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開幕2か月の井上ドラゴンズ、今だ“落ち着かない”戦いぶりの正体とは?

開幕2か月の井上ドラゴンズ、今だ“落ち着かない”戦いぶりの正体とは?
井上一樹監督(C)CBCテレビ

井上一樹新監督を迎えたドラゴンズは、2025年(令和7年)のペナント争いから、今やジリジリと引き離されつつある。開幕から2か月、神宮球場で連勝したものの、全力応援を続けるファンとして、実は何とも居心地の悪さも感じ始めている。それは何なのだろうか。(敬称略)

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感動的なゲームもあるが・・・

田中幹也選手(C)CBCテレビ

ペナントレース開幕から全日程の3分の1ほどが経過した。開幕前から主力のケガ人を抱えながら、よく頑張っているという評価もある。スタンドのファンを沸き立たせるゲームも少なくない。最近では、5月21日の横浜DeNAベイスターズ戦で、9回表に田中幹也が放った決勝ホームランが印象深い。本拠地バンテリンドームでの勝ちゲーム、全員がマウンドで円陣を組んでの一本締めなど、新たな光景もお目見えして、ファンを喜ばせている。井上ドラゴンズの野球、ムードは良し。

無得点試合が多すぎる

その一方で、ここ数年ずっとチームの課題である「打てない打線」は、何も解決されていない。1点も取ることができずに負ける無得点試合の数は、すでに2ケタを超えた。チーム打率も総得点数も、リーグ最下位どころか12球団で最も少ない。4番を期待された石川昂弥、細川成也、そして中田翔らが、不調や体調不良によって揃って2軍に落ち、日替わりの4番が続いている。さらに守備を中心に、走塁含めた致命的なミスや目に見えないミスも多すぎる。キャンプからの練習は何だったのか。

活躍は“脇役”ばかり

上林誠知選手(C)CBCテレビ

気になるのは、いわゆる“生え抜き”の“主役”たちが活躍していないことだろう。打線では、3番に定着した上林誠知、そして、板山祐太郎や山本泰寛らが、勝負強さを発揮している。投げる方では、勝ち頭の松葉貴大や入団以来21年連続勝ち星を挙げた涌井秀章が、安定したピッチングを見せている。育成上がりの三浦瑞樹も先発で奮闘だ。しかし、そのいずれもが他球団からの移籍選手であり、想定される投打の“主役”ではない。高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)は?柳裕也は?石川昂弥は?村松開人は?どうした。福永裕基は2度目のケガで離脱。かろうじてトップバッターの座を守る岡林勇希とマスクをかぶり続ける木下拓哉以外、打線はすべて助っ人外国人選手を含めて“生え抜き”以外という試合も多い。

目立たない竜の“生え抜き”

「中日ドラゴンズ」という球団は、まもなく創設90周年を迎える歴史と伝統のチームだ。企業に「社風」というものがあるように、プロ野球の球団にも「チーム風」がある。それを育むのが、入団からチームでプレーする“生え抜き”選手であり、そこに刺激と活力をもたらし、さらに新たな歴史を作るのが“移籍”選手なのだ。トレードが目立った立浪和義前監督時代から続いているが、現在のドラゴンズは、そのバランスがますます崩れつつあるのではないか。言い方は悪いが、ドラゴンズというより、12球団の混成チームのように感じる時がある。それが、ファンとして感じる居心地の悪さなのかもしれない。ドラゴンズ一筋の選手たち、あまりに情けなくないか。

キーマンは金丸夢斗と石川昂弥

金丸夢斗投手(C)CBCテレビ

ここからの戦いへキーマンを2人挙げたい。投手ではルーキーの金丸夢斗である。先発した3試合はいずれも好投し、もし打線の援護があれば3勝0敗でもおかしくない。4球団競合の末のドラフト1位、さすがの実力である。早く初勝利を飾らせたい。そうでないと勢いが失速してしまう恐れもある。打線の先輩たち、奮起してほしい。打者では、開幕4番だった石川昂弥だ。新生・井上竜の「4番」を一度は任されたのだから、男気を感じて期待に応える打撃を見せてほしい。金丸と石川、この2選手にエールを送る。

10年先へのチーム作りを

石川昂弥選手(C)CBCテレビ

最下位争いに低迷するチームとは裏腹に、バンテリンドームには連日、多くの観客が詰めかけている。ファン層も老若男女、幅広くなっている。球団フロントも、それを喜ぶばかりではいけない。もちろん着手しているとは思うが、明らかに他球団に比べて戦力が劣る現状と真摯に向き合って、来季、3年後、5年後、いや球団創設100周年イヤーの10年後を視野に入れたチーム編成に、今から全力で取り組んでもらいたい。そうでなければ、長きにわたる深刻な低迷からは抜け出せない。

井上ドラゴンズ、1年目の暗中模索は続く。苦しさは理解している。その上で、全力で応援する。しかし、竜党として居心地が悪い応援だけはつらい。スタンドに観戦に来るファンにとっては“一期一会”であり、その重みを十分に背負って、1試合1試合を戦っていってほしい。                          
  
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。

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