強いドラゴンズを見たい!来季こそ昇竜復活を! そのカギを握る根尾、梅津ドラ1、2位コンビの現在地
「【ドラゴンズライター竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム」
受け入れ難い7年連続Bクラス
ついこの間、ハマスタで開幕を迎えたと思いきや、季節はもう秋。2019レギュラーシーズン終了の鐘の音が鳴り響いている。
7年連続Bクラス、そして3年連続5位というドラゴンズファンとすれば受け入れ難い結果でシーズンの幕を閉じた。139試合、最後の最後までAクラス入りへの壮絶なる戦いは続けられた。がしかし力尽きた我がドラゴンズ。
シーズン当初から選手層の薄さは心配されていた。調子が上がってきたと思ったら、主力選手の相次ぐ故障で弾みがつかず、上位チームとの差が埋められなかったのがBクラスに沈んだ要因といえよう。しかし今シーズン、ここ数年にはなかった明るい光が見えたのも確かである。積極的な若手起用。投手陣でいえば清水、山本らの瑞々しい力が相手打線を封じ込んだ。また福、藤島、ロドリゲス、そして岡田につなげる救援陣は常勝ドラゴンズ時を彷彿させる安定感を発揮。打撃陣でいえば阿部や井領らの台頭。今までなかなかチャンスをモノにできなかった苦労人が足りなかった打撃陣のピースを埋める活躍を見せてくれた。そしてファン注目のドラフト1、2位コンビ、根尾・梅津も一軍という戦いの場で爪痕を残した。来季は必ずや一軍の戦力になってもらわなくては困る二人。今週のサンドラはこの彼らの現在地についてスポットライトを当てた。
根尾の覚醒は下半身の使い方にあり
自主トレ早々に右足ふくらはぎ肉離れをし、キャンプ二軍スタート。シーズンが始まれば、プロの壁に苦しめられ、思った成績が上げられず苦しんだ根尾であったが、ようやく9月に覚醒。月間打率.355をマーク。実力で一軍昇格をもぎ取った。
待ち焦がれた一軍昇格の連絡に根尾は喜びを隠さなかった。
『(一軍に)いつ呼んで頂けるかなとずっと心待ちにしていた。やっと呼んで頂いて、早く行きたいなという感じでした』
遠征先の由宇から一軍の戦いの場・広島へ。待ち焦がれていた舞台に立った根尾。気持ちはさすがに高ぶっていた。
『グラウンドの中に漂っている空気は格別でした』
残念ながらこの日はゲーム出場の機会がなく、プロ初出場は思い出の地・甲子園へ。
『次の舞台で(チャンスを)しっかりモノにできるよう準備して甲子園に臨みたい』
そして根尾のプロ入り初出場の機会がやってきた。9月29日、甲子園でのタイガース戦。7回裏からショートで途中出場。8回には初打席を迎え、ジョンソンと対決。結果はあっけなく三球三振。プロの洗礼を味わう結果となった。しかしこれもまた経験。この日のゲスト、立浪和義氏が根尾の一年の成長を褒め称えた。
京田に追いつけ!追い越せ!
『春先打たなかったのは足のケガもあり、下半身が全然使えていなかった。下半身の力をバットに伝えることができていなかった。だからしっかり引っ張れるバッティングができなかったわけです。現在の彼のバッティングを見ると、しっかりと下半身が踏ん張れていますね。あとトップに入って少しボールを待てる“間”ができれば、引っ張るバッティングがよりできるようになれますし、それができれば速いボールに対応でき、一軍で活躍できると思います』
ショートにこだわりを持つ根尾。しかし現時点では走攻守どれを取っても京田を抜く技量を持ち合わせていない。目標は高い。それでも根尾はあくまでショートのポジションを狙い続ける。京田を射程圏内に捉えるのはいつ?根尾の持つポテンシャルならば来年にでも、と期待するファンは私だけではないはず。まずは秋季練習で心身ともに更なる研磨に励んでもらおう。
支えとなったのは反骨心
近藤真一以来、球団史上32年ぶりとなる新人初登板3連勝を記録した梅津。しかし根尾同様、キャンプ直前に右肩故障。上茶谷(DeNA)、甲斐野(ソフトバンク)とともに東洋大三羽烏として鳴物入りでプロの世界へ飛び込んだだけにショックは大きかった。どん底だった梅津を支えたのは反骨心だった。
『同じ大卒の人の活躍っていうのは(自分の)焦りへとどんどん変わっていきました。同級生が活躍する。嬉しい反面、悔しくもあり…。“自分は何しているんだろう”っていう気持ちもありましたが、2人が頑張ってくれた分、反骨心というか、やり返してやるぞ!っていう気持ちが湧きました。そんな思いにさせてくれて、今では感謝しています』
予期せぬベテラン投手からの教え
調整を余儀なくされた二軍。それでも予期せぬ収穫もあったそうだ。酸いも甘いも知るベテラン投手からいくつかのアドバイスを教授。それはキャッチボールの大切さ。身体全体を使う投げ方ができる遠投を積極的に取り入れるべきと教えてくれた山井投手。その日の調子によって球が浮いたり、ひっかかったりする。相手のあの位置に投げようとか、しっかり考えながら毎日投げている。コントロールに定評のある吉見投手の言葉は梅津には相当響いたはずだ。
二軍での貴重な体験もあり、梅津は出遅れた分だけファンの大歓声を受ける活躍を見せた。一年目の結果は4勝1敗。結果は上々。しかし反省点も忘れない。唯一の敗戦を喫したジャイアンツ戦で現時点自身に足りないものを実感したそうだ。
『(途中降板した)壁を乗り越えるには、フォークとかスライダー頼みになってしまった回だったので、もっともっと強い真っ直ぐで勝負しなければと。』
夢はメジャーリーグ
思い通りの強い真っ直ぐをマスターした時、“負けないピッチャー”梅津憧れの的、メジャーリーガー大谷翔平へ一歩近づくことができるはず。
『まずは日本でというか、プロ野球でドラゴンズのエースになることが目標ですが、夢は大きく持っていたい。いつかメジャーリーガーになりたい』
根尾も梅津もいつか勝負の舞台をアメリカで。そんな野望を胸に秘めながら、力を蓄えていってもらいたい。ドラゴンズからメジャーリーグへ。こんなファン孝行な話はない。
我慢の限界!勝つドラゴンズが見たい!
今回のコラム冒頭、今季の戦いぶりに明るい光を見ることができたと書いた。しかし結果に満足しているわけではない。むしろ不満の塊。早くも人事面では来季から二軍監督が仁村徹氏へ交代と発表。適材適所の指導者交代は結構なことだが、現状の戦力分析もしっかり考察してもらいたいところ。チーム打率はリーグトップながら、なかなか得点に結びつかなかったここぞという時の勝負弱さ。それはレギュラーと控えとの実力差にも通じる話。現有戦力の底上げはもちろんのこと、ドラフト、FA、トレード等での戦力アップをドラゴンズフロント陣に約束してもらわなければ、もうファンは黙ってはいないだろう。
我慢の限界。もう負けるのは嫌だ!勝つドラゴンズを見せて欲しい。それを願って、寂しいオフシーズンをなんとか耐えていきたいと思う。
がんばれドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!
(ドラゴンズライター 竹内茂喜)