ道を歩もうとしています。
さらに、職場にも影響が広がっています。南平さんの背中を見て、「店長を目指したい」という女性が増えてきたといいます。

執行役員の遠藤さんはこう話します。
「南平さんのように社会で活躍する女性は、『特別な人』ではありません。どんどんチャレンジしてほしいです」

一人の女性が、自分らしく働き続ける方法を模索してきたその姿は、家族へ、職場へと、広がっていきました。
「無理も我慢も禁物です。全部、自分に跳ね返ってきますから」
南平さんのその言葉は、完璧を目指してつい疲れてしまった人々への心温かいエールに聞こえました。

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