プロ野球開幕!与田ドラゴンズは厳しい順位予想を逆転できるか?
プロ野球2019年ペナントレースがいよいよ開幕。
球団ワースト6年連続Bクラスと低迷する中日ドラゴンズ、長年のファンとして今季は何とも不思議な感覚で開幕を迎えた気分である。ここまでの波乱万丈な日々によるものか、そんな中で開幕の日が来た。
根尾と松坂、スター共演ならず
平成という時代が始まった頃に“剛球リリーフ投手”として活躍した与田剛投手、新監督に就任してからの日々をあらためて振り返ってみると、山あり谷ありの「開幕への半年」だった。
ファンにとって最も大きな喜びは、何といっても高校球界のスーパースター根尾昂選手の獲得だった。ドラフト会議で与田監督が当たりくじを引き右手でガッツポーズした瞬間から、ファンは長年のBクラスというショックをつかの間忘れた。背番号「7」を背負った根尾選手は、新生・与田ドラゴンズの明るい希望の象徴になった。
年が明け、球春を告げる暖かい風が沖縄に吹き始めた頃、ドラゴンズの1軍キャンプ地の北谷球場は、根尾選手そして昨シーズン見事に復活を遂げた“平成の怪物”松坂大輔投手、この2人によって、12球団でもトップクラスの注目を集めるはずだった。ところが・・・。
与田ドラゴンズの試練
根尾選手は自主トレ中での右足ふくらはぎ肉離れのため、キャンプは2軍スタート。結局、1軍の北谷球場で根尾選手のプレーを見ることはなかった。
松坂投手はアメリカでの永住権手続きのため2月早々に再渡米、その直前に痛めた右肩の影響でキャンプ地を離れての調整となった。
板東英二さんが作った球団史上最年少の開幕投手記録を昨シーズン57年ぶりに塗り替えた小笠原慎之介投手は、その後の左ひじ手術の影響で本格的な投球ができない。
さらに昨年のナゴヤドーム最終戦で140キロを超える速球デビューを果たしキャンプも1軍に抜擢された2年目石川翔投手。右ひじの異常を訴えて手術し今シーズンは絶望と見られる事態になるなど、実は与田新体制は試練多き開幕前となった。
投手陣は固まった、野手陣は?
ファンとして最も気になること、2019年のドラゴンズは開幕を迎えた現時点、一体どんなチームに作り上がったのだろうか?
投手陣は開幕投手に3年目の笠原祥太郎投手が決まり、先発ローテーションを担う6投手も出揃った。抑え役も2年目の鈴木博志投手がオープン戦で結果を出してその座を手にした。
一方の野手陣、オープン戦でファンの目の前に展開されたのは、目まぐるしい日替わりオーダーだった。それは最終戦3月24日のナゴヤドームまで続いた。これほど毎試合、それも開幕直前の試合まで顔ぶれも打順も変わり続けたオープン戦は、長い間ファンをしていてもあまり記憶にない。
開幕オーダーでの与田色
昨シーズンの首位打者ダヤン・ビシエド選手のファースト4番だけは決まっていたが、新キャプテンとしてサードを守る高橋周平選手、さらに外野を守る大島洋平、平田良介、そしてソイロ・アルモンテ、その3選手の打順もオープン戦段階では見通せなかった。
「固定できるほどメンバーが揃っていないからだ」と揶揄する声も耳にした。しかしそうではなく、それだけ腰を据えて現有戦力を試し、そして見極めてきたのだと信じたい。期待した選手が裏切るという残念な誤算もあったはずである。それを踏まえて、与田新監督が“見つめてきた”結果で組む開幕オーダーを楽しみにしたい。与田監督が去年10月の就任会見で語った「驚かせるチーム」という抱負を信じて・・・。
順位予想に負けないで!
「昇竜復活」をスローガンに掲げる与田ドラゴンズ。根尾も松坂も開幕時にはいない。
多くの野球評論家の順位予想はドラゴンズにとって大変厳しい。シーズン中の軌道修正も当然必要になってくるだろう。それが長年Bクラスで低迷するチームの宿命。Aクラスそして一気に優勝を目指すためには、よほどの覚悟が必要なのは承知の上で、ファンが夢を描くことができる力強いスタートダッシュに期待したい。とにかくワクワクさせてほしい。
新生ドラゴンズの開幕に心からのエールを送り、新たなる戦いをしっかり見つめてゆきたい。目の前の机の上に飾ってある根尾昂選手の写真、一日も早くその雄姿を1軍のゲームで見ることができる日を待ちながら。
【CBCテレビ論説室長・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。