実は「味仙」は店舗で味が違う!?味仙マニアがそれぞれの特徴を詳しく解説!
『名古屋めし』としての全国的な知名度では「味噌カツ」や「ひつまぶし」にリードを許してきた感のある「台湾ラーメン」。しかし、我らが【味仙】が2016年8月の東京進出、2019年10月の大阪進出を経て、2023年現在ではもはや『名古屋めし』不動のエース的ポジションまで上り詰めたと言っても過言ではない。
実はその【味仙】、本場・名古屋を擁する愛知県内では、今池本店(名古屋市千種区)を筆頭に、創業者を含む5人兄弟がそれぞれ店を持ち、基本メニューを同じにしながらも別々に経営。当然ながら全店で『台湾ラーメン』は食べられるが、店舗ごとに個性が異なるのである。
今回は、名古屋市内にある【味仙】の兄弟5系統を各1店舗ずつ紹介。ご自身の好みやお出かけのエリアに合わせて、店選びにお役立て頂きたい。
1.全てはココから始まった!総本山『味仙 今池本店』
昭和37年(1962)に長男・郭明優(かく めいゆう)氏が創業したのが、ここ『味仙 今池本店』。1階・2階合わせ280席を超える大バコ、夕方~深夜の営業という事からも分かるように、食事シーンのみならず宴席・パーティーに対応可能な台湾料理店だ。
さて、本題の【台湾ラーメン】だが、やはり今池本店を一つの基準と考えて話を進めたい。世に存在する数多の激辛ラーメンと一線を画すのは、通称「台湾ミンチ」と呼ばれるたっぷりの甘辛ミンチと、ニラとニンニクによる強烈な香味の存在だ。様々な味わいが渾然一体となり、辛さ一辺倒に終わらないのが本品の真骨頂。
さらに激辛仕様の「イタリアン」、その逆で辛さ控えめの「アメリカン」も存在する。それぞれ、コーヒーの濃さになぞらえて命名されたようだが、アジアのメニュー名にヨーロッパや北米が追加されるというゴッタ煮加減も、名古屋らしくて何とも微笑ましい。
今や食事メインの方も多く見かけるが、10年ほど前までは飲みの席として利用する客が大半で、シメの一杯としてピッタリの小ぶりな量も、来客の半数以上がオーダーするという人気ぶりの理由と言えるだろう。ちなみに、せっかくシメに台湾ラーメンを食べたのに、その魔性のヒキによって再び呑み気がぶり返したところで、私は責任を負いかねるのでご注意を(実体験談w)。
尚、2015年12月に「名古屋うまいもん通り」内にオープンした『味仙 JR名古屋駅店』、2016年3月にリニューアルした「大名古屋ビルヂング」内にオープンした『味仙 大名古屋ビルヂング店』も同店の経営。
2.パンチ力は最強!ミュージシャン御用達の大バコ『味仙 矢場店』
名古屋一の繁華街・栄や、新旧入り交じる街・大須から共にアクセス至便なのが、長女経営の『味仙 矢場店』。
近くに『Electric Lady Land』や『名古屋CLUB QUATTRO』といったキャパ大きめのライブハウスがある事から、メジャーアーティストが終演後の打ち上げに利用している光景もよく見かける。席数は今池本店を超える300席オーバーで、それでも週末は満席になる程。系列店に『矢場味仙 中部国際空港セントレア店』がある。
矢場店の特長は、辛いモノ好きの期待を裏切らないハイパーな辛さと、強烈なニンニク使いによるパンチ力の強さに尽きる。これは何も台湾ラーメンに限った事ではなく、同店の定番メニューである「酢豚」や「青菜炒め」も、台湾ラーメンに負けず劣らずニンニクがきいており、酒が進むコト請け合い。
3.「アフリカン」発祥店!激辛マニアの聖地『味仙 八事店』
元は次男によって愛知県豊田市で創業。昭和58年(1983)に現在の地(名古屋市天白区)に移転、現在は後述する三男の経営へと移行した『味仙 八事店』。周辺に中京大学、南山大学、名城大学、名古屋大学がある名古屋市有数の学生街で、客層は地元住民と学生が中心という点が、今池本店や矢場店と大きく異なる。
今回紹介するのは、またしてもノーマルではなく「台湾ラーメン アフリカン」。現在では他店舗でも食べる事ができる「アフリカン」、元々は八事店だけの「激辛」を意味する符丁で、他の【味仙】では通じなかった。調理中に厨房から立ち上る、火入れされる唐辛子の香りだけでも鼻がムズムズ。激辛好きならこの時点でテンション大高揚だろう。
ファーストインパクトは矢場店ほど強くないのだが、台湾ラーメンの味の根幹の一つであるニンニクやニラの存在感さえ脇役へと追いやるほど、鮮烈な辛味がじわじわと口中全体へ襲い掛かる。しかし、写真撮影中に膜を張るほどスープが濃厚で、その旨みとコクで辛さ一辺倒にならない絶妙なバランスを演出。「サラリとしたスープの激辛ラーメン」という、台湾ラーメンのイメージを覆すほど超個性的な一杯だ。
4.違いの分かる大人の激辛…味わい深さで選ぶなら『味仙 藤が丘店』
藤が丘店の「台湾ラーメン」の特長は、「台湾ミンチ」をスープと一緒に煮込むという点。ノーマルでもベースのスープが乳化した状態のため、旨みが非常に分厚く、辛さやニンニクの香味をどっしりと支えている。このバランスが何とも絶妙で、パンチ力ではなく旨辛のヒキによってついつい箸が進んでしまう。
また、ミンチ自体がしっかり煮込まれているため、口当たりが非常に柔らか。麺を食べきった後に、スープの底に残ったミンチをすくい、白飯にかけて食べるとまた格別。そんなユーザー心理を見越してか、これをそのままメニュー化した「台湾飯」なるご飯モノメニューもあるので、台湾ラーメンと併せてお試し頂きたい。
5.東京進出を果たした三男オリジナルの「塩台湾」を食べるなら『味仙 焼山店』
【味仙】では珍しく、住宅地に店を構えるのが『味仙 焼山店』。愛知県日進市にある『味仙 日進竹の山店』が本店で、三男が経営。
正式には『郭 政良 味仙』で、冒頭で述べた『味仙 東京神田西口店』もこの系統。麺類以外の10品は日進竹の山店の人気メニュー10選をそのまま採用したとの事。先述の通り現在では『味仙 八事店』の経営も手掛ける他、豊田市や東京・新橋にも出店しており、5兄弟の中でも最大規模の系統へと躍進した。
台湾ラーメンは基本的に【鶏ガラスープ】×【醤油ダレ】×【台湾ミンチ&ニンニク&ニラ】という3要素で成り立っているが、『郭 政良 味仙』には塩味の「塩台湾ラーメン」がある。旨みの構成要素が醤油ダレに比べシンプルな分、スープの鶏の旨みと唐辛子の辛さがダイレクトに舌へ乗ってくる。良い意味で台湾ラーメンらしくない、全体にスマートな印象が特長だ。初めて食べた時は、味付け要素が一つ変わるだけでこんなにも違って感じるものかと感嘆した程。ノーマルの台湾ラーメンを食べ慣れた方にも薦めたい。
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#名古屋めしデララバ