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竜の黄金期は守護神・岩瀬がいたからこそ―。落合博満元監督が1000試合登板を控えた鉄腕の偉大さを証言

竜の黄金期は守護神・岩瀬がいたからこそ―。落合博満元監督が1000試合登板を控えた鉄腕の偉大さを証言

【あるドラライターの参考書的サンドラ活用法】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)をみたコラム

竜党が何よりもクローザーの失敗に憤りを覚えてしまうのは、きっと岩瀬仁紀という史上最高の守護神を長きにわたって見続けてきたからに違いないのだと思います。今週のサンドラは通算1000試合登板まで2試合に迫った岩瀬投手の足跡を振り返った特集を放送。存じているつもりではいましたが、その功績の偉大さはあらためて驚かされるものでした。

9年連続30セーブ以上を記録。絶対的守護神・岩瀬という存在

クローザーを任された2年目の2005年に当時のプロ野球最多となるシーズン46セーブを記録。それから9年連続で30セーブ以上を記録したうちの5度は40セーブ以上を記録すると、ついに2014年に前人未到の通算400セーブを達成。最多セーブのタイトルを5回にわたって獲得するなど、その活躍のすべてが偉業の数々です。
単純にファンに勝利の喜びをもたらしてくれるだけでなく、いつの頃からか「岩瀬(=クローザー)が抑えてくれるのは当たり前」という絶対的な安心感に変えてしまったほど。その感覚は今でも竜党の体に染み付いていると思うのですが“当たり前”でないことを、今シーズンは嫌というほど思い知ることとなってしまいました。
「守護神・岩瀬」だからこそ、あの無敵に近い安定感を誇っていた―。それを誰よりも認めていたのは、黄金期の竜を率いていた落合博満元監督。当時に寄せていた信頼は絶大なるものでした。

落合元監督の証言。竜の黄金期は「守護神・岩瀬」の上に成り立っていた

「(私が監督をやった)8年間というのは、岩瀬が特別な存在だった。まず抑えに岩瀬がいるという事を考えて、このチームを作り上げた。私にとって岩瀬は投手陣の中では特別な存在だった」

8年間で4度のリーグ優勝と日本一が1回。その間、すべてAクラスで優勝争いを展開したドラゴンズの黄金期は、まさに「守護神・岩瀬」の上に成り立っていたことを認める落合元監督の証言に異議を唱える人などいないでしょう。ときにチームの敗戦に繋がる失敗があっても、それを補い余りある貢献度でチームに勝利をもたらしてくれていたことを今ならより一層感じられているはずです。
 プロ入りから15年連続の50試合登板を成し遂げるなど“鉄腕”の異名を取った岩瀬投手でも2015年は前年からのケガの影響でプロ入り初となる一軍未登板に終わっていました。打者を抑える喜びも、その反対の悔しささえ感じられないシーズンを過ごしたことで、「生きている感覚がしなかった」と引退を考えたことも。それでもどん底からはい上がり復活を果たしたのが昨年。プロ野球最年長セーブを記録すると、6月に14試合連続無失点投球で12年ぶりとなる月間MVPを受賞。8月6日にはプロ野球新記録の通算950試合登板を達成するなどの活躍でカムバック賞を獲得して、20年目の今季もチームに必要な戦力に。44試合の登板で2勝2セーブ、防御率4.59。毎試合のようにブルペンで肩を作るリリーフとしてシーズンを戦い抜き打ち立てようとしている金字塔の価値は大きいでしょう。

ミスタードラゴンズ・立浪氏が認めた岩瀬投手の凄さは“強靭なメンタル”

プロ入り当時から岩瀬投手を知るスタジオ解説の立浪和義さんは、「全盛期は後ろで守っていて打たれる感覚がしなかったです。特に(ジャイアンツの)松井秀喜選手やペタジーニは、からっきし打てなかったですから。それほどスライダーの曲がりがすごかったんです」と強打者との対戦を例に挙げ、岩瀬投手の伝家の宝刀の威力を評価。1000試合登板の偉業達成の秘訣については「体の強さももちろんですが、精神的にタフなところです。今後も抜かれることのない記録だと思います」と強靭なメンタルの賜物であると讃えておられました。
 岩瀬投手自身も2009年のサンドラのインタビューで投球の支えとなっているものとして明かしたのは“反骨心”。

「周りが思っている通りにはなりたくなかった。5年目くらいまでは、『もう勤続疲労がくる。もう続けてできない』とかいう声もあったが、だんだんそういう声がなくなってきた。だから、もうちょっと言って下さいよと。反骨心、反骨心(がほしい)って思っていた」

逆風をも力に変えてしまうほどの精神力が岩瀬投手の凄み。この特集を通じて感じたことは岩瀬投手の偉大さであると同時に不安にかられました。これからのドラゴンズが避けては通れない課題。つまりはクローザー問題です。

佐藤投手が守護神の座を確立することこそ、強竜復活への第一歩か

落合監督が率いた8年間に全盛期の岩瀬投手がいなかったとすれば、あの黄金期は存在しなかったのではないか。この先、岩瀬投手のような絶対的守護神が現れなければ、強いドラゴンズは取り戻せないのではないか―。不安は払拭できなくても、希望の光はたしかにあります。現在、クローザーとして奮闘を見せてくれている佐藤優投手です。
6月から2度目の一軍に上がるとあらゆる展開で結果を残し、セットアッパーの地位を築いてクローザーへと昇格。現在6試合連続無失点投球を続け、試合を重ねるごとに頼もしさを増しています。今季は残り6試合となってしまいましたが、佐藤投手にはクローザーの地位を確固たるものにするべく、最後まで結果を残し続けてもらいたいのです。6試合で足りないのであれば、クライマックス・シリーズ以降の緊張感溢れる短期決戦で結果を残し、自信を深めていく。その可能性を少しでも高めるにはもう負けられません。たとえポストシーズンに駒を進められなかったとしても、残りのすべての試合で勝利を収める戦いで佐藤投手が試合を締めくくることの成果は大いにあるでしょう。
まずは今日のスワローズ戦。連敗をストップして、6連勝のスタートといきましょう!

ドラゴンズライター高橋健二

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