立浪ドラゴンズ2年目の逆襲キャンプは「2」「4」「20」の数字に注目だ!
球春到来!いよいよ2023年プロ野球の春季キャンプがスタートする。2年目の逆襲をめざす立浪ドラゴンズ、今回の沖縄キャンプの注目ポイントを、「2」「4」そして「20」という3つの数字にこだわって紹介する。
「2」塁のレギュラーは誰に?
最も注目したいのは、セカンド争いである。ショート出身の立浪和義監督にとって、センターラインを固めることは最重要課題である。そして2022年シーズンはそれがかなわなかった。
開幕戦のスタメンだったセカンド阿部寿樹選手とショート京田陽太選手、この2人をトレードによって放出してまで、2023年の新しいセンターライン作りにはこだわっている。ショートについては、昨季途中から頭角を現した龍空選手(土田龍空の新登録名)がレギュラーへ一歩リードと見られるが、セカンドの座はすっぽりと空いている。立浪監督をして「ルーキーが守っているかもしれない」と言わしめる“戦国状態”である。
ドラフト2位の村松開人選手、6位の田中幹也選手、それぞれ大学野球で主将を務め、背番号も「5」そして「2」といきなり1ケタを贈られた。7位の福永裕基選手を加え、ルーキー3選手は1軍の北谷キャンプからスタートする。三つ巴の競争は、楽しみで仕方ないが、溝脇隼人選手や2軍の読谷キャンプとなる石垣雅海選手、この2人も黙ってはいないだろう。開幕で立浪監督から「2」塁手に選ばれるのは誰だろうか?
課題の「4」番には強打者を!
2022年のドラゴンズ、チーム打率こそ、前の年から上がったものの、チーム得点数414点、ホームラン数62本は、リーグでも圧倒的な最下位だった。
その象徴が、4番を打ったダヤン・ビシエド選手だった。打率こそ2割9分4厘で打撃成績はリーグ5位、しかし、打点63、ホームラン14本は、4番としては物足りない。特に併殺打はリーグで最も多い20、どれだけ多くのファンが幾度ため息をついたことか。立浪監督も「スイングが弱くなっている。打撃スタイルを変える必要がある」とシビアな目を注ぐ。来日8年目となるビシエド選手に、これまでのような4番の座は保障されていない。
米メジャーで通算41本塁打の新外国人“助っ人”・アリスティデス・アキーノ選手、そして3年ぶりにドラゴンズに復帰する左右両打ちのソイロ・アルモンテ選手、それぞれが候補に名乗りを挙げる。僅差で勝つ野球は、ドラゴンズのお家芸でもあるが、応援するファンとしては、時にはスカッと打ち勝つ野球も見たい。その中心となる「4」番に誰が座るのだろうか?
エース背番号「20」が復活
投手陣には、2022年シーズンでチームの勝ち頭だった小笠原慎之介投手、そして、WBC侍ジャパンに最年少で選ばれた髙橋宏斗投手、この若手の左右両輪など、注目したい顔ぶれは多い。
そんな中、ドラゴンズのエース番号「20」を背負うことになったのが、阿部選手とのトレードで東北楽天ゴールデンイーグルスから移籍してきた涌井秀章投手である。過去在籍した3球団で、いずれも最多勝のタイトルを取った。表情をまったく変えずに、飄々(ひょうひょう)と投げるその姿は、かつて落合博満監督をして「投手らしい投手」と高く評価されたこともある。
その涌井投手が5年間“空き番号”だった背番号「20」を背負う。「20」というナンバーが、バンテリンドームのマウンドに立つだけでもワクワクするのだが、涌井投手がドラゴンズというチームに与えるであろう、ある意味の“化学反応”も楽しみで仕方がない。背番号「20」の投球に酔いしれたい。
根尾投手のキャンプも注目
この他にも、投手として初めての本格的なキャンプとなる根尾昂投手、ドラフト1位で地元・沖縄に“凱旋”する仲地礼亜投手、高卒ルーキーで1軍キャンプに抜擢された山浅龍之介捕手など、次々と名前が挙がってくる。
それは、ドラゴンズというチームが長年の低迷、さらに2022年の最下位を踏み台にして、大きく変貌を遂げようとする第1歩だからであろう。もちろん、2000安打が近づく大島洋平選手らベテランそして中堅の選手たちからも目が離せない。
キャンプインから開幕までのこの時期は、ファン誰しもが「今年は優勝!」と“豪語”できる最も楽しい時期である。そんなワクワク感と共に、立浪ドラゴンズの、北谷そして読谷のキャンプに熱い視線を注ぎたい。
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。