ファイターズからドラゴンズへ 3年目・大野奨太が語る「未来の子供たちのために」
FAでファイターズから地元球団ドラゴンズへやってきて、早や3年目。大野奨太捕手は、毎年シーズンオフ、チャリティー運動会を自ら企画、主催者と共に運営にも強く関わっている。
昨年の舞台はプロフットサルの聖地で行い、名古屋オーシャンズの選手とプロプレイヤー同士、異色のコラボレーションだった。
実施した競技は子供たちと一緒になっての綱引き対決や玉入れ競争、借り物リレーなど盛り沢山。なんといってもファンが大爆笑だったのが、頭からパンストを被っての引っ張り合い一騎打ち。ファイターズ時代からの同志、谷元圭介投手や、人気者・高橋周平選手らと、「鼻の穴が上向きになって痛い~っ」と叫びながらのパンストの引き延ばし合いには、親子ファンも大喜びだった。
ラストアトラクションは、フットサル得点王と小笠原慎之介投手のPK対決とストラックアウト競争。さっきまでパンストを被って笑顔だった男の表情が一変。真剣勝負スイッチが入り、プロの妙技を魅せてくれる振れ幅の大きさに、子供たちは、「やっぱりプロって凄いなあ」と感嘆の声を上げた。
この熱い空間を未来へ。大野奨太捕手は語る。
「もちろん今年のシーズンオフも考えてます。チャリティーイベントはずっと続けていることなので。でも今は、肝心な野球シーズンすら開幕できない。こうやって自主練習を続けている今でも、それを思うことはありますよ」
「安心、安全な世の中になり、シーズンを迎えることができ、その先のオフにできることを考えてます。世の中、新型コロナに打ち克って、例えば、終息したとしても、皆さんが集まるカタチじゃなくても、できることを。子供たちと一緒に楽しめることを」
ファイターズ時代からのプロキャリア
「そのために、今、すべきこと。今日もファームの連中だけでも20組、一時間ごとに練習場所を提供してもらって、有難い環境で、しっかりトレーニングをしていきます。もちろんバッティングの量は多くはないですが、いま置かれている状況を考えると、できる範囲のことはさせてもらえているので、ありがたいです。おかげで、凄くイイ感覚で打ててます。正直、開幕がいつか見えない中での体作りは簡単ではないが、いつ行けと言われてもいいように作れています」
「そして、まずもって、ボクはキャッチャーなので、投手陣とコミュニケーションを取りずらいことがなにより辛い。今は、できる限りで。あと、捕手として肩だけは気をつけてます。とにかく毎日ボールに触れておくことと、投げ続けていることが大切なので、限られた時間を出来るだけキャッチボールに当てています」
「この状況下で捕手同士の競争はできません。でも、その先の開幕へ向けて、自分がスタメンマスクを被り、ゲームセットまで出続ける気持ちは、誰にも負けません。
ファイターズ時代からの自分のプロキャリアが不測の事態に活きる、とかでもありません。とにかく、早く若手捕手と競争できる環境になって、そこでプレーしたいのです」
自分なりに貢献、支援できること
「とにかく今はステイホームですよね。我が家は、長男が生まれたばかりで、まだ7ヶ月なので、妻と交代しながら世話をしたり、最低限の買い物へ行ったりしてます。今まさに、ハイハイするようになって元気だし、離乳食を与え始めたタイミングなので、ボクなりに貢献しようと」
「8歳の娘とは、一緒に学校の勉強をやったり、掃除をしたりしてます。4月上旬が彼女の誕生日だったんですが、プレゼントを早めに買っておいて良かったです。ゲームソフトの『あつ森』(あつまれ どうぶつの森)、品薄になる前に、妻と準備しておいて。二人で休憩時間に楽しんでます。こんな機会だからこそ、一緒にいられると。ふと、思ったんです。気付いたら女の子として成長してるなあと」
「そして、故郷岐阜での(新型コロナの)被害拡大も気になりますし、今は、医療従事者の皆さんに感謝して、自分たちは、できるだけ外出しないことと、支援できることを考えています」
まさに女房役、大野奨太捕手の気配りは、投手陣へ、家族へ、そして、シーズンオフイベントでの子供たちへ。そして、本拠地愛知県も国の緊急事態宣言解除。チームの女房役は、調整のペースを上げる。
来たるべきシーズン開幕へ向けて。燃えよドラゴンズ!
【CBCアナウンサー 宮部和裕 CBCラジオ「ドラ魂キング」水曜(午後4時放送)・「宮部和裕のミュージックストライク」(金曜午後6時)他、ドラゴンズ戦・ボクシング・ゴルフなどテレビ・ラジオのスポーツ中継担当。生粋の元少年ドラゴンズ会員。山本昌ノーヒットノーラン実況などに巡り合う強運。早大アナウンス研究会仕込の体当たりで、6度目の優勝ビール掛け中継を願う。】